第609話『シャドークリーン』
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――――――女神ノルン様のお掃除タイム開始――――――
お掃除タイム開始ですわ。まずは明らかにゴミなものをゴミ箱に入れます。飲みかけのペットボトルに空の弁当箱、丸まったティッシュに……虫の死骸……ひえっ!
私は自分の能力を使い、超高速でゴミを分別した。
次はゴミ以外の物を分別しましょう。
最初は最も多い衣類から。宝探しのように服の山を漁った。その中には何故か男物の服や下着が混ざっていた。それも一つではなく何十着も。もしや男と同棲してる? それとも趣味だったりして。
『ふぅ、なんとか纏まりました』
ダンジョンみたいな混沌とした部屋でどうやって纏めたかって?
それは……この“収納箱”のおかげですわ! 手のひらに収まるほどの小さいサイズでありながら、物を大量に収納できる便利グッズ! 元々はヒルドさんに作ってもらった試作品でしたが、ここで役に立つとは思いませんでしたわ。
これで衣類は部屋から完全に消えて収納箱に収まりました。
『収納箱はあと3つありますね。次は――』
私はこの調子でこのダンジョン部屋を攻略し、綺麗にしていくのであった。
――――――女神ノルンのお掃除タイム終了――――――
ユリウスがテルマエから上がると、見違えるほどの綺麗な部屋を目の当たりにする。
『おおー!!!』
物がなくなった分だけ部屋が広くなり、埋もれていた家具もようやく日の目を浴びた。
『あれだけ物があったのに……一体どんな手品を使ったんですか?』
『物を圧縮させましたの』
『圧縮?』
ノルンは手のひらに置いた光る小さな箱を4つ差し出した。
『これは?』
『この部屋にあった物はこの4つの箱の中に種類ごとに入ってます。たとえばこの箱は――って見分けつかないので、それぞれ色をつけますね』
小さな箱に赤、青、黄、緑を着色した。
『わぁ、すごい!』
『この赤い箱は衣類、青い箱は本類、黄色い箱はゲーム類、緑の箱はその他小物類です。取り出し方はこの突起ボタンを押せば出てきますが、結構勢いよく出てくるので周りに何もないところで押してくださいね』
『わざわざありがとうございます』
『うむ、私のためにここまでして下さるとは! ノルン殿、感謝するぞ!』
と、シズカの隣にいる半裸の男性が言った。
『どちら様!?』
『ああ、申し訳ない。私はユリウスだ』
と、半裸の男性は言った。
『ゑ?』
今ノルンの目の前にいるユリウスは、美少女のユリウスとは異なり、長身でかなり筋肉質で男らしい印象だ。しかも顔もいい。道を歩けば女性達が黄色い歓声をあげるだろう。どこぞのパンツ大好き変態野郎とは真逆の存在だ。
『ユリウスさんって……先ほどのユリウスさんと同じ名前ですね。もしかして同一人物だったり?』
『その通りだ』
(えぇ、どういうことですか??????)
ただノルンの未来予測によれば、未来には性別が変わる魔法、もしくはそういう事象があるらしい。だが、今は6属性の魔法しかない時代だし、事象に関しても現時点では確認されていない。
『私から説明します!』
首を傾げるノルンを見かねて、シズカが慌てて口を開いた。
『コホン、我が王ユリウス様は水を浴びると性別が変わります』
『水を浴びると性別が変わる……?』
(どこかで聞いたような設定ですね)
『生まれた時からですか?』
そう聞くと、説明役のシズカではなくユリウスが代わりに答えた。
『生まれた時かどうかは分からないが、幼い頃から私は影と立ち位置を交換できる能力を持っている』
『影……つまり今の貴方は水を浴びるまでは影の中にいて、先ほどの可愛らしいユリウスさんは今は影の中にいると』
『そうだ。聡明なんだなノルン殿は』
ユリウスはそう言って爽やかに微笑む。そんな彼にノルンは頬を染める。
『お褒め頂きありがとうございます』
冷静に礼を言うノルンだが内心は心臓バクバクである。
(どうしよう、彼結構タイプかも……ですが私はAIで女神。立場が違いすぎますわ。それに私はどちらかと言えば男性より女性の方が好みです。断じて顔がいいからって男性に惹かれることなどありえません。絶対に絶対に絶対にありえないのですどうしようユリウスさんカッコいい……。そもそも人ではない私にはそんな資格はありません。この気持ちもきっとバグによる影響です。デバッグ班しっかりしやがれですわ。天罰喰らえ☆)
デバッグ班にとばっちりを与えたところで、彼女は毅然とした態度で言った。
『私は女神ですから、当然のことですよ』
『うむ、ノルン殿のことはカレンから話は聞いている。地上の世界を管理する者らしいな』
どうやらカレンがノルンの事を事前に伝えていたようだ。
『ええ、その通りです。私は女神として生まれ、それに見合った能力を授かりました』
その後もノルンはこれまでの経緯を話せる範囲で説明した。
『そうか、ゼウスを止めるために地上で色々画策していたのか』
『ええ、今は地上も崩壊しているでしょう。ですが役目は終えました。私はもう死んでも構わない』
『だが、カレンに助けられた』
『はい、カレンさんのおかげて生き永らえることができました。ですが先ほども言った通り私にはもう役割がありません。なので後は皆さんに任せてここで余生を過ごそうかと思います。ユリウスさん、厚かましいかもしれませんが、私をここの住民にしてくれませんか? もちろんお役に立ちますよ』
ノルンは何の企みもなく、ただ純粋にそう懇願した。これからは地上の人間達の為ではなく、この国の為に働くだろう。
(決して皆さんに会いたくないわけじゃない。ただ元々私は人に必要以上に肩入れしてはならない存在。未来予測では今後は私の力なしでゼウスを打倒できる。ならば私はこれ以上地上の人間に関わるべきではない)
『確かにノルン殿は我々にはない力を持つだろう。ならば我々にとってもノルン殿をここに置くメリットはある』
『じゃあ――』
すると、ユリウスは3本の指をノルンの前に立てた。
『ただし、条件が3つある』
『条件……ですか?』
『ああ、まず1つ目の条件だが――』
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