第一話『砂』
ディズニーのファイヤボールに触発され、賞への投稿を一切考えない自由な連載に挑戦することにしました。どこまでやれるかはわかりません。飽きたらやめます。
遠い遠い未来。
人間が皆神に等しくなれると信じられた時代。
地球圏外を探索しようと、一隻の宇宙船が地球を飛び立った。
彼等は人間が神を越えるため、神の手が届かぬところまで手を伸ばすというコンセプトで結成された。
誰もが成功を疑わなかったその船は、有り得ないと思われた乗員のミスによってとある星に不時着した。
修理のためのパーツの予備はなく、帰還の目処も立たなくなって、今六〇年の歳月が経とうとしていた。
助かるには、近くを地球の船が通りがかるのを待つしかない。
第一話『砂』
宇宙船の格納庫が開いたその先で、体育座りしている少女がいた。
年は二〇歳前後。ポニーテールの髪型によく似合った凛々しい顔立ちが魅力的である。
少女の前には、今にも三時間くらい喋り続けそうな人の顔のような形をした岩だけが、ポツンと立っている。他は全て砂漠だ。
少女は、肩に星を三つつけていた。これは、この船団の長であることを示している。
「どうして、砂は食べられないのかしら」
少女はつぶやいた。
「確かに口に入ると嫌だけど、それは地球で流行っていたコメツキムシも一緒だわ。餅にすると美味しいけれども、素で食べたら口の中でパチンパチン跳ねてうるさいもの」
何も入っていない口の中をモグモグさせながら、少女は手を叩いた。
「船長命令よ。料理長を連れてきなさい」
一分と経たないうちに、小太りの料理長がやってきた。
「この砂をメインにして調理してみなさい」
「それは無理です、船長」
「処刑、するわよ」
「無理なものは無理です。砂をメイン使った料理のレシピを地球から持ってきていません」
「あなたが開発すればいいじゃない」
「新しい料理を開発するためには、許可証の発行が必要です。しかし今、地球と連絡を取る手段がありません。発行も出来ません」
「そうだった。忘れていたわ。困ったわね、私はこの砂をどうしても食べられるものにしたいの」
「かつて、遥か遥か昔に砂の料理に挑戦した人物が数人いると聞きますが、それ以来誰も大々的に行ったことがないため、レシピにも記録されていないのです」
「愚かなことね。そうやって挑戦心を失った人間が神を気取ろうとするなんて。我等が同胞ながらヘソが茶を沸かすわ」
「まったくです」
「もういいわ。砂を料理するのは地球に戻れるときまで諦めるわ」
少女が無念そうにそっぽを向いた。
「ありがとうございます」
「無念だわ。悔しいわ」
「あの、船長は何か新しいものを食されたいのですか?」
「いいえ。なんとなく砂が食べたくなっただけ。でも、もし新しいものが食べられるならそれは歓迎だわ」
「一応レシピが存在する中で、それを発展させた料理というものは可能です。砂を材料とした料理が記されていないのでやはり砂は使えませんが、他の発展型なら料理できますよ」
「本当? それはよかったわ。では、人間料理をご用意なさい。材料は、あなたよ」
「え?」
そしてその日の夕飯には、料理長が使われた。
「美味しくないわ」
「おや、そりゃすまねぇです」
ヒゲをたくさん生やした子分が謝ると、船長がフォークとスプーンを机に叩きつけた。
「どこかで分量を間違えたかしら? この調理法は失敗ね、明日からはもっと改良しなくてはならないわ」
「船長。申し上げにくいのですが、マック料理長はあれが最後ですぜ」
「あー……あちゃー」
船長は頭を抱えた。
「まさか、我が艦が材料欠品に陥るなんて、不覚だわ」
その日の日誌に、船長は「材料と資源は全てが無限に非ず」というメモを自室に書き記した。
明日こそ、地球に帰れますように。
砂料理で検索すると、なんとやっている人がいました。私の発想力もまだまだですね。
でも思いついたからそのまんま思うがままに書いてみました。
書いてみるとこの連載を始めたのが失敗な気がするけど、気にせずやっていこうと思う。