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第58話『家族の愛』

お待たせしました。

第58話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2022/08/20改稿しました。

 その頃、後続組は様々なトラブルを乗り越え、ようやく火の国に到着したところだ。


『無事に着きましたね、早くアミさんと合流しましょう』


『むぅ……』


 ゴールドちゃんは、新しい武器を試せなかったため、頬を膨らませて、ふてくされていた。


『ゴールドさん、どうしました?』


『なんでモンスター居ねえんだよー、新しい武器試せねえじゃん』


 ゴールドちゃんは、足をバタバタして駄々をこねた。


『仕方ないよ、お姉ちゃん』


『でもよー』


『私ね、モンスターが出なくて良かったと思ってるよ、だって、大好きなお姉ちゃんにケガが無かったから……』


 シルバーちゃんの天使のような気遣いに、ゴールドちゃんだけではなく、赤髪ちゃんの心までも奪われた。


『へへっ、心配してくれてありがとな』


 そう言うと、ゴールドちゃんはシルバーちゃんに抱き付いた。


『お、お姉ちゃん!?』


『愛してるぜ、シルバー』


『愛……して……る……? プシュゥゥゥゥゥ』


 ゴールドちゃんのまるでプロポーズでもしたかのような愛の言葉に、シルバーちゃんの顔は真っ赤に染まり、湯気が蒸気機関車のように放出し失神した。


 ゴールドちゃんからしたら、そんな気遣いをしてくれるシルバーちゃんが愛おし過ぎて、そのまま想いを言葉に乗せただけのつもりだった。


『シルバー? おい、シルバー!』


 ゴールドちゃんは、シルバーちゃんの肩を揺らしてみるも、全然起きなかったので、シルバーちゃんの膝の上に跨がって、両肩を揺らした。


『シルバー! 大丈夫か!? シルバー! 起きてくれ!』


 いくらシルバーちゃんの身体を揺らしても起きる気配がなかったので、もしかして何か変な病気にでもかかってしまったのかとゴールドちゃんは思った。


 どう考えてもゴールドちゃんが、愛してるぜ! なんて愛の言葉を放ったからだろと、あおいちゃんは思ったが、何て言葉にすればゴールドちゃんにちゃんと分かってもらえるかで頭がいっぱいだった。


『赤髪ちゃん! あおいちゃん! シルバーが起きないよおおおおお』


 焦りに焦ったゴールドちゃんは滝のように滂沱の涙を流した。鈍感すぎるゴールドちゃんに、赤髪ちゃんは鼻血を出しながら、心が萌え萌えキュンキュンしているので、聞こえていない。


 あおいちゃんはあおいちゃんで、この状況をどうにかできない自分はなんて無力で弱い存在なんだと、頭を抱えて落ち込んでいる。


『2人共、全然聞いてねえよおおおおお!』


 ゴールドちゃんは、この混沌(カオス)すぎる状況に、今度は、噴水のようにありえない量の涙を流した。


『……こうなったら……』


 ゴクリと息を呑んだゴールドちゃんは、シルバーちゃんの両頬に触れて、キスをした。


『んっ……』


『んんんんんんん!?』

 

 シルバーちゃんは、ほんの数十秒前に意識を失ったばかりだが、キスをされるというまさかのトンデモ展開に目が覚めた。


『お、お姉ちゃん!? な、何してるの!?』


『こ、こうすれば、お、起きるかと思ってな……』


 確かにキスでもすれば起きるのは童話でも有名だ。この世界にもその概念はある。しかし、ゴールドちゃんもシルバーちゃんも、極度の恥ずかしがり屋だ。ただでさえ可愛いって言われるだけで両手で顔を覆ってしまう程にも関わらずだ。


 キスなんて(もっ)ての(ほか)だろう。案の定、キスした側のゴールドちゃん自身も我に返り、アタシはなんて恥ずかしい事を……と言わんばかりに、両手で両頬を抑えている。


『あ、あわわわわわわわ!』


 そんな状況下の中、あおいちゃんはネガティブを通り越して、困惑した表情でため息をついた。

 

『……もう着いたのに、これじゃ降りられないですよ……お姉さま、どうしましょう?』


『フヘヘ……』


『お姉さま?』


『超絶美少女同士の……いちゃこら……最高です……』


 とうとう赤髪ちゃんの尊さメーターは振り切り、今度は赤髪ちゃんが意識を落とした。


『お、お姉さま~~~しっかりして下さい~~~』


 あおいちゃんは気絶している赤髪ちゃんの両肩を揺らし、起こそうと試みるも、全く起きる気配がなかったので、次の手を試みる事にした。


『お姉さまを起こすには……そうだ!』


 あおいちゃんは、赤髪ちゃんの耳元でこう呟いた。


『お姉さま、あなたの事が大好きな美少女がここにいますよ』


 あおいちゃんがそう言うと途端に赤髪ちゃんは、はっ! と目を覚まして、


『美少女はどこですか!』


 と、叫びながら辺りをキョロキョロ見始める。


 頬を染めたあおいちゃんは赤髪ちゃんの手を取り、胸に当てさせてこう言った。


『美少女なら……ここにいますよ!』


『あおい……か、可愛いいいいいいいい!』


 赤髪ちゃんは実の妹の尊さに興奮が抑えられず、あおいちゃんの胸にダイブして抱き付いた。あおいちゃんの方も大好きすぎるお姉さまに、イヤらしく抱きつかれてニヤニヤしている。双方、救いようがないレベルのシスコンである。


 一方、ゴールドちゃんとシルバーちゃんも、未だにキスをした事実に恥ずかしさが拭いきれず、ずっと両手で顔を隠したままだった。


『は、恥ずかしいよ~~~』


 しばらく、甘すぎるピンク色の雰囲気がク・ルーマの中に蔓延し、背景に百合の花が咲いててもおかしくないような風景だ。


 ――よりによってそんな時だった。突然1人の超筋肉質で貫禄がある女性がク・ルーマの運転手席側の窓にノックしてきたのだ。


 そのノックの音を聞いた瞬間、赤髪ちゃん達は百合百合した雰囲気を通常モードに切り替えた。


『なんでしょうか?』


 赤髪ちゃんが窓を開けて要件を聞くと、その人は腕を組みながらこう言った。


『突然、失礼する。我の名前はわかな。我、探し人がいる。()()()()()()を探している』


 独特な喋り方に変わった一人称。筋肉の量から見ても只者ではないと見て感じ取れる。


『緑髪の女の子ですか……? 私は見せませんね。皆さん、緑髪の女の子見かけませんでした?』


『いえ、見てません』


『アタシも見てねえな』


『私もです』


 全員、顔を横に振り、残念ながら誰も緑髪の女の子を見かけてない事を伝えた。


『そうか、突然すまなかった』


『いえ、こちらこそ力になれず申し訳ございません』


 わかなは残念そうに去っていこうとした……その時だった。わかなの前に、白衣を着た別の女性が現れた。


『貴様、何者だ?』


『ふふ……』


 白衣の女性は微笑み、わかなを抱きしめた。


『な……何……!?』


『わかな、何してるの? ()()()()()()()()


『あ、あぁ、そうであったな』


 抱きつかれたわかなさんは、記憶を改変されたのか、まるで以前から仲間だったかのように白衣の女性についていこうとした。その奇妙な場面を赤髪ちゃん達は余すことなく見ていた。


『何だ? あの2人? 急に抱きついたりして……』


『あ……あれ……は……』


『赤髪ちゃん、どうした?』


 赤髪ちゃんは身体全体が震えるほどに動揺していた。その白衣の女性が、()()()()()()()()()()だと気づいたからだ。


『赤髪さん?』


『なあ、あおいちゃん、赤髪ちゃんの奴どうしたんだ……ってあおいちゃん?』


 あおいちゃんも、その白衣の女性を見てなぜか涙を流していた。


『な……なんでここに……』


 居ても立っても居られなくなった赤髪ちゃんとあおいちゃんは血相を変えて、ク・ルーマのドアを開けて飛び出していった。


『はぁ……はぁ……()()()()!』


 白衣の女性の正体は赤髪ちゃんとあおいちゃんの母でもあり、ダストの記憶上でも、共に戦った仲間……名をスカーレットという。彼女の容姿は昔と変わらず、20代と言われても遜色ない程だ。


『あら、久しぶりね……かわいいかわいい、私の娘達』


『お母さん……』


 スカーレットは微笑みながら、赤髪ちゃんとあおいちゃんを優しく抱きしめた。


『お……母さん……』


『さあ、()()()()()()()()


『はい!』


 赤髪ちゃんとあおいちゃんは、スカーレットとわかなと共にどこかへ消えていった……。


『おい! 今の見たか!?』


『赤髪さんと、あおいさんが……』


『あいつら……どこ行っちまったんだ!?』


 ク・ルーマの中で置いてきぼりをくらった2人は困惑したまま、今は誰もいない空間を見続けた。



第58話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、4日~6日に投稿予定です。


最近、執筆の時間がなかなか取れず、投稿ペースが遅くなってしまい、申し訳ございません。


今後も、なんとか執筆の時間を見つけて、早く投稿する事を心がけていきたいと思います。もちろん、誤字脱字等にも細心の注意を払って執筆します。


宜しくお願い致します。




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