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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
5.5章〜未来への架け橋〜
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EPISODE3『精霊と妖精㉛』

すみません、遅れました。

執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 もはや数え切れないほどに増殖するノーム。ショタコンなら目を輝かせるような光景だろうが、そうではない者にとっては、絶望しかなく、普通に視界がやかましいだけだ。


『まーた増えやがった』


 いくら倒しても、その分、いやそれ以上にノームが分身をまた増やし続けている。


 ただでさえそんな状況なのに、ノーム自身(本体)もウンディーネに引けを取らない程に身体能力が高い。


 イカロスとパトラもかなりの実力者ではあるが、ノームには及ばない。二人がかりでも勝率は低いだろう。それは二人も悔しながら自覚している。


 ――しかし、それでも尚、戦士達は戦うことをやめない。


『行くぞ、パトラ』


『ええ、イカロス』


 二人は迫る分身達を倒しながら、本体のノームを探す。後ろの方にいる分身ノームの五体ほどが、小石を弾丸のように投擲する。


 強い力で投げられた小石は、空気を裂き、標的を貫く勢いで世界の果てまで飛ぶつもりだ。しかし、それはイカロスとパトラによって全て弾かれ、地に伏せた。空を飛ぶという夢も叶わずに。


 引き続き投擲する小石を二人は弾いたり、かわしたりしながら着実に分身を倒していく。


 だが、分身は増える一方でなかなか本体までたどり着けない。というか本体がどこにいるのかも分からない。


『キリがないわね!』


 パトラの手が光る。イカロスはそれを見て察し、上空へと飛び立った。


石化光線(メデューサ)!』


 手のひらからビームのような光線が広範囲に照射する。それを浴びた分身達は全て石化し、砕け散った。残り二割ほど残っているが、このペースであれば本体にたどり着けるはずだ。


『あー、またそれやりがった!』


 ノームは指さして、そう言ったあと、怒りを表すように強く地面を踏みつけた。すると、その足跡から三メートル級のノームが生えてきた。


『何かでけえのが出てきたぞ!?』


『もしかして踏みつける強さによって、サイズの違う分身を出せるのかしら?』


『正解ー! しかも大きい分身は他の分身なんかへっちゃらだ!』


 大きなノームは力を見せつけるように、仲間であるはずの他の分身たちを大きな腕でなぎ倒した。


『おいおい仲間ごとやりやがった!』


『仲間ー? おかしなこと言うね? 全部僕の分身でしかないのに』


 非情に聞こえるかもしれないが、正論ではある。ノームの分身に意志はなく、それに例外はない。


『やっちゃえ!』


 ノームが命令すると、大きなノームはその巨体を武器にタックルする。


『かかってこい!』


 イカロスは大きなノームのタックルを受け止めるが、完全に力負けし、イカロスの足跡がうしろに伸びていく。


『クソがあああああああああああああああああああああああああああ!!!』


 それでも負けじと、力を振り絞って押し返そうとしているが、所詮は根性でしかなく、特別パワーが(みなぎ)っているわけではない。


石化光線(メデューサ)!』


 横からパトラが大きなノームを石化させようとしたが、他の分身達が盾となり、そのまま砕け散った。その隙にと思ったのも束の間、盾役を補うように別の分身達が立ちはだかる。


『ああもうしつこい!』


 なかなか減らない敵集団にイラつくパトラ。無限に石化光線(メデューサ)を発動できればいいが、そうもいかない。


(石化光線(メデューサ)は、結構なエネルギーを使うわ。私には膨大なエネルギータンクがあるけど、とはいえ無駄使いはできない。だからタイミングを見極めて使わないと、エネルギー切れで死ぬわ)


『まだまだ増やせるよ〜』


 ご機嫌なノームはその辺を走り、分身を補充する。そのたくさんの分身の中には、既にサキエル及び他の部下達と戦ってる分身に加勢する者もいる。


『うわー! また増援が来やがった!』


 サキエルが大きな声で愚痴を放った。彼らも健闘している方だが、分身との戦い続きでかなりボロボロの状態だ。


 すると、そのタイミングでパトラの部下達も加勢に現れた。これでサキエル達の負担は重くならずに済んだ。


『すみませんパトラ様! 遅れました!』


 謝罪しながら、剣を抜く。


『いいの、私が早すぎただけだから。むしろごめんね。急に私が走っちゃったせいで貴女達を置いてきぼりにしちゃって……』


『良いんです良いんです! だって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』


『なっ!?』


 途端に頬を赤く染めるパトラ。可愛い。


『素直になれないパトラ様、めっっっちゃ可愛かったです!』


『ちょ、それは言わないで……!』


 図星を突かれたパトラは、両手で真っ赤な顔を覆った。可愛い。


『なんだお前ツンデレってやつかよ! 歳取ってる割には子供みてえなところもあんだな!』


 デリカシー(りょく)ゴミカス以下のイカロスは高らかに笑った。うざい。


『アァ? オ前ヲ殺ス』


 闇のオーラを纏ったパトラは、先程の可愛らしさが嘘のように、イカロスを激しく睨みつけた。怖い。


『すみませんでした!』


 この世の終わりのような顔をするイカロスは、逃げるように分身の群れに飛び出した。その後、パトラはイカロスごと石化光線(メデューサ)を乱射するようになった。無駄遣いの極みである。


『鳥のおじさんも変なおばさんも何やってるの? 頭おかしくなったの?』


『うおおおおおおおおおおおおお!!!!!』 


 とにかく全力で走るイカロスに、憤怒に溺れたパトラが狩りにやってきた。


『アノ鳥野郎。地ノ果テマデ追イカケテ焼キ鳥ニシテ喰ッテヤル!』


『いや、ホントに何やってんの?』


 ノームはドン引きした。

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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