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「ちひろ&ルー①」

 ~~~現在~~~




 同窓会の喧騒を離れてお手洗いで手を洗っていると、隣りにルーがやって来た。

 化粧直しというところだろうか、逆十字やらコウモリやらのシルバーアクセがじゃらじゃらぶら下がった痛々しいハンドバッグの口を開けた。


「よう」


「……っ?」


 ルーはあたしの存在に気が付くと、一瞬逃げようとしてやっぱりやめ。

 小さくため息をつくと、ハンドバッグの中からパフとファンデーションを取り出した。


「……ねえ、あんたどう思う? さっきの話。兄貴と渚の、花火の時の……」


「わ、我は、その話を知らなかったので……」


「当時の話をしてんじゃないわよ。今の話よ、今のあんたの、気持ちの話」


「そそそそれこそべべべべつに、なんとも思っているものか」


「いやいやめっちゃ動揺してるじゃん」

 

 あたしが呆れてツッコむと、ルーは「うぐぅ」と呻いた。


「せっかく隠そうとしていたのに……。グインに悟られないようにと頑張っていたのに……」


 うらめしそうに言ってくるが、なるほど、こいつなりに頑張って平静を保とうとしていたのか。

 あたしと同じで、今もなお、兄貴に対する気持ちがあるから。


「……我は今宵、なるべく醜くならないようにしようと思って来たのだ。見苦しい、カッコ悪い女になったと思われたら終わりだから、平然と構えていようと思ったのだ」


 その独特のスタイルがカッコいいかどうかはともかくとして、こいつなりに兄貴によく見られたいという気持ちはあるのだろう。

 この場は平然と構えて、流して。

 辛抱強くアタックを続けていればワンチャンあるとか思っちゃってる辺り、憎めないバカではある。


「……でも、先ほどのは正直効いた。渚が花火の時に言おうとしたのは、紛れもない愛の告白であっただろうから。それを聞いたグインがどう反応するかもわかるから。それに関しては、ちひろも同じであろうが」


「ま、否定はしないわ」


 ルーの言う通りだ。

 当時は聞けなかった渚の言葉を聞いた兄貴がどんなリアクションをとるのか、そんなの見たくない。だからあたしはここに避難してきた。

  

「てことで、ちょっと間を置いてから戻ろっか」


「……承知した」


 ルーはうなずくと、ぱたぱたとパフをはたいた。


「しっかし、あんたも執念深いわね」


「当然だ。グインは我にとって運命の人だから」


 あたしのからかいに、ルーは胸を張るようにして答えた。


「たとえどれだけの距離を隔てても、時を隔てても、この想いが燃え尽きることなどありはしない」


「どれだけの距離と、どれだけの時……ね」


 そうだった。

 あたしは今さらながらに思い出した。

 今日こいつは、兄貴と5年ぶり(・ ・ ・ ・)の再会( ・ ・ ・)を果たしたところだったのだ。

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