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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
5.5章〜未来への架け橋〜
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EPISODE3『精霊と妖精㉕』

お待たせしました。

執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 オベイロンはバルカンと対峙した。


 虚無色の瞳を宿すバルカンは十八番である精霊術を使って、オベイロンに攻撃するが大した攻撃力はなく、しかもろくに防御術も発動していなかったようで、オベイロンの反撃があっさり通ってしまった。


『ぐあああっ……!』


 バルカンらしからぬゾンビのようなうめき声を上げたあと、意識を失い、バタッと倒れた。


『なんだと……?』


 一方でクラウディアはリックスと刃を交えていた。だが、リックスの自慢の斧が炸裂するも、うまく斧に力が乗っておらず、クラウディアが少し力を入れて剣を振っただけで、斧が弾かれ、その隙に剣の柄を鳩尾に当てて倒した。


『リックスさんってこんなに力がなかったっけな?』


 最後に、ウンディーネはアレーシアと格闘中だ。素早い動きで敵を翻弄することを得意とするアレーシアだが、ウンディーネの前では無力だった。


 ウンディーネの力強い拳にアレーシアは一発でノックダウンした。


『……やっぱりね』


 襲撃してきた三人は傷一つすらつかずに倒れた。


 多少、激戦になるかと思われたが、あまりにもあっさりと決着がついてしまった。


『そんなバカな、バルカン達がこんなに簡単に倒せてしまうなんて……』


 確かにオベイロンやウンディーネの方がアレーシア達よりも実力は上ではあるが、簡単に攻撃を許すほど弱い相手ではない。明らかに彼らの戦闘能力は落ちていた。


『この三人、もしかして偽物なんじゃないですか? 私、リックスと結構、模擬試合をやってきましたが、無傷でいられたことなんて一度もないですよ』


『同感だ。私もバルカンがこんなに弱いなんて信じられない』


 何より彼らには連携して戦うような陣形をとっていなかった。三人揃えば息をするように協力体勢に入る三人が、周りを気にせず一人で戦っていたのだ。


 リックス達のあまりにも不自然な戦い方に違和感を覚えるオベイロンとクラウディア。


『そうね、でも彼らは本物よ』


 断言するウンディーネ。


『本物だって……?』


『モーガンの洗脳には制限があるの。今のアレーシアちゃん達みたいに、意思が無くなるほどの洗脳は強力だけど、その分戦闘能力が落ちちゃうの。逆に洗脳が弱いと戦闘能力はほぼそのままになる。それが今のルカちゃんよ』


(でも、おそらくルカちゃんは――)


『なるほど、だからこの三人はこんなに弱かったのか』


 そのおかげで無駄に体力を消費せずに済んだので、その点で言えば助かったが、仲間が洗脳されている姿に不快感が溢れ出てくる。


 何より、この洗脳は仲間達の名誉を深く傷つけている。


『さっさとモーガンを倒しにいきましょ』


 ウンディーネの、その言葉に凄まじい殺気を乗せている。


 ――刹那、ビリビリと振動が伝わってきた。味方にすら影響を与えるそれは、まるで触れてはいけない何かを目覚めさせてしまったような気すら感じさせる。


(さすがウンディーネ様、凄まじい力だ)


 しかし、逆に言えば彼女とほぼ同等の力を持つ橋本ルカと、実力はウンディーネより劣るが、厄介な敵であるシルフやノームに、ウンディーネよりも強いかもしれないモーガンがいる。


 洗脳状態の橋本ルカを除くとしても、今挙げた者達を倒すには、ウンディーネを超える戦力がなければ妖精軍に勝ち目はない。


(不本意だが、()()()を使うべきか)


『風の精霊、光の精霊よ、二つの力を合わせて、早急に我の言伝を届けたまえ』


『オベイロン様?』


 ビー玉サイズの光の玉が風に乗って、アジトの外へ飛んでいった。


『初めての試みだがうまくいったな』


『オベイロン様、今の何ですか?』


『精霊術の二重発動だ。詳しくはあとで話す。念の為に言っておくが、決して試そうとするなよ』


『オベイロン様がそう仰るなら試しませんが、なぜですか?』


 精霊術の重ね掛けを行えば、あの神の領域へ飛ばされ、試練の選択を迫られる。


 今クラウディアに、止まった時の中で試練を受けて、強くなってもらうこともオベイロンは考えなかったわけじゃない。


(クラウディアなら躊躇いなく試練を受けるだろう。だが、どんなに屈強な戦士も発狂するような試練だ。私ですら精神崩壊を起こして死にかけた。特にあの闇の試練は……。もちろん他の試練も少なくともクリアまで早くとも一ヶ月以上はかかってしまうだろう。そんな過酷すぎる試練に耐えられるのか)


『あとで話すと言っただろう。今は一刻でも早く真実を明らかにして、ルカを、みんなを助けるんだ』


『承知致しました』


 クラウディアはそれ以上質問することなく、オベイロンの後についていった。


 奥へ進むと、扉に辿り着いた。横には数字のパネルが貼ってある。おそらくパスワードを入力しなければ入れない部屋なのだろう。


 しかし、扉は普通に開いた。


『あれ、普通に開きましたね』


 もちろん誰も数字のパネルには触れていない。特に誤作動を起こした様子もない。


『壊れてるんですかね?』


『……』


 オベイロンとウンディーネは開いた扉よりも、数字のパネルに注目している。


『どうかしましたか?』


『……いや、この先に何か巨大で邪悪な気配を感じた気がしてな』


『巨大で邪悪……?』


『オベイロンも感じたの? その先に何かあるわよね』


『え、私には何も……』


『……』


『……』


『……?』


 沈黙。


 その先に存在する■■■■■■(禍々しいもの)



 ――我ハ貴様ラを見テいルぞ。



『!?』


 何かに絡まれたような気がした。闇の何かがオベイロン達を睨みつける。


『うっ……!』


 数多の武器に身体を貫かれる幻覚を見た。


 決して触れてはならないものに触れてしまった。


 ――死。

 ――死。

 ――死。


 オベイロン、ウンディーネ、クラウディアは■■■■■■によって――


(ダメだ、このままじゃ全員死ぬ!)


『光の精霊よ、その聖なる光を(もっ)て我らを守りたまえ!』


 善なる者を護る(ひかり)が、纏わりつく(やみ)に衝突する。

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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