第596話『憤る炎の神』
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2025/08/23誤字修正しました。
ダスト達がゼウスを追い詰めている中、プロメテウスはオベイロン相手に苦戦を強いられていた。
『疾く下界から去りたいというのに、邪魔者が次から次へと……! ゼウスの奴はなにをやっている!』
仕事が進まなくて苛立つプロメテウスは怒りの感情を顕にしながら八つ当たりを始めた。
『おいヘラ! 貴様はさっきから何をしている! 早く人間共を抹殺しないか!』
プロメテウスはオベイロンと戦いながら、何もしないヘラに怒鳴り散らした。
『抹殺? そのような野蛮な行為を私が好むとでも?』
逆にプロメテウスを睨みつけるヘラ。温厚で品がありそうな印象の彼女からは想像もできない表情だ。
『黙れ! 今はそれどころではないだろう! この惨状を見ろ! 神が圧されているなど前代未聞だ!』
今まで神が圧されること自体ほとんど前例がない。そんな緊急事態にも関わらず、一切戦闘に参加しないヘラに憤慨するプロメテウス。
『だから何ですか?』
『何だと?』
『守護神ともあろう御方が、ちょっと苦戦したくらいで音を上げるのですか?』
『そうではない! 貴様の態度が問題なのだ――ぐおっ!』
仲間割れしている内に隙ができてしまったプロメテウスは、オベイロンから手痛い攻撃を受けた。
『戦っている最中に余所見をするとは、貴様舐めているのか?』
更なる怒りを募らせるプロメテウス。しかし、その直前彼は思い立った。神からすればこのような小生物など、恐るるに足りない。確かにこの羽男は多少やるようだが、たかが虫に噛まれた程度に過ぎない。こんな羽虫など潰そうと思えばいつでも潰せる。
プロメテウスから怒りの表情は消えたが、代わりに醜悪なニヤケ面を見せる。
『ハッ、貴様のような軟弱な羽虫など、これくらいのハンデがあって当然だろう!』
少し傷を負うくらいでなくては、勝負にならなくて可哀想だと言う。
『ほう、軟弱な羽虫とは言ってくれるな』
オベイロンは見せつけるように自慢の羽根を広げる。
『先祖代々から受け継がれしこの羽根を侮辱するということは、我が国への冒涜を意味するぞ』
誇りを傷つけられたオベイロンはあくまで冷静に、プロメテウスに怒りを向ける。
『貴様の国など知ったことか! そんなもの、この我が焼き尽くしてくれる!』
オベイロンは返事代わりに高速で太刀を振るった。
『ぐっ……!』
斬撃にえぐられた箇所から血が飛び散った。その後、膝をついて傷口を押さえた。
『すごい、あのプロメテウスを……』
アミはオベイロンの強さに驚愕した。どんなに強い戦士でも全く歯が立たなかった神を圧倒するなど、まるで物語の中の世界だ。アミは傷を庇いながら邪魔にならないようにオベイロンを見守っている。
『さて、プロメテウスとやら。貴様の罪はニつある。一つ目は我が国に対し、燃やし尽くしてやるという貴様の発言だ。これは我が国への宣戦布告と見なされる。二つ目は同盟の国を荒らした事だ。親友の国を侵攻など断じて許されることではない。覚悟しろ!』
オベイロンは改めて剣先をプロメテウスに向ける。
『神に罪は存在せぬ。たとえ貴様の国を破壊しようと、貴様の大切な国民達を生まれたままの姿で恥辱に染めようとな!』
プロメテウスのこの発言に、オベイロンは心の底から怒りが湧き上がり、漏れ出るほどの殺意を向けた。
『貴様……!!!』
『人類など醜いだけだ! 目先の欲に囚われ、それを奪うためなら何でもする! 人間とはそういう生き物だろう!!!』
そう言われると、オベイロンは否定できなかった。彼の祖先もまた人間に虐げられてきた被害者だからだ。そう考えれば、プロメテウスの発言も一概に否定できるものではない。
とはいえ、オベイロン本人は直接人類に危害を加えられたわけではない。むしろダスト達と同盟を組み、親友と呼ぶほどには仲睦まじい関係となっている。
『確かにそれに関しては貴様の言う通りかもしれない。だが、悪い人間ばかりではない。ある人間が、私の国の少女を救ったのだから』
悪い人間が精霊を襲うこともあれば、良い人間が精霊を救うこともある。
『貴様の言うことも分かるがな、人間だからと一括りにして滅ぼすなど、それはただの殺戮者だ。たとえ被害者だとしても、殺し合いをしていい理由にはならない』
『御託ばかりで話にならぬ』
プロメテウスは力を解放し、全身を包むほどの炎のオーラを纏った。
『やはり本気ではなかったか』
『当然だ、貴様ら如きになぜ全力を出さなければならない?』
本来ならば、人類を滅ぼすのに特別力を使う必要はない。
『だが、今回は特別だ。全身全霊を以て貴様らを焼き尽くしてやる』
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