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第60話『脳筋VS結界』

お待たせしました。

第60話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2022/08/20改稿しました。

※文字数多めです。

『ここが、噂のマンホールか……』


 あれから俺達は走りながら噂のマンホールまで移動した。路地裏だからあまり人に見られない場所だ。ここで誰かが殴り合おうと黒ずくめの人達の怪しい取引をしてようと気づかれる事はそうそうないだろう。


『ん? このマンホール……結界が張ってあるね』


 アミさんが異変に気づき、マンホールを触ってみようとすると、触れる前に結界によって弾かれてしまった。どうやら、この結界は他の人を立ち入らせない壁のようなものだ。


『これ仕組んだの、多分バレスだ……ふっ……確かに私は結界を解除するのは苦手だ……だが、いつまでも私が昔の私のままだと思うなよ!』


 アミさんはニヤリ顔で絶対ぶっ壊してやる! と意気込み、グーで結界を殴った。


 だが結界には傷1つ付かず、せっかく気合いを入れた拳も弾かれた。この結界がいかに強固な存在だと思い知らされた。


『……アミさん?』


『ま、まだ準備運動だよ! これからだよ!』


 アミさんはなぜだか意地を張っている。殴った方の手も痛々しいくらい真っ赤じゃねえか……本当に大丈夫なのか?


『あの、アミさん……そんなに無理しなくても』


『む、無理なんかしてないよ! 見てろ! 私の想いがこもりにこもりまくったこのラブラブウルトラパンチを!』


 ラブラブウルトラパンチって……どんなネーミングセンスだよ……。ブロンズちゃんも呆れたような目でアミさんを見ている。


 アミさんは大きく拳を振りかぶるラブなんとかかんとかパンチを結界にぶつけた。確かにさっきのパンチよりかは威力は高そうだが、結界はビクともせず、どうだ! 俺は固いだろう! と言わんばかりに、結界は誇らしげにキラっと光っていた (気がする)。


『あの……アミさん?』


『このくそったれがああああああああああ!』


 アミさんは堪忍袋の緒が切れて、何も考えずに2本の剣を抜き、交互に結界を斬り続けた。


『ねー、ママー、あの人何やってるの?』


『見ちゃダメよ』


 人目につかない路地裏のはずなのに、とうとう通りすがりの親子に変な人扱いを受けてしまった……。他人のフリ他人のフリ。


『はぁ……』


 ――それからアミさんは、およそ30分くらい結界を殴り斬りを繰り返したが、未だに結界には1つも傷はつかず、はっはっは! いくら殴り斬っても俺にはビクともしねえんだよバーカ! と結界は挑発するように輝いていた (ような気がする)。


『ねぇ、お兄ちゃん』


『うん、もういい加減止めるか』


 俺がやれやれ顔で、アミさんを止めようとしたその時だった。後ろから聞きなれた2人の超絶美少女の可愛い声が聞こえた。


『あ、ブロンズ! ダストっちもアミっちも居たぞ!』


『あぁ~良かったよ~やっと見つけた~』


 声のする方へ振り向くと、そこには後続組の超絶美少女のゴールドちゃんと超絶美少女のシルバーちゃんが居た。


 赤髪ちゃん達の姿がないが買い物だろうか? ということはこれで全員合流したも同然だな。


『ゴールド姉……シルバー姉……』


 ブロンズちゃんは姉妹の感動の再会に涙しながら微笑んだ。ゴールドちゃんとシルバーちゃんも同じ想いで泣き出した。


 その後、3姉妹はこれでもかってくらい抱き合った。姉妹の絆が今ここに映し出されている。


 なんて美しい。尊すぎるだろ、いいぞもっとやれ。


 ――しばらく経って3人は泣き止み、どうやってあの結界を破壊するか話し合っていたのだが、結局何も思い浮かばず、脳筋のゴールドちゃんはハンマーで叩いてりゃ、いつかぶっ壊れるだろと言ってひたすら結界を叩きまくっていたが、残念ながら結界には1つの傷もなかった。


 結界さんも、そんなに攻撃してるのに俺に1つの傷もつかないなんて超カッコ悪いね! ねぇ、どんな気持ち? 今どんな気持ちぃぃ? と脳筋達を煽っている (気がする)。


『あれだけ攻撃してるのに、傷もつかないなんて、よっぽど強い結界なんだね……』


『ええ……参ったわ……さっきから、ガキンガキンうるさいせいで、頭も痛くなってきたし……』


 ブロンズちゃんは頭を押さえながら、具合が悪そうに俺に寄りかかった。


『大丈夫? ブロンズちゃん?』


『ええ……大丈夫よ……でも、このままで居させて』


 ブロンズちゃんのまだ小さな胸が、俺の腕に当たっている。よく俺に胸当ててくるけど、わざとなの?


『また胸の事考えてる、お兄ちゃんの変態』


『ご、ごめん……』


 隣にいるシルバーちゃんも、ダストさんの変態……! と言いたそうに、軽く引いている。


『シルバーちゃんまで……』


 超絶美少女達から変態と言われ思われ、何かに目覚めそうな気もしたが、今はあの結界をどうやって解除しようかと、結界を必死に壊そうとしている、ゴールドちゃんのヒラヒラしたミニスカートからチラチラ見えるピンク色のパンツを眺め……いや違う、結界を見ながらそう思った。


『ねえ、お兄ちゃん……さっきからどこ見てるのかなあ?』


 ブロンズちゃんからの圧を感じるので、俺は咄嗟(とっさ)に目を逸らした。


『べ、別に何も』


 俺がそう言っても、ブロンズちゃんはにこやかな表情で、俺の顔を覗くように、顔を近づけてこう言った。


『お兄ちゃんが変態なのはもう知ってるんだよ? 先生怒らないから正直に話してね』


 出たー! “先生、怒らないから正直に話してね”、正直に話した場合、マジで怒らず、正直に話してくれたから怒らないよと言ってくれる先生と、てめえ! 何やらかしてんだこらあ! と、理不尽にぶちキレる先生がいる。ブロンズちゃんの場合はどっちだ……? ん? というか……あれ?


『ブロンズちゃん、何でそのネタ知ってるの?』


『お兄ちゃんが、毎日毎日心の中で前居た世界のネタ? をよく考えてたようだから、なんか私も覚えちゃったわ』


『あぁ……なるほどね……』


 前の世界……つまり日本で培った知識を頭の中で思い浮かべまくってブロンズちゃんがそれを読み取った結界、日本のネタを覚えてしまったと……ブロンズちゃん、俺の心読みすぎじゃね?


『で、それでゴールド姉のパンツ見たの?』


 話を逸らせると思ったのに、ブロンズちゃんからの尋問が再開してしまってしまった。


 ここはどう答えるべきか……。


 正直に言うと、ゴールドちゃんのパンツ超ガン見してしまった。あまりにも短いスカートでヒラヒラしてたもんだから、つい目に入ってしまったのだ。


 ここは、正直に答えるべきかな……いやでもブロンズちゃんだしなぁ……怒らないからと言いつつ、やっぱり怒るタイプっぽいかな……ここは、しらを切り通そう。


『見てないよ』


『本当に見てないの?』


 ブロンズちゃんは不満顔で更に顔を近づけてきた。疑ってるなこれ。


『あ、ああ、見てないよ』


『ふーん……見てないんだ、ゴールド姉の白いパンツを』


『え? ピンクのパンツじゃなくて? ……ってあ!』


 俺は、口を手で覆った。本当に見てないのなら、パンツの色が分かるはずもない。なのに俺は、ここでピンクのパンツじゃなくて? と口を滑らせてしまった。こんな簡単な罠にかかってしまうとは……。


『やっぱり見たんだ……ゴールド姉のパンツ……』


 ブロンズちゃんは、ヤンデレのような冷えきった目で俺を見てきた。怖い。


『いや、あの、その……』


『それに忘れてるだろうけど、そもそも私さっきからお兄ちゃんの心読んでるから、ゴールド姉のパンツを見た事はもう筒抜けよ』


『あっ……!』


 そういえばそうだったああああああああ! ブロンズちゃんは、心を読む娘だったあああああああああ!


『私だって、別に正直に話してくれれば許すよ?』


『え……?』


『だって、私、嘘が嫌いなのよ? まだ正直に話してくれた方がいいわ』


 あぁ……そうだった……だから、あの時のように魔王に嘘をつかれて、怒って飛び出していっちゃったんだったね。


『ごめんね、ブロンズちゃん……』


『もう……まあ、まーちゃんみたいに本気でついてほしくない嘘をつかれたわけじゃないから、まだいいけどさ……』


『自分勝手で申し訳ないけど、俺はね……ブロンズちゃんや皆に嫌われるのが、怖かったんだ』


『え……?』


『俺は、前の世界では、散々な扱いを受けて、いじめられてた、仲間なんていなかったんだ。でも、この世界に転移して、生まれて初めての仲間が出来た……俺は確信したんだ……魔王城(ここ)が俺の居場所だって……』


『お兄ちゃん……』


 ブロンズちゃんもシルバーちゃんも、俺の話を聞いて今にも泣きそうな顔をしていた。あぁ、2人共……何でそんな顔をするんだ? 


 一方、アミさんとゴールドちゃんは、こちらのシリアスな空気などお構いなしに、結界との対決についに終止符を打つ事となる。


『おらああああああああああああ!』


『うおおおおおおおおおおおおお!』


 アミさんとゴールドちゃんが雄叫びをあげると、パリーン! とガラスが割れたような音がした。もしやと思い、結界の方を見てみると、そこには息切れをしてる2人と、地面に散らばった破片があった。どうやら、結界を破壊することができたようだ。


『どんなもんだ! ざまーみろ! クソ結界!』


 アミさんは壊れた結界の破片に指を指し、高笑いをした。これには強固な結界さんも、そんなバカな……この俺が、こんな脳筋共に……! と嘆きを上げていた(気がする)。


『えぇ……これどうやって壊したんですか?』


『どうやって? ひたすら殴って斬ってたら、ヒビが少しずつ出て来て、普通にぶっ壊れた』


『えぇ……』


『いやー、ホント固かったね、こいつ……』


 結界を魔法で解除するってわけでもなく、ゴリ押しで無理矢理破壊したのか……つまり脳筋の勝利って訳か……まあ、これで先に進めるから良いけど……なんか釈然としないなぁ……。


『まあいいや。ブロンズちゃん、シルバーちゃん、先に進もう』


『そうね』


『はい』


 こうして、俺、ブロンズちゃん、シルバーちゃん、ゴールドちゃん、アミさん、そして存在をよく忘れられるみどりちゃんと共に、盗賊団のアジトへと足を踏み入れた。


第60話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、9日~11日の間に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

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