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第90話『改造システム』

※2023/12/07改稿しました。


お待たせしました。

第90話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。



 フランとケンの妹シュタインを連れ戻すため盗賊団の本拠地へと向かった。


『ここか』


 全速力で尚且つ効率的に爆走。そのおかげでわずか数十分でたどり着くことができた。俺の全速力なら大体5時間程で世界を1周することができるだろう。実際にやったことはないが。


()()()()()()()()()


 火の国から遠く離れたここは、おそらくマーブルやゴールド達も来たことがない誰が見ても分かるレベルの黒く染まった異様な森。通称、闇森(カースフォレスト)。世界のどこかにあるとされる絶対危険領域(デンジャーゾーン)と呼ばれる場所の1つだ。一般人はおろか、冒険者や勇者ですら入りたがらない地獄のような場所だ。こんな所に入る奴は相当の命知らずか目立ちたがり屋の通信屋だけだろう。


 さて、ここに入るには、少々骨が折れる。


『結界破壊魔法“闇”』


 この魔法は手から球状の光を結界に当てると結界を破壊する事ができる魔法だ。ただ、それには条件がある。結界の属性と自分が出す魔法の属性を合わせる必要があるのだ。属性が合わなければ結界を破壊することはできない。


 だが、世界にはろくに魔法を使わずに、ただ力だけで結界を破壊しようとする大馬鹿者がいるらしい。確かに力ずくで破壊する事もできるが、大幅に時間も体力を削ってしまい、あまりにも非効率だ。


『よし』


 結界は完全に崩壊し、闇森(カースフォレスト)に入る事ができるようになった。その後、森の中に入った俺はもう一度結界を張り直した。俺が侵入している間に誤って、他の一般人や冒険者に入られると面倒だからな。


『行くか』


 俺は黒い森の中に足を踏み入れる。


 モンスターが隠れてそうな雰囲気があるが、意外にもここにはモンスターはいない。なぜなら絶対危険領域(デンジャーゾーン)はモンスターにとっても脅威だからだ。


 闇森(カースフォレスト)も、昔は小型モンスターしかいない比較的平和な森だった。だが()()()がここを本拠地にするため、呪いの魔法をかけた。


 その魔法は人間やモンスターにかける事はできないが、海や森といった場所そのものにかける事ができる特殊な闇魔法だ。


『ここか』


 この森の中心に不自然に置かれている大きな岩がある。この岩を90度動かすと階段が出現する。その階段こそ、盗賊団の本拠地の入口だ。


 敵が待ち伏せしてる可能性もある。俺は慎重に岩を90度動かした……だが。


『ん?』


 間違いなく岩を90度ピッタリに動かしたはずだが、特に何も起きなかった。


『……もう1回動かしてみるか』


 再び同じように90度動かしたが、岩に隠れていた小型の虫系のモンスターが1匹出てきただけで、やはり何も起きなかった。


『…………なぜだ?』


 奴ら、本拠地を変えたのか?


 いや、真下の地面から確かに人の気を感じる。入口が変わっただけなのか? 


 …………このまま入口を探しても非効率的か。いっそ地面を壊しながら進むという手も……いや、それはやめておこう。もし、壊した先にシュタインがいたら、瓦礫が彼女に当たって大怪我をする可能性がある。


 ……やむを得ない。()()を使うしかあるまい。あんまり使いたくなかったが……仕方ない。


改造(チート)システム起動……コード008“エルード”』


 すると、どこかから機械音のような声が流れた。


改造(チート)システム起動確認……個体番号0000000003……個体名k……kkkkkkkkkkkkkkk……改造(チート)システムの起動、承認しました」


 これは魔法ではない。改造(チート)だ。文字通り、この世界のシステムの一部を改ざんするという、禁断の技だ。一般的には知られていない。だが、ダークネス、マーブル、ラピス、ラズリ、村正、()()()()()()()()()()()()()()()……あとは、プロメテウスを始めとした、神の居城(ヴァルハラ)守護神(ガーディアン)の奴らが、改造(チート)システムを知っている。


 これは本来緊急時に使われるものであり、そう安安と使っていいものではない。なぜなら、これを使う度に、自分の身体に多大な負担をかけるだけではなく、世界そのものの寿命を縮める事にもなってしまう。


『よし、これで本拠地に入れる』


 今の俺なら、鍵がかけてある扉があろうが壁だろうが地面だろうが、全てをすり抜けて進むことができる。


 早速、使わせてもらおう。俺は地面に飲み込まれるように盗賊団の本拠地の中に入った。すると地下1階の廊下に出た。


 ここには誰もいないようだ。


 あまり長く改造(チート)システムを使っていると、俺の身体がもたない。


 シュタインが居るのはおそらく最深部だ。もういっそ見つかってもいいからそこまで一気にすり抜けよう。


 俺は海に潜るように最深部まで一気にすり抜けた。案の定したっぱに見つかり、『侵入者だ!』と騒ぎだし、警報を鳴らされた。だが遅い。


『もう見つけた』


 ここはシュタインの部屋だ。壁紙も床もピンク色で、ベッドがあり、タンスがあり、テーブルもある、ピンク色が大好きな普通の少女の部屋の内装となっている。


『あ、ああ……あ、あなたは……誰?』


 目の前にいるのは10歳くらいの女の子……おそらくシュタインだ。


 俺を見るなり幽霊を見たかのような驚いた顔をしている。それもそうか。いきなり壁をすり抜けて来られたら、大抵はそういう反応をするだろう。


 俺のせいでひどく動揺してるようなので話が通じづらいかもしれない。時間が無いからって焦りすぎたようだ。ここはノックしてから入るべきだったな。


『俺はアクタだ。お前はシュタインだな?』


『は? は、はい、そうですけど……はっ、まさか、警報も鳴ってるし……あなた侵入者ですか!?』


『そうだ。お前の兄……フランとケンと、ある取引をさせてもらった』


『取引……?』


『説明なら後でするが、今は、お前をすぐに兄達の元へ連れ戻したいのでな……ついてこい』


 俺はそう言ってシュタインに手を差しのべるが、彼女は俺の手を振り払った。


『あなたを信用する事はできない』


 怪訝な表情ではっきりと拒絶するシュタイン。まだ年端のいかない少女だが、どうやら思ったよりも警戒心が強いようだ。


 さて、どうしたものか。

第90話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、24日(月)~26日(水)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

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