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第608話『シャドーメシー』

お待たせしました。

第608話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


『こちらでございます』


 シズカに案内された先にあったのは、ごく普通の扉だ。とても王族がいるような部屋に見えない。


『あの、ここなんですか? こんなこと言うのは大変失礼ですが、あまりにも普通すぎません?』


 この部屋のドアと聞けば、すぐに普段の日常を連想できるような庶民的な扉。今目の前にあるそのドアの先に王がいるらしい。


『もしかして王様って今日オフだったりするんですの?』


『いいえ、オンですよ』


(オンって何だよ)


『出勤日なんですね』


『はい』


『この先にいるんですか?』


 茶色い扉に指をさす。


『いらっしゃいますよ!』


 曇りなき眼でそう答えた。


『本当に?』


『はい!』


『本当に?』


『はい!!』


『……もう分かりましたわ』


 ノルンは疑うことを諦めた。そもそも彼女は人の心が読めるので、シズカは嘘をついていないことは分かっている。なので疑うこと自体が無駄なのだが、あまりにもミスマッチすぎる扉にツッコまずにはいられなかった。


(まあでも扉が普通なだけで、この先は王室の洋装である可能性だってありますよね)


『準備はよろしいですか?』


『ええ、どうぞ』


 シズカは扉をノックしてから、


『我が王。お客様がいらっしゃいました』


 すると、奥から『入れ』という声が聞こえた。


(あれ、王って女性なんですね。女王ではなく王と言っていたのでてっきり男性かと思ってました)


 思いの外、可愛らしい声だった。


『失礼致します』


 シズカはドアノブを回した。ついにシャドーの国王との対面だ。


『え……』


 扉の先の光景はとても綺麗なものではなかった。というか汚い。()()()だ。


『何ですのこれ? 前が全然見えないのですが』


 服やら物やらが壁となってこちらの進行を阻害している。本当にこの奥に人がいるのか疑問を抱いてしまう。


『あーあー、またこんなに散らかして……』


 お母さんムーブを醸し出すシズカは物だらけの壁をかき分けると、崩壊して、さらに崩れた物を全てかき分けてどうにか道を作った。


『さぁどうぞ!』


『どうぞじゃねえですわ。何なんですの、この散らかりようは!』 


『お見苦しい所をお見せして申し訳ございません。我が王はその……お片付けが死ぬほど下手なのです』


 シズカは引きつった表情でそう言った。


『でしょうね!』


 道を作っても尚、未だに国王の姿も見えない。まるで薄暗いダンジョンのようだ。


『それでは進みましょう』


『進みましょうなんて部屋の中で言う事じゃありませんよ……』


 ここは本当にダンジョンなのかもしれない。そう思ったノルンだった。


『それにしてもすごい量の服ですわね。せっかく可愛い服が多いのに台無しですわ』


 服だけではない。ゲーム機や本、ペットボトルと弁当の蓋など様々なものが積み上がっている。


『下着までありますの……』


 奥に進むにつれて下着の数が多くなっている。


『これもせっかく可愛い下着ですのに……』


『あぁ、それ良かったらあげるよ』


『いやいや、人のパンツなんて履けるわけ――って、うわっ!?』


 目の前に突然、長髪の美少女が現れた。ノルンは驚いて尻もちをついた。


『ノルン様、大丈夫ですか!?』


 シズカは手を差し伸べた。


『ええ、ありがとうございます』


 ノルンが立ち上がると、その美少女に視線を向けた。


『もしかして貴女が国王?』


『そうだよ、私がこの大都市シャドーの国王ユリウスだよ!』


『初めまして、私は女神ノルン。地上に存在する女神でしたが今日をもって地上は崩壊しましたので、ただの美女だと思って頂ければと思います』


(自分で美女って言っちゃうタイプだ!)


『初めましてだね!』


 思ったよりもフレンドリーな国王だ。しかも外見は14歳くらいにしか見えない。明るくて活発な美少女だが、寝癖が酷く、服装もボロボロで下着が丸見えだ。しかもお風呂に入っていないのか独特の臭いが鼻腔をいじめる。


『貴女、お風呂入ってないんですの?』


 ノルンは鼻をつまみながらそう言った。


『おふろってなあに?』


『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!』


 彼女の恐怖(ふけつ)の発言にノルンは叫び散らかし、鬼の形相でシズカに視線を移した。


『ひいっ!?』


 ノルンの表情にビビるシズカ。


『お風呂はどこですの!』


『おふろって何ですか?』


『貴女もですのーー!?』


 だが、シズカからは独特の臭いはせず、むしろ石鹸の良い香りがする。そんな彼女がお風呂に入ってないなどありえない。


『湯浴みのことですの!』


『ああ! ()()()()の事ですか!』


『なるほど、この国ではテルマエって言うんですね――じゃなくて今すぐシズカをテルマエに入れて下さい!!!!! その間に私がこの部屋を片付けますから!!!!!』


『ですが、お客様にそこまでさせるわけには――』


『いいから、やらせろですわ!!!!!!!!』


 ものすごい剣幕で叫び散らかした。


『しょ、承知致しました〜!!!!!』


 怯えるシズカはユリウスをテルマエに連れていった。


 この場に残されたのは、女神ノルンと瓦解した物の壁。


『さて、どう掃除(りょうり)してやりましょうか』


第608話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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