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プロローグ

本当に大変長らくお待たせしました。

執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 ――世界は破滅へと近づいている。


 天から降り注ぐ雷光が雨のように世界を撃ち続け、自然、文明、生物の悉くを破壊する。


 これは、この世の終わる時。最高神ゼウスによって、この世界は創り直される。


 現在、この世の九割の生物は死滅した。どんなに凶暴なモンスターだろうと歴戦を勝ち抜いた冒険者であろうとも。あと残っているのは、国や村にいる生き残りと、魔王城に残る戦士たちのみ。


 だが、その戦士たちも次々と神の裁きを受け、死の淵に立たされている。


 僅かに残る戦士たちは最後まで諦めずに剣を取り、抗った。


 だが、それももう終わりの時だ――


 殺されかけたブロンズを助けてくれたアクタとルシウス・ペンドラゴンはついに膝をついた。それから立ち上がることなく、頭を垂れている。


『そんな……』


 絶望し、膝を崩すブロンズ。彼らですら勝てないのなら自分たちに勝てるわけがない。


 理不尽な暴力に抗う力などない。


『諦めんな! ブロンズ!』


 ハンマーを持つゴールドが叫んだ。先ほどまで倒れていたが、マーリンとアリスの回復魔法により、再び立ち上がった。


『でも、ゴールド姉……』


 その目には光がない。ブロンズは死を受け入れている。


『大丈夫だ!』


『ゴールド姉……?』


 何が大丈夫なのか。ゼウスとプロメテウス、そしてヘラ。この世界を破壊できるほどの力を持っている。


 せいぜいちょっと強い冒険者やモンスターを殴り倒せる程度の自分たちに何ができる?


 そのくらいゴールドにも分かるはずだ。しかし彼女は一切絶望をしていない。それどころか、何かを待っているような。


『アタシはな、()()()()()()()()()()()()()


『どういうこと……?』


 聡明なブロンズでも、ゴールドのその発言に首を傾げた。まさか神の襲来で皆殺しにされることがゴールドの望みだとでも言うのか。


 いや、そんなはずはない。ゴールドは誰よりも妹を愛し、守ってきた。そんな彼女が世界の破滅など望むはずがない。


 ブロンズはゴールドに妙な違和感を覚えた。しかしブロンズお得意の心を読む魔法では彼女の真意は読み取れなかった。


『ゴールド姉……あなた一体……?』


 これは、この時点でゴールドが妹にすら読まれたくない事情があると察した。


『悪いな、まだ話すわけにはいかねえんだ』


『やっぱり何かあるのね、妹にも隠さなきゃいけないほどの何かが』


『ああ、だけどそれももう終わる』


『終わる?』


『なあ、()()()。覚えてるか?』


『あかね?』


 あかねって誰よ? と思うと同時にノスタルジックな気分になった。まるで自分の名前を呼ばれたような、実家にいるような謎の安堵感を僅かに思い出した。


『あれ……なんで……私は……』


 聞き慣れないはずの名前に戸惑うブロンズ。それは、かつて白鳥(しらとり)(あかね)として生きた証が彼女の本当に訴えているのだ。


『心配するなブロンズ』


 ようやく聞き慣れた名前を呼ばれてハッとするブロンズ。


『この戦いはアタシ達が勝つ』


 ゴールドは口角を上げ、自信満々にそう言った。


 しかし、最高戦力の彼らは既に倒れ、ゴールド達よりも遥かに強い戦士たちも虫の息だ。それに対し、神々は少しの傷を負った程度だ。どんなに甘く見積もっても、自分達が勝利する未来は見えない。


 現状まともに立っているのは回復したゴールドとブロンズ、そしてフラン、ケン、シュタイン、アミが続々と立ち上がった。しかし、他のメンバーはほぼ絶命しているのか、立ち上がる気配はない。回復役のマーリンはいつの間にか行方不明、アリスは魔力切れで倒れてしまった。


『ゴールド姉……この状況が見えないの? 何をどうしても私達に勝ち目はないわ……』


 すっかり絶望に染まるブロンズ。この光景を見れば誰もがそう思うだろう。人類が神に勝てる道理などない。人類が理不尽に打ち勝つ夢物語でもあるまいし。


『そうだな、アタシ達に勝ち目はねえ。だけど、この場に()()が来たら話は別だろ?』


『英雄……?』


 神をも倒す英雄なんて口だけなら何とでも言える。そんな都合の良い英雄など存在するのか。しかし、ブロンズは知っている。ゴールドが意味もなく嘘をついたことはない。姉は明らかな確信を持って発言している。


『そんな人いるの……?』


『ああ、ブロンズもアタシもここにいるみんな知ってる奴だ!』


 そんな話をしている間にもゼウスがこちらに近づいてきた。人間離れした巨体に風格。まるで災害だ。見られるだけで凄まじい圧を感じる。


『貴様らで最後だ』


 ゼウスは腕を上げた、それは雷を落とす合図だ。


 避けなきゃ死ぬ。走って逃げればワンチャン逃げ切れるかもしれないが、そもそも世界が雷の雨に焼かれている。どの道逃げ場所などない。


『ゴールドちゃん! ブロンズちゃん!』


 アミが二人を助けようとするが、それをプロメテウスの炎が阻害する。水をかけても消えない上に触れれば、一瞬で骨まで燃え尽くす。


『無駄だ、愚かな人類よ』


『くっ……!』


 フランとケンも同じく助けようとしたが、ヘラの鎖によって拘束されてしまった。これでゴールドとブロンズを助ける者はいない。


『ゴールド! ブロンズ! 逃げろーーーー!!!!!』


 誰も二人を助けられず、叫ぶことしかできない。


『終わりだ』


 ――これで本当に終わりだ。ブロンズは走馬灯らしきものを頭に浮かべた。本当の家族との突然の別れ、新たな家族との出会い、魔王城での日々、初めて愛した年上の男の子、消えた魔王を助ける為に■の国に向かったこと、親友のみどりちゃんに出会ったこと、突然世界は変わってしまったこと、アクタが現れたこと、時の女神と出会い、来たるべき未来に備えて準備したこと、彼が来るまで200年アジトに潜んでいたこと、正義教団に連れてかれたこと、彼が助けに来てくれたこと、もう会えないと思っていたパパとママと再会できたこと、皆と一緒に正義教団の幹部たちを倒したこと、一旦みんなで魔王城に避難したこと、彼が殺されてしまったこと、犯人探しをしたこと、そして今――


 あぁ、まるで物語のようだ。愛する人との出会いと別れ、理不尽との戦い。


 しかし、この物語(せかい)に主人公はいない。誰もこの理不尽を突破する力はないから。


 ――これで本当に終わりだ。


 裁きの雷が彼女達に落とされ――


『いや、終わるのはお前だ』


 謎の人物が雷を弾いた。


『貴様は――』


 ゼウスは神の雷撃を防ぐその人物を見て驚愕の表情を浮かべる。


 一方でゴールドは予定通りと言わんばかりに不敵に笑う。


『見ろブロンズ、お前のよく知ってる英雄が来たぞ』


『え、嘘……だって貴方は――』


最後まで見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

今回最終章のプロローグを投稿しましたが、実はまだ最終章の調整は終わっておりません。しかしだからといってこのまま長引かせるのも申し訳ないので、現状投稿しても問題ない範囲で投稿することにしました。

まだまだ調整まで時間がかかりそうですが、最後までお付き合い頂けると幸いです。

すみませんが、宜しくお願い致します。


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