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第65話『地獄のような事故った自己紹介』

お待たせしました。

第65話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2022/09/06改稿しました。

『あの、本当に……本当に、ありがとうございました!』


 俺の身体を治療してくれたミユっちさんに、この大いなる感謝の意を全力で伝えるべく、深々と頭を下げた。


『いえ、隊長が……あなたが無事ならそれで良かったです』


 ミユっちさんはまた俺の事を間違えて隊長と呼んだ。呼ばれてみると、妙にしっくり来るのは何故だろう?


『なー、その隊長ってのは何だ?』


『私にも分かりません……ドジっ娘を拗らせて頭までドジになってしまったのでしょうか……?』


『いくらミユウちゃんがドジっ娘でも、さすがにこんなにひ弱で頼りなさそうで情けない、おまけに変態なお兄ちゃんが隊長だなんて思えないでしょ?』


 ブロンズちゃんは残酷に容赦なく完膚なきまでに俺のメンタルを破壊してきた。


 さっきまであんなに感動的な雰囲気だったのに……やはりブロンズちゃんは、ブロンズちゃんだった。


『うーん、確かにそうですね……』


 そうですね……じゃねえよ! 俺は2人の美少女にディスられた悲しさで大きくため息をついた。


『あ、ごめんなさい! そんなつもりは無いんです! 隊長……じゃなくてダスト隊長……って誰ですか! じゃなくてダチョウ……じゃなくて! ああーもう!』


 ミユっちさんはどうしても俺の事を“隊長”と呼んでしまい、ドジすぎる自分にイライラしてむしゃくしゃして頭をかいた。


『落ち着け、ミユウ』


『あ、ごめん、ダイゴ……』


 ダイゴっちさんは無言で大きな手をミユっちさんの小さな肩にポンと置き、ミユっちさんを落ち着かせた。


『ははは、さすがダイゴだなってあれ?』


 俺はごく自然にそんな言葉が口から出た。まるで俺がダイゴっちさんの気のいい上司であるかのように馴れ馴れしく話しかけてしまった。


『ははは、これくらい何てことないですよ隊長。ん?』


 ダイゴっちさんの方も無意識に謙虚な部下のような態度を取った。


『やっぱり……俺ら、どこかで会ったことあるよな……?』


 俺がミユっちさんとダイゴっちさんに視線を送ると、二人共うんうんと2回頷いた。


『えーと、とりあえず自己紹介してもらった方が良いんじゃないか?』


 アミさんが気を利かしてそう提案してくれたので、ミユっちさん、ダイゴっちさん、そして俺……といった順番で自己紹介することにした。尚、ゴールドちゃんやアミさん達は、既に知り合いなので割愛した。


『最初は私ね。私の名前はミユウです。出身は“桜の国”です。身長は140センチ、体重は40キロ、戦闘面では剣や拳ではなく魔法を主に使います。宜しくお願い致します』


 ミユっちさん改めミユウは、丁寧で滑舌良く自己紹介を終えた後、まるで謝罪をするかのように綺麗に頭を下げた。


 そんな深々と頭を下げなくても。


『次は俺だな。俺の名前はダイゴです。出身はミユウと同じく“桜の国”です。身長は……180くらいだと思います。体重は覚えてません。得意な戦闘スタイルは格闘術です。武器や魔法は苦手です。よろしくお願いします』


 ダイゴっちさん改め、ダイゴは低くて渋い声で丁寧に自己紹介をしてくれた。


『最後は俺だな。俺はダストです。残念ながら身長も体重も覚えてないです、戦闘スタイルは――』


『お兄ちゃんの身長は166、体重は45くらいね……ずいぶん痩せちゃったのね……』


 自己紹介の途中で、ブロンズちゃんは俺の身長と体重を暴露した。


 というか、身長は前に聞いてきたからともかく、何で体重まで知ってるの?


『あとお兄ちゃんは、私達のような美少女とパンツが大好きな変態ね』


『おい、こら』


『え? 何か間違ってる?』


『確かに女の子は好きだけど、変態じゃないし、別にパンツも好きじゃない』


『えー、前はよく、ゴールド姉のパンツを舐め回すように見てたくせに』


 ブロンズちゃんがそう爆弾発言をぶちかますと、ゴールドちゃんは昔を思い出して恥ずかしくなったのか、途端に顔が真っ赤になり、両手でスカートを抑えた。


『み、見てないよ!』


 正確にはゴールドちゃんが無防備なところもあったので、ちらちら見えた事はあるけど、舐め回すようには見てないぞ、ホントダヨウソジャナイヨ。


『お兄ちゃん、嘘つきは変態の始まりなのよ?』


『そこは泥棒じゃないの?』


『分かってるわ……お兄ちゃん、私の下着を泥棒したそうな顔してるからね……』


 うっとりとした表情で、俺が犯すかもしれない犯罪を予言した。やらないよ?


 そんな卑猥な会話ばかりしてるからか、さっきからミユウからの軽蔑の目線がチクチクと刺さる。


『そ、そこまでやるわけないだろ!』


『ダストさん、最低です』


 ミユウはなんて汚らわしい! 女の敵! と言わんばかりに、俺を睨み付けた。


『あの、ミユウ……さん、俺の話を聞いてくだ――』


『言い訳は結構です。失望しました、近寄らないで下さい、この変態』


 ミユウはまるで俺の話を聞かず、俺を変質者認定した。


 あぁ……好感度メーターの針が0を指しているイメージが見える (気がする)……終わった……。


 俺は1人の美少女に嫌われたという名の絶望を打ち付けられ、俺の虚ろな目から一筋の血が流れた。


『可哀想なお兄ちゃん……後でカウンセリングしてあげるわ……』


 ブロンズちゃんのせいでしょうが。


『ふふっ、たっぷり調k……慰めてあげる』


 今、調教って言おうとしたよね?


『ふふふ……』


 ブロンズちゃんは、どんな罰を与えてあげようかしら……と言わんばかりに不適な笑みを向けてきた。


『ひ、ひぇぇ……』


『コホン、そろそろ次の話をしたいんだけど、いいかな?』


 アミさんは、まるで話を聞かない生徒に本気でぶちキレる5秒前みたいな威圧的なオーラを出してきた。心なしか背景にゴゴゴゴゴ! という文字が見える (気がする)。


『は、はい、ごめんなさい先生!』


『誰が先生だ! 罰として君たちは3時間バケツを持って廊下に立ってなさい!』


 アミさんは昔ながらの先生のみが使える有名なスキル“廊下に立ってなさい”を発動し、俺とブロンズちゃんはアミ先生の固有スキル威圧(スキル)に抗えず、しょんぼりしながら、食堂を出てすぐの廊下に立った。


 両手には水いっぱいのバケツを持たされた上に、廊下は少し寒く、お化け屋敷と錯覚するくらい不気味で暗いので2つの意味でぞくぞくするような場所に、3時間も立たされる地獄を味わった。


 そして3時間が経つと……。


『もう疲れたよ……パト――』


 限界を迎えた俺とブロンズちゃんが倒れそうになったところを、お迎えの天使ならぬダイゴに部屋まで担がれた。


 ぷるぷると震えていた身体が、恐怖に支配されそうになっていたメンタルが、ついに真っ白に燃え尽きた。


第65話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、21日~23日に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

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