表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/722

第78話『愛してるぜ、アタシの妹達』

お待たせしました。

第78話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


2023/03/19改稿しました。

『あれ、まーちゃんかよ!』


『ええ……しかも、私達の事も記憶にないみたい』


『そんな……』


 たとえ中身は魔王でも、記憶にないのならただの凶暴なドラゴンでしかない。それだけではなく、彼女達にとっては家族同然であるが敵対しなければならないという事実にも押し潰されそうだ。


 案の定ドラゴンはゴールドちゃん達を凝視した後、敵と認識し、口から大きな火炎弾を発射する為に力を貯めている。


 まともに喰らえば死は免れない。しかし、あの最強生物であるドラゴンに命を狙われているという事実が、シルバーちゃんとブロンズちゃんとみどりちゃんの心と身体を支配する。


『おい、マジかよ! 皆、逃げろ!』


 ゴールドちゃんだけは、なんとか皆で逃げようと行動するも、他の3人は恐怖と絶望で腰を抜かしている。


『諦めるな! 皆で逃げるぞ!』


『あ……あぁ……』


 ゴールドちゃんの熱意が彼女達に伝わることはなく、生きて逃げるという選択肢が彼女達の頭の中から一時的に抹消されている。


 こうしている間にも火炎弾は徐々に大きくなっている。


 火炎弾がここら一帯を焼き尽くすまであと10秒。今から逃げてもとても間に合うとは思えないが、ゴールドちゃんだけはそれでも諦めなかった。


『ほら! 早く行くぞ!』


『……』


『ああもう仕方ねえな!』


 ゴールドちゃんは置き物同然の妹達を魔王城まで担いで行こうとしたが、さすがにその小さな身体で3人を担いで行くのは無理があった。


『くっ……こうなったら……一か八か……!』


 無理やり担いでいた3人を一旦地面に寝かせ、ゴールドちゃんは1人、ドラゴンに立ち向かった。


 無論勝ち目はないし、そもそも空を飛ぶ手段もなしに宙から攻撃するドラゴンに攻撃する方法は現状ない。せいぜいすごい高いジャンプをするくらいだ。


 しかし、それで攻撃できたとしても最強生物に通じるかは怪しいところだ。しかも中身はあの魔王だ。ただのドラゴンよりも高い戦闘能力を誇る怪物に勝てる道理はない。


 ――そんなことはアタシにも分かる。アタシじゃ到底勝てるわけがないと。だけど――


『それでも、やるしかないよな!』


 ゴールドちゃんは、横たわる妹達の方を向いて微笑んだ。


『愛してるぜ、アタシの妹達』


 妹達の為に戦う決意をしたゴールドちゃんは、ドラゴンに武器(ハンマー)をぶつけるために助走をつけて大ジャンプをした。


『喰らえー! これが、アタシの全身全力!』


 ゴールドちゃんは残りの魔力どころか命すら捧げそうな勢いで今まで以上の力を発揮し、ハンマーはそれに応えるように、()()()()を纏った。


 そして、ドラゴンの方もとうとう火炎弾を発射した。


『うおおおおおおおおお!』


 ゴールドちゃんの金色の炎を纏ったハンマーが、火炎弾とぶつかり合う。


『くっ……!』


 熱い。熱い。熱い。熱い。熱い! とにかく熱いとゴールドちゃんの身体が悲鳴をあげている。


『歯ぁ食いしばれええええええええ!』


 彼女の力によって、火炎弾はハンマーによって食い止められているが、決して優勢ではない。このままではゴールドちゃんごとこの地帯を飲み込むだろう。


『くっ……これでもダメなのか! だけど……アタシが諦めたら……誰が妹達を守るんだ!』


 諦めない。けど熱い。辛い。苦しい。泣きたい。逃げたい。彼女らしくない負の感情に支配されそうになる。


 しかし、それよりも妹達を死なせたくない、その思いの方が遥かに強い。故に彼女が諦めるなんてことはありえない。


『アタシは負けない!』


 ゴールドちゃんのハンマーに纏う金色の炎は、更に勢いを増し、ドラゴンの火炎弾を押し戻そうとしている。


 優勢になったと思ったのも束の間、ドラゴンは火炎弾を自ら()()()()()


『えっ……?』


 火炎弾を掻き消された事で空中で無防備になってしまったゴールドちゃんをドラゴンは爪で引き裂こうとした……が、強い力に掴まれてターゲットに爪を立てることはできなかった。


『し、師匠……?』


『ゴールド、よくやった』


 彼女の目の前にはアクタがいた。ドラゴンにも劣らないその凄まじい力で怪物を止めていた。


『師匠ぉ……』


 ゴールドちゃんの恐怖と緊張は安心感に溶かされ、まるでその感情を涙にして流しているようだった。


『あとは、俺に任せろ』


 アクタはゴールドちゃんを左腕で抱えたまま、右手で掴んでいたドラゴンの腕をドラゴンごと持ち上げ、後ろの崖に向かって、ボールを投げるかの如く、軽々と遠くまで投げ飛ばした。


 宙の直線を高速で描くドラゴンは直線上の岩を貫通し、また後ろの岩を貫通した。


 これだけでも相当のダメージを与えられたように見えたが、さすが最強生物。これだけ吹っ飛ばされても、持ち前のタフさですぐ起き上がり、よくもやったなと咆哮を上げて、また火炎弾を放った。一切溜めずに放ったので先程よりは小さいが、それでも街を破壊できるほどの強大な威力だ。


『無駄だ』


 アクタは襲いかかる火炎弾を右手で受け止めた。火傷の1つすらせずに。


『この程度か』


 煽られたと思ったドラゴンは激怒し、翼を広げ、アクタを直接吹っ飛ばそうと、体当たりをしかけてきたが、アクタは右拳を振り上げ、迫ってくるドラゴンの顔面を殴って、返り討ちにした。


『目を覚ませ! この大馬鹿者が!』


 アクタは激怒した。自分に攻撃をした事に怒っているのではない。魔王の仲間で家族でもあるゴールドちゃん達に攻撃した事に激怒したのだ。


 だが、魔王……ドラゴンは更に激昂し、アクタに向けて、再び火炎弾を発射しようとしている。


『お前が目を覚ますまで、何度でも殴ってやる。覚悟しろ!』


第78話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、本日24日~25日に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ