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「夏の一日と、ふたりのこれから」

 当初は5人で遊んでいた俺たちだが、途中から吉田安井も合流した。


 といって、別に俺が呼んだわけではない。

 逆ナン待ち(されねえよ)で偶然プールに遊びに来ていたふたりが俺を見つけ、ハーレムのような状況をうらやみやっかみ、仲間に入れてくれないとグレるぞと脅すので(子供か)、しかたなく仲間に入れてやることにしたのだ。


 全部で7人となった俺たちは、全力で夏の一日を楽しんだ。


 流れるプールで流されて、波のプールで高波に挑んで。

 飛び込み台から恐る恐る飛び降りて、叫び声を上げながらスライダーを滑り降りて。

 ビーチバレーをし、小腹が空いたら軽食を摘まんで。


 みんなで楽しく遊んでいるうちに、最初は恥じらっていた渚ちゃんも徐々に大胆になり、いつしか気にせず俺の目に水着姿をさらすようになっていた。

 距離感は変らず1メートルなので、手を繋いだり水着姿でじゃれ合ったりということは出来ない。

 恋人ではないというていなので、おおっぴらにはいちゃつけない(普段だって特別いちゃついているわけではないが)。

 

 でも俺は、十分にその状況を楽しんでいた。

 むしろ普段より興奮しているまであった。

 

「今ちょっと、うっかり口にしそうになった、ヤバかった」


「もう、ダメですよ先輩。あくまで秘密ですからね、秘密」


 ちひろと杏ちゃんにはバレているが、吉田安井とルーにはバレていない。

 共通の隠しごとを持つ背徳感と、バレてしまったらどうしようというスリリングな感覚が楽しくてて、俺たちはふたり笑い合った。

 

「こうしていると、案外秘密でいるのも悪くないと思ったりするけど……でも、やっぱり……」


「ええ、いつか明らかにしたいですね」


 どちらからともなく、俺たちはそんなことを言い合った。


 隠しごとをするのは気持ちいいし、楽しいものだが、ウソをついているという罪悪感も同時にある。

 オープンなおつき合いをすればその罪悪感は無くなり、もっと大胆に接触することも可能になる。

 だからいつかは……そう思うのだが、例の条件が邪魔をする。


「ちなみにその……いつになったらオープンにしてもいいのかな?」


「ええと……それは……」


 俺の質問に、渚ちゃんは困ったように眉を寄せた。


 渚ちゃんが中学を卒業したら、でいいのだろうか。

 そうすれば校則の縛りは無くなるから。

 でも渚ちゃんが高校に入学したらどうなるのだろう。

 不純異性交遊OKな校則なんて無いだろうし、するとやっぱりダメなのだろうか。


「それは……ですね……」


 渚ちゃんは完全に言葉に窮してしまった。

 自らの出したおつき合いの条件、その重さに苦しんでいる。


「……と、ごめんごめん、困らせるつもりじゃなかったんだ」


 俺は慌ててフォローした。


「ただちょっと知りたかっただけ。全然焦ってないよ。渚ちゃんの好きなタイミングでいいからね」


「………………ええ、すいません」


 渚ちゃんは胸元を押さえると、苦しみを呑み込むようにうなずいた。






 


 ~~~現在~~~




「そうだよ! 俺らと一緒に遊んだことすらあったくせに、高城の奴忘れやがって!」


「『ええと……知らない人が……?』とか言って! 眼中がないにもほどがあるわ!」


 再会した時のやり取りを思い出したのだろう、吉田安井が口々に渚ちゃんを責める。

 しかし渚ちゃんはもう眠っていて、俺の肩に頭をもたせかけている(くーくーという寝息が超可愛い)。 


「あっ……どこかで見たなと思ったら、あの時のモテないふたり組っ!?」


 ポンと手を打って杏ちゃん。


「おまえも忘れてたんかーいっ!」


「姉妹揃って記憶力ゼロか!」


 吉田安井は絶叫を上げる。


「いやーその、ビタイチ興味が無かったもんで。ごめんね? えっへへへー」


「可愛く謝りゃいいと思ってんじゃねえぞごるああああああああ!」


「言葉のチョイスをもっと頑張れこらああああああああああああ!」


 大声で責めはするが、度胸のないふたりは実力行使に出たりしない。

 涙目になりつつ杏ちゃんにツッコむのみ。

 まあ……うん。興味ない、は言い過ぎだわな。

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