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第606話『シャドースライヴ』

お待たせしました。

第606話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※誤字修正しました。


 ようこそ、いらっしゃいました!


 ここは地上とは切り離された影の大都市シャドーです。おっとネーミングセンスへの苦情はおやめ下さいね。


 我が国に差別はありません。ここでは誰もが平和に楽しく暮らすことができます。


 戦争なんてありえません。何故ならこの影の世界には我が国以外の国など存在しないからです。故に争いは生まれません。まあ国内での喧騒はありますが。


 ここには何でもあります!


 たとえば警察署や病院、デパート、スーパー、コンビニエンスストアといった皆様の助けになる施設から、飲食店、ジャンクフード店、喫茶店、さらにゲームセンター、アニメ専門ショップ、カードショップ、球場等の娯楽施設もございます!


 その他様々な店があり、どの店も常に進化し続けています。


 ここにご足労頂いた皆様が飽きを感じることはないでしょう!


 ()()()()()()()()()()()()


 改めて、ようこそ大都市シャドーへ!


 心から歓迎致します!


 それでは良い観光を!



 ――――――――――


『すっっっげえですわ……』


 壮観な光景に呆然とするノルン。影の世界に人が住んでいるのも驚きだが、まさかこれほど栄えている国があるとは、神が知らぬのなら誰が予想できようか。


『だろ。私も最初見た時思わず目が飛び出したぞ』


『ギャグ漫画みてえな表現ですわね』


 人形の時のカレンなら目が飛び出すなど容易に想像できるが、人間になったカレンだとグロテスクに感じたノルンだった。


『地上はまだ昼でしたが、ここでは夜なんですね』


 国によっては時間帯が違うのは常識なので、そこは驚かない。


『いや、どうやらここは()()()らしいぞ』


『そうなんですの?』


『影の世界だからな、日が存在しないんだ』


『なるほど……ということは天気という概念もないってことですか?』


 空は隙間なく常に黒く覆われている。星も月も見えない。ということは雨や雪も降らないと考える。


『ああ、どうなんだろうな? そこまでは聞いてない』


『もしそうなら、雨が降らなければ水が貯えられないんじゃなくて?』


 いくら発達した文明があっても水がなければ生きていけない。


『確かにそうだな。だが、ここの人達は普通に快適に生きてる。水分が取れてなければこうはならない』


 その辺の通行人の顔を見ても、特に体調が悪そうにも見えない。むしろ活気があるように見える。


『というか、そこ普通に自販機あるじゃないですか』


 自販機の商品サンプルを見ると、普通に水やジュース、コーヒーやエナジードリンクもある。


『水ありますわね。見たことない会社のパッケージですが』


 全ての商品がこちらの世界の会社のものではなかった。


『コンビニらしきものもありますわね。これも知らない名前のコンビニですが……』


 文明自体はこちらの世界とほぼ同じだが、見知った名前が一切ない。地上と影の世界とは一切の交流がない証拠だ。


『ところでこの国の通貨ってどうなってますの? ここで生活していくなら私のポケットマネーと外資両替してほしいのですが……』


『この国には通貨は存在しない』


『え、それじゃあどうやって買い物すれば?』


『代わりにこれだ』


 カレンは自分の写真付きのカードを差し出してきた。


『これは?』


『これは“マイカード”と言ってな、これを使えばいつでもどこでも好きなように買い物することができる』


『制限はないんですの!?』


『制限は……ない、と言いたいが』


 あるんかい! と頭からずっコケるノルン。スカート故に下着も丸見えだ。


『古い表現だな。てかパンツ見えてるぞ』


 ノルンはハッと気づき、すぐにスカートを押さえながら体勢を立て直した。


『この、変態!』


 恥じらうノルンは、カレンに向かってそう言った。


『なんでだよ』


『だって貴女は女性の下着見て興奮するタイプですよね?』


『いや私が興奮するのはルカちゃんのパンツと裸体だけだ。それ以外はただの肉に布つけただけの存在にしか見えない』


 つまりルカ以外の人間に興味がないようだ。


『じゃあ大丈夫か、とはならねえよこのド変態が』


(ルカさんには一度カレンさんと距離を取って頂きましょう)


『はぁ、それで私達はどこに行けばいいんですの?』


 ノルンは呆れながらも本来の目的に話題を戻す。


『“あいつ”に会わせるつもりだ』


『あいつとは?』


『この国の王だ』


 その後、ノルンはカレンの紹介で王がいる城までついていくことになった。


『でっっっけえですの』


 失われた語彙で感想を呟くノルン。


『見た限り、ヴァルハラの3倍はデカいと思われるな』


 城というよりは宮殿のような感じだ。入り口付近まで行けば空が見えないくらいの高さはある。


『中に入るぞ』


『勝手に入っていいんですの?』


『大丈夫だ。見ろ、ここ人の出入り多いだろ?』


 確かにここは人が多いし、呼び鈴もなしにまるで普通の施設のように堂々と出入りしている。


『ここには図書館やゲーセンもあるんだぞ』


『宮殿の中に?』


『ああ』


『マジですの?』


『マジだ、マだ』


『マですの……』


 少なくともヴァルハラにはそう言った複合施設のようなものはない。大きさといい、完全に下位互換であると思い知らされた。


『私は自分の城(ヴァルハラ)に誇りを持っておりましたが……自信を失くしました……』


『そうか、ヴァルハラに誇りを持っていたのか』


『ぐすっ、ぐすっ、うぅ……』


『泣いちゃった』


 なんだなんだと通行人達がこちらに視線を向けている。


『……他人のフリしよ』


『おい、なに他人のフリしてやがる……』


 知らないお姉さんが鬼の形相でカレンを掴んできた。女神の殺意は凄まじいもので肝が据わっているカレンでさえ恐ろしいと感じるほどだった。


『い、いや〜冗談ですよ〜そんなことするわけないじゃないですか〜』


 カレンは不自然に敬語を使い始めた。


『そうですわよね〜、おほほほ』


 こんなアホみたいなやり取りをしている内に宮殿の入口から眼鏡をかけたスーツ姿の女の人がポニーテールを揺らしながら、こちらに向かって来た。


『あの……』


『お、シズカじゃないか。わざわざ迎えに来てくれたのか』


『はい、中からカレンさんが見えたので、でもなかなか入ってこないから何かあったのかと』


『いや、気にするな。ちょっとこの御方と話をしていただけなんだ』


『ああ、こちらのお綺麗な方ですか?』


 シズカはノルンを見てそう言った。


『あらー! 綺麗だなんて! 貴女とても見る目がありますわよ!』


 ノルンは嬉しさのあまりシズカの頭を撫でた。当のシズカは苦笑いをしていたが。


『あのー、お名前をお伺いしてもよろしいですか?』


『私はノルンって言いまーす』


『テンション高えなおい』


『ノルン様ですね、ようこそ影の大都市シャドーへ!』


(影の大都市シャドー? ちょっとネーミングセンスが――)


『ネーミングセンスの苦情は一切受け付けておりませんので、ご理解頂けると幸いです』


 満面の笑みのシズカはノルンの心を読んだかのように先回りして釘を刺した。その背景には禍々しい色の炎が上がっていた。


『あ、はい』


 たとえ心の中でも触れちゃいけないんだろうな……と思ったノルンだった。


『では、宮殿内を案内致します。こちらへどうぞ』


第606話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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