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冒頭文
これは手記である。誰に向けたものでもない。だからもしこのページを開いた者がいたとして、君がこれを古びた日記帳だと思って不躾にもそのまま読み進めるか、或いは殴り書きによる一大ファンタジー小説であると捉えるか、どちらにせよどうでもいい。好きにしてもらいたい。ただ、ひとつ。これは手記である。今から僕がここに書き連ねるのは、壮大で広大で膨大な真実だ。それを忘れない為に書くのだ。放っておくと、いつの間にか自分の脳が勝手にこの体験をフィクションであると思い込みかねないからだ。だからもしこれを手にした者がいるならば、取り扱いには気をつけてもらった方が良いかもしれない。何なら、見なかったことにして閉じてしまうのが得策かもしれない。これは言うなれば天変地異の、ひっくり返った世界の裏側のレポートだ。もし君の家の卓袱台がひっくり返ったとして、それを戻したとしても、元の位置にぴたりと戻すことは不可能だし、君はきっとその裏側を覗いてみたくなるだろうから。