「俺が彼女を好きになった理由」
「んーしかし、いざ書くとなると悩むな……」
拝啓、机の上にレターセットを広げたはいいが、そこからまったく進まくなってしまった俺ですがみなさんいかがお過ごしですか。
いやマジで、一文字も書けない。
文章を読むのはラノベなどで鍛えられていると思うのだが、書くとなると話は別だわ、これ。
そういや読書感想文とかも苦労するタイプだもんなあ、俺。
「なあ、どうすればいいと思う?」
「あたしに聞いてもわかるわけないでしょ!?」
ちひろは俺のベッドの上に寝転がりながら、眉を逆立てて怒った。
抱いていた俺の枕を引きちぎらんばかりにねじると、「さっさと書け!」と怒鳴って来た。
「そんでさっさとフラれてしまえばいいのよ!」
「いやおまえ、それはさすがに今の俺にとっては洒落にならんというか大ダメージで……」
「うっさい! さっさとしろ!」
渚ちゃん、清々しい初夏を迎え、そちらの様子はどうですか。俺は妹が冷たくて死にそうです。
「つーかさ、そもそも兄貴はあいつのどこが好きなの? 普通さ、選ぶならもっと他の人でしょ? もっとまともな恋愛が出来て、校則なんか関係ない人でしょ?」
煮え切らない俺の態度に腹を立てたのか、ちひろが畳かけるように言ってきた。
「俺が渚ちゃんを選ぶ理由? そりゃあおまえ……」
そこで俺はピンときた。
そうだ、それを書けばいいんだ。
どうして俺が渚ちゃんを好きになったのか。
その感情がどう育まれ、告白へと至ったのか。
彼女への揺らがぬ愛情をもって、浮気など断じてしていないということの証明にすればいい。
「よっしゃ、わかった! そうすればいいんだ! サンキューちひろ! 愛してるぜ!」
「な……っ、なななななななな……っ!!!? 愛してるって……っ!!!!!?」
なぜか顔を真っ赤にして動揺するちひろはさて置き、俺は全力で手紙に取り組んだ。
~~~現在~~~
俺の書いた懐かしい手紙を食い入るように見つめているルーと渚ちゃん。
ついでに吉田と安井。
ちひろはひとり離れたところで。
「……愛してるとか、簡単に言うんだもんなあ」
小声なので何を言っているのかはわからないが、苦虫を嚙み潰したようなような顔をしている。
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