表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第二話

頭痛いˊㅿˋ

国立騎士学園アルバン


初代聖騎士長リエク・ジュールズの進言によって設立された特装騎士を育成するための教育機関。

4年制で魔法学や魔工学など、基礎学に加え専門分野など幅広く取り扱っており他国からの留学生も多くの在籍している。


設備も整っていて戦闘訓練など行うためのコロシアムや約200万近くの本を所蔵している大図書館。

円形状の校舎の中央には噴水があり屋敷一つぐらいの規模を誇る中庭。その他にも研究棟と呼ばれる校舎とは別の施設や共同浴場、食堂など様々。


ちなみにアルバンは全寮制で学年ごとに寮棟が分けられていて、校舎からそれぞれ四方に少し離れた位置に建っている。


校舎より南東側、一年の寮から伸びた道を歩いているのが俺……ノア・ディオルは髪を切らずに伸ばし、顔半分隠した状態のまま視線を落とし、若干前かがみで歩いていく。極力目立たないように地味にしたはずなんだが周囲からの視線が刺さる。


「ねぇ、あれみてよ。劣等生よ」

「あんな奴よく入学できたよな」

「どうせ金で入ったんだろ?」

「あいつ庶民だぜ? 無理だろ」


貴族八割、庶民二割のこの学園での俺の扱いは奴隷以下。

裏で陰口を言われ、呼び出され暴力を受け、それを皆が嘲笑う。ちなみに俺は寮に部屋はない。

寮棟から離れた林の中にある小屋が宿舎。これも生徒達によって買収された教師や庶民のことをよく思わないやつらの仕業。


この学園は身分における差別や区別はしないって決まってはいるけど、実際はめっちゃある。特に入学が義務付けられている貴族からしてみれば、高い金を払い入試を受けて入学する庶民はいい的なのだろう。


持つ者と持たぬ者


ストレス発散のための存在なんて言っても過言じゃない。もちろん教師陣は止めない。中には混ざる奴もいる。


身分と権力で比べられるだけならまだいいほうだと思う。

この学園は実力主義の風潮もある。


つまり庶民からすれば二重苦なのだ。

ただ、俺の場合は更に酷い。


学内の設備も使うことは許可されず、授業の参加も出来たとしても話を聞けるだけ、実習などは一切参加することは出来ず、よくて魔法の練習台として的にされるだけ。


ただ、俺が《劣等生》として一番下にいることで良い事もある。それは他の庶民にヘイトが向かない事。


自分達の下に何かがないと気が済まない貴族からすれば、全てにおいて劣っている俺の存在は好都合。

時々、他の人から心配されることがあるけど丁寧に断っている。自己犠牲の精神っていうわけでもないけど、複数人の人に被害が出るくらいなら一人だけにした方がいいよねっていう考え。


まぁ……正直な話。


殴られ蹴られ、魔法撃ち込まれたり色々されるけど、一番しんどいのは風呂に入れない事かな……川の冷たい水で体を流すのはマジで辛いッ……。






「……それじゃあ授業を始めますね…」


俺が在籍する1年6組の担任。キュレル・ベティアはとある席に座る生徒を見て、申し訳なさそうな表情を浮かべながら授業をはじめる。


なぜ申し訳なさそうなんだって?

原因?


はい、俺です。

机の上に花瓶なんて王道ですね。

今までも何十回とされてきたので今更気にしませんが。


担任のキュレル先生は俺みたいな生徒を切り捨てることが出来ない、この学校では数少ない心優しい先生の1人だ。


まぁ、色んな生徒に優しいから標的にされることもないのである意味上手いというかなんというか……。


先生の事はさておき。


机に置かれた花瓶によって、生きているのに死んだ事にされている俺。そしてそれを見て笑っている……クラスメイト。


……性格悪いよなこいつら。


その中の主犯格であるバルツ・ランドリーとその取り巻きたちは庶民を劣等種と言う、この学園内では典型的な貴族の一人だ。


ただ、伯爵家であるランドリー家の嫡男のバルツに逆らう奴は例え教師でもいない。

そもそも伯爵家以上の権力を持ってる人なんて学園長ぐらいだろうし。

それほどの影響力を持っているからだ。


ちなみに戦闘訓練の時に人をボッコボコにしてくる奴もこいつらです。


あとは直接手を出してこないが遠回しに俺を虐めてくるのは辺境伯家のユレル・ネーザリア。


人をボコったりはしてこない代わりに、嘘で塗り固めた悪評を広める陰湿なやり方で追い詰めていく。


伯爵家の令嬢なだけあって人脈も広く厄介。入学して早々に出回ったのは

「ネーザリア家の令嬢に目をつけられたら最後」

というもの。

陣営を固めているため根回しも早く、証拠で押し通ろうとしても権力による弾圧と……悪役もびっくりの手強さを誇る。


要は厄介者どもに俺は目をつけられているということだ。

まぁ、この学園開校以来史上初と言われている程だから仕方ない事でもある。



国立騎士学園アルバン 1年6組在籍 ノア・ディオル


座学 成績 E 評価点 5点

実技 成績 F 評価点 0点


学年順位 最下位 200位


魔力量 F- 属性 無し

異装 【未覚醒、未契約】

称号《最下位騎士見習い》《無才》《劣等生》



そう俺は全てにおいて一番下。

学園史上初の全科目総合最下位。

世界初、魔力量最低値F-で属性無し。


ここまで酷いとむしろ清々しく感じれる。

短め投稿を続けていく予定

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ