表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/722

第73話『証明と誓い』

※2022/11/19改稿しました。


お待たせしました。

第73話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。

 アクタは少し迷った。


 効率至上主義のアクタだが、ゴールドちゃんのお願いを即却下できるほど非情ではない。


 しかし、今回はただ魔王城に入るためについてきてもらうだけだ。それならば1人つれてくれば済む話であり、大人数で行くメリットはない。 


『ダメだ。効率が悪い』


『また効率かよー!』


 ゴールドちゃんはなんとなくそう言われるだろうと思っていたが、面と向かって言われると、少しショックを受けた。


 だが、この後アクタは思いもよらない言葉を発する。


『ああ、だからお前達が俺達と一緒に行くことが、どう効率的なのかを()()してほしい』


『どういうことだ?』


 アクタの言いたい事がさっぱり理解できないゴールドちゃん。必死に頭を回してる姉にブロンズちゃんは分かりやすく説明した。


『つまり、私達がついていく事にメリットを見いだせないから、それを教えてくれほしいってことでしょ?』


『そういうことだ』


『分かったわ。証明してあげるわ』


 効率野郎のアクタを説得するのは至難の業だが、頭の回転が早いブロンズちゃんなら、この場の誰よりも可能性がある。


『ああ、ただし時間は3分だ』


『いいわ』


 ブロンズちゃんはメガネをかけ、自信ありげな表情だ。


『はい、質問です!』


 そう言って手を挙げたのはアミさんだった。まだ何も言ってないのになぜ質問してくるのか謎だったが、アミさんの心を読んですぐさま理解した。


 それは個人的な感情。大人の女性から年端のいかない美少女に向ける劣情であった。


 その1つはブロンズちゃんがメガネをかけたという事象について。ただでさえ美少女のブロンズちゃんがそんなことをすれば、尊死する者もいるだろう。アミさんもその1人。


 ということは質問の内容は『なんでメガネかけてるんですか? 私を尊死させる気ですか?』だろう。


 それに対してブロンズちゃんは『気合を入れるためよ』と答えようとしたが、アミさんの心の声が追加で流れてきたので、続けて読んでみた。


(メガネかけたブロンズちゃん可愛すぎ。あ、メガネかけなくても可愛いけどね)(ゴールドちゃんもだけど、ブロンズちゃんもなかなかスカート短いなぁ……パンツ見えそう)(ああああああ、超絶可愛いブロンズちゃんをお持ち帰りして、あんなことやこんなことしたい……)


 今、アミさんの心の中にはブロンズちゃんへの変態的な愛が溢れていた。それほどまでに“メガネをかけたブロンズちゃん”が余程好みだったようで。


『アミお姉ちゃん……私がメガネをかけてるのは気合いを入れるためよ。あと、心の中で私を褒めてくれるのは嬉しいけどさ……パンツ覗いたり、お持ち帰りとか絶対ダメだからね? ホントにやるんじゃないわよ?』


 一切の照れはなく、ジト目でアミさんを見た。


『あ、そうだった。ブロンズちゃんは人の心読めるんだったね……なんか……ごめんね?』


 アミさんは心の声を聞かれただけではなく、気持ち悪いくらいの愛が本人に伝わってしまった事実に対して、気まずさを隠せない。


『おい、アミ』


『は、はい……』


『静かにしろ』


『ごめんなさい……』


 親に叱られた子供のようにしゅんと落ち込んだ。同時にまるで団長が父親のようだと思ったが、言うとまた怒られそうなので、口を紡いだ。


『ブロンズ、アミがすまない。続けてくれ』


『え、えぇ……。えっと、なぜ私達がついていった方が効率が良いのかだけど、ゴールド姉に対してあなた言ったわよね? ゴールド姉の修行を手伝ってくれるって』


『ああ、言ったな』


『ここから魔王城を目指すってことは、必然的にモンスターに遭遇する事になる……それ自体がゴールド姉の修行になるんじゃないかしら?』


 つまり、遭遇したモンスターを倒すことが修行になると言いたいようだ。そうすれば目的地である魔王城にも行けると同時にゴールドちゃんの修行も見ることができる。これは効率厨のアクタの大好きな一石二鳥を実行することができて、考えうる限りの最高の提案ではないだろうか。


 当のアクタも一切否定することなく、肯定的な態度を示している。


『なるほどな……修行を手伝うと言った以上、無下にはできない。良いだろう。ついてこいゴールド』 


『……師匠……!』


 ゴールドちゃんは、同行を認めてもらえた嬉しさのあまり、ついアクタを師匠と呼んだ。


『師匠……?』


『ああ! 師匠!』


『……まあいいだろう、次はブロンズだ。なぜお前も俺達についてくる?』


 ゴールドちゃんはついてくる理由ができた。しかしブロンズちゃんは修行するわけでもない。今のところついていく理由が見当たらないのだ。果たしてブロンズちゃんも同行を認められるのか……他の皆は固唾を呑み、ブロンズちゃんを見守る。


『私が心を読める魔法を使える事はご存知よね?』


『ああ』


『もし、魔王城へ向かう途中に盗賊団の誰かと、遭遇した時に、私が心を読む魔法を発動すれば、盗賊団の情報を入手することができるわ』


『ほう……その心を読む魔法は、1日にどれだけ発動できる?』


『そうね……意識した事は無いけど、100回は発動できると思うわ』


『なんだと!? それは驚いたな……余程、心を読む魔法と相性が良いのだな』


 いつも冷静なアクタだが、100回と聞いて珍しく取り乱した。


 ただでさえ心を読む魔法を使える人間は極端に少ない。心を読む魔法が使えるってだけで、パーティに欲しがる冒険者は多いが、とても強力故に通常1日5回しか発動できない。だがブロンズちゃんの場合は1日100回も使える。確かに人によって相性が良ければ魔力の消費はより少なくなり1日に発動できる回数が増えることもある。だがブロンズちゃんに関しては、次元が違う。


 アクタは危惧している。もしブロンズの存在が()()に知れ渡ってしまったら、ブロンズが狙われるのではないかと……。それなら一緒に来てもらった方が安全だとアクタは考えた。


『良いだろう、ブロンズ……お前もついてこい』


『あら、随分あっさり認めるのね。長話しないようにするために私の望みを叶えた方が効率が良いと思ったから?』


 決して嫌味で言っているわけではなく、これは純粋な疑問だ。特にアクタに関しては、心を読む魔法が使えないので、こうして質問するしかない。


『ああ、お前達をつれていった方が……効率が良いと判断したからだ』


 アクタはこう言ってるが、本心ではそう思ってはいない。確かにアクタは基本的に効率が良い方を選ぶが、危険が及ぶ可能性があるのなら話は別だ。


 アクタはこうも考えている。ブロンズを巡って戦争が起きる可能性がある。そうならないためにも、必ずブロンズを守らなければならない。いや、ブロンズだけではない、この場にいる全員を必ず守る……仲間想いでもあるアクタは心の中でそう誓った。


第73話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、12日~14日に投稿予定ですが、できれば、早めに、12日には投稿したいと思います。

宜しくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ