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第69話『再会と殲滅と……』

お待たせしました。

第69話の執筆が、完了しました。

宜しくお願い致します。


※2022/09/10改稿しました。

 ――その男の名はアクタ。


 かつてのダストが所属していたギルドの団長でもあり、彼の兄でもあった人だ。


 だが、ここにいるアクタはダストの兄でも無ければ、ギルドの団長でもない。ただの上級冒険者だ。


 だけど、どういうわけかアクタはギルドの皆の事を覚えているし、ダストが弟だった事も記憶には存在する。


 アミさんも実はそのギルドに所属していた事があり、その時の記憶もはっきりと覚えている。


 本来であれば、別の世界線(かこ)の記憶なんて1ミクロンたりとも覚えているはずが無いのだが――


『アクタ団長……』


『団長はよせ、()()()()()()()俺は団長はおろかギルドに所属してすらいない』


『あ、はい……そうでしたね……』


 アミさんは、どこか悲しそうな表情を浮かべた。


『世界……線……?』


 世界線という単語にブロンズちゃんは全く理解できるはずもなく、頭にはてなマークを浮かべている。


 だけど勤勉な彼女は少しでもその話を理解したいと思い、アクタの心も読んでみるも、魔法を阻害され心を読むことができなかった。


『無駄だ、俺にその魔法は効かない』


『……!』


 今まで殆ど無かった前例にブロンズちゃんは恐怖を覚え、戦闘体勢に身構えた。


『ブロンズちゃん大丈夫だよ、この人は――』


 この人は敵じゃないよと言いかけたその時、刃がアミさんの目の前に襲いかかってきた。ブロンズちゃんが『危ない!』と言う前に、アミさんは咄嗟に剣を抜き、刃を受け止めた後、瞬時にバク転をして、後ろに下がった。


『流石だな、アミ』


 アミさんに刃を向けたのはアクタだった。それは決してアミさんを倒すために刃を向けたわけではなく、腕が(なま)ってないか、確かめる為に刃を向けたのだ。


 結果、アミさんは見事アクタの不意打ちを受け止め、傷1つ付くこと無かった。そんな頼もしいアミさんを見て、アクタはどこか嬉しそうに口角を上げた。


『不意打ちしてくるなんて、団長らしくないですよ』


『世界線が違えば性格だって変わるものだ。逆に性格が変わってない方が不思議なくらいだ』


『そうですか? 団長が逆に変わりすぎなんじゃ――』


 アクタとアミさんが歓談している間に、さっきまでアクタに忠実だったドラゴン(魔王)が、空に向かって雄叫びをあげた。


『おい、どうしたマーブル!』


 アクタが魔王に必死に呼び掛けるが、魔王にはアクタの声が聞こえていないのか、全然雄叫びをやめる気配はない。まるで誰かに助けを求めているかのようだった。


 叫び続けて1分くらい経つと、上空から()()()()()()()がやってきた。


『嘘……でしょ……?』


 ブロンズちゃんは驚愕と恐怖のあまり、そのままへたり込んでしまった。


 ――現れたのは黄色いドラゴンと緑色のドラゴン。それぞれ色違いのドラゴン達が威圧感と恐怖を持って、アクタ達を殲滅しようとしている。


『これは……さすがに……』


 あの赤髪ちゃんとほぼ互角に張り合えるアミさんですら2頭のドラゴン相手するには荷が重いようで、ブロンズちゃんを連れて地下に逃げ込もうとしていた。


 だが、この男アクタだけは戦意を喪失しておらず、『ここは俺1人で充分だ』と言い、ドラゴンに刃を向けた。


 アクタは両手に剣を1本ずつ持つ二刀流スタイルで、超速でドラゴンの周りを走った。ドラゴンの方はアクタのあまりの速さに翻弄され、口から火炎弾を放ってみても、アクタにはかすりもしなかった。


『さ、さすが団長……は、速すぎ……ははは』


 超人のアミさんでもアクタの速さには思わず苦笑いをしてしまう程だった。ブロンズちゃんに至ってはアクタの姿すら目で追えず、そこにいることすら認識できなかった。


 ドラゴンの混乱が怒りの表情に変わる頃にアクタは隙をついて、黄色いドラゴンの羽を斬り、胴体に剣を突き刺した。すると黄色いドラゴンはあまりの激痛に雄叫びを上げ、アクタがそこでもう一度剣を縦に振り、黄色いドラゴンは真っ二つとなった。


 緑色のドラゴンは仲間を消滅させた事に酷く憤慨し、大きな口を開け街全てを焼き尽くすレベルの大きな火炎弾を放とうとするが、アクタは左手の剣に水魔法を纏わせ、巨大な火炎弾に向けて水の剣を突き立ててることで水のビームを発射させた。


 すると、あんなに大きかった火炎弾は跡形もなく鎮火し、勢いが残った水の砲撃は無防備となったドラゴンの口に大量に入り込むと、ひどく噎せ返った。


 その後、アクタは今度は右手の剣に光魔法を纏わせ、ドラゴンの口の中に剣を突き刺し、先程の水の剣と同じように纏わせた光がビームとなり、ドラゴンの体を貫いた。そしてドラゴンは激痛に呻きながら倒れ、そのまま消滅した。


 その場面を見せられたドラゴン(魔王)は何を思ったのか、羽を広げて逃げるように空の彼方へと消えていった。


 ブロンズちゃんとアミさんは消えた魔王を追いかけようとするも、既に空の彼方。鳥のように空を飛ぶこともできない2人は呆然と空を眺めていた。


 その後、ひとまず魔王の事を後回しにした2人はアクタと共に地下の秘密基地へ戻った。


 その後、アクタが魔王がなぜドラゴンになってしまったのかを皆に説明してくれた。


 どうやら、魔王は盗賊団の()()()()()()により、ドラゴンに変身する魔法を、無理矢理習得させられたようだ。その影響でドラゴンから人間に戻れなくなり、しかも副作用として記憶までもが曖昧になっている。


 人工魔法技術とは本来の魔法のは大きく異なり、努力して得るものではなく魔法の才能が無かろうとその魔法の素質が無かろうと、一瞬で習得したい魔法を使えるようになる。


 ただし、それ相応のリスクがある。先ほど説明した通り、魔王もドラゴンに変身するという非常に強力な魔法を得たが、記憶が曖昧になったり、本来の性格や価値観も歪められたり戻ったりと不安定になる。


『つまり、まーちゃんは……もう……』


『ああ、かつてのマーブルはもういないと考えた方がいいだろう』


『そんな……』


 つい数日前まで家族同然の仲間がまたいなくなった。


 魔王だけでなくダストも死に、赤髪ちゃんやあおいちゃんも行方不明のまま。もう、あの頃の日常は戻ってこないんだと……彼女達は大きく悲観した。だが、そんな絶望はアクタの次の発言によってかき消される事になる。


『安心しろ。まだ全員助かる方法がある』


『え……?』

第69話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、2日~4日に投稿予定です。

それとは別に、どこかで設定資料を公開しようと思っています。いつ公開するかは、まだ未定です。

宜しくお願い致します。

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