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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
5.5章〜未来への架け橋〜
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EPISODE3『精霊と妖精㉔』

お待たせしました。

執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 《ウンディーネの懐疑》


 分からない。ルカちゃんはなぜ私を()()()()()()()()


 私は確かにルカちゃんの剣に貫かれたのだが、凍らされただけで一切の傷はない。どうやら貫いて見えるように私の胸から氷柱を生やしただけのようだ。


 もしルカちゃんが洗脳されているなら、わざわざこんな手間のかかることはしない。


 ということは、ルカちゃんは()()()()()()()()


 何か目的があって、あえて裏切ってる。そう考えた方が自然ね。


 でも、その目的が分からない。


 ねえ、ルカちゃん。あなたはアジトで一体何を見たの?


 あなたは何を企んでいるの?



 ――――――――――



 暖かい光が見えた。それは止まった時間を戻していくように、張りつめた心を溶かしていくようにゆっくり、ゆっくりと剥がれていく。


 美女を閉じ込める氷塊は涙を流すように水滴が次々と落ちる。それはやがて一つの氷塊を崩し、冷たい封印が今、解かれていく。


『おっと』


 氷塊から解放されたウンディーネは意識を失ったまま、体勢を崩しかけたところをオベイロンが抱きとめ、丁寧に地べたに座らせた。


『ウンディーネ様』


 次の瞬間、ウンディーネは目を覚ました。意識を取り戻して最初に見たのは、薄暗い中で、心配そうにのぞき込むオベイロンとクラウディアだ。


『ここは……?』


『ここは洞窟の中です』


『そっか、私はルカちゃんに……』


『ルカ? ルカがどうしたのですか?』


『うん、実は――』


 ウンディーネはこれまでの経緯を説明した。


『なるほど。ウンディーネ様を攻撃したのは確かにルカだが、傷がついたわけではなく、ただ凍らせただけだと』


『うん、敵側に寝返ったにしたは、どう考えても不自然な動きだったわ』


 ルカの裏切り行為に違和感を覚えるウンディーネ。


『でも、目的が分からないの。何でそんなことをしたのか……』


『ルカがアジトで何かを見た可能性があるという話でしたね。我々も行ってみますか』


『そうね』


 オベイロンとウンディーネが頷き合う。


『クラウディア、奴らのアジトへ突撃するぞ』


『承知致しました』


 それぞれ立ち上がり、身支度を整え、洞窟をあとにした。


 アジトの入り口である川まで辿り着いた。相変わらず特に物珍しいものはなく、普通の川にしか見えない。


『行くわよ』


 ウンディーネがそう言って、川に向けて手をかざすと、触れてもないのに水面に波紋が広がり、それはやがて不自然に連鎖的に出現する。そして、波紋が広がった部分のみ穴が空いた。


『まさか、こんな仕掛けになっていたとは』


 思いもしなかったアジトの隠し場所に驚愕するオベイロンとクラウディア。


『飛び込みましょう』


『分かりました』


 ウンディーネが先頭で穴の中に飛び込み、続けてオベイロンとクラウディアもアジトに足を踏み入れた。


 三人は無事に着地した。飛び降りた気がしないほど、自然に床が足に着いたので、違和感が抜けない。


 それに加えて、このアジトの内装だ。辺り一面が銀色に染まっており、サイバー感な印象が強い。


『ここは……』


 オベイロンとクラウディアは、思っていた内装のイメージと異なったのか、任務を忘れて呆気に取られている。


『二人とも、気持ちは分かるけど、今は確かめることがあるでしょ』


 ウンディーネに指摘され、慌てて我に返る二人。


『も、申し訳ございません』


『私も、申し訳ございませんでした』


『ううん、いいの。私こそごめんね。ちょっと気が立ってるみたい』


『いいえ、そんな滅相もない!』


 否定するオベイロンだが、ウンディーネの内心は穏やかではない。ここに敵が現れようものなら、思わず八つ当たりしてしまうかもしれない。


『……行きましょ』


 明らかにテンションが落ちているウンディーネ。日常であれば買い物にでも誘う場面ではあるが、今は状況が状況であるため、何も言えない。


(今はとにかく先に進もう)


 三人は黙々と先へ進む。


 ここは思ったよりも狭く、廊下だけは異常に長い。人が暮らしていくには些か不便なものを感じる。


(ここはアジトというより、()()()()()()()のようだな)


 歩む最中に、人の気配がした。


『誰だ!』


 三人は戦闘態勢に入る。


 すると、奥からやってきたのは見慣れた三人だった。


『アレーシア、リックスにバルカンか!』


 案の定、先にアジトに足を踏み入れいたようだ。見たところ、全員少しだけ外傷があるが、無事のようだ。


『無事だったか!』


 オベイロンが駆け寄ろうとすると、すぐに違和感に気づき、引き下がった。


『お前たち……?』


 アレーシア達の性格に似合わず、王と仲間達を目にしても黙している。それどころか味方に向けるはずのない殺気すら放っている。


『一体どうしたんだ?』


『……』


『おい、リックス』


『……』


『なあ、バルカン』


『……』


『アレーシア』


『……』


『なんとか言ってくれ。ここで何があった?』


 三人は質問に答えることなく、武器を取り出した。どうやらオベイロン達を排除する気らしい。


『オベイロン、おそらくアレーシアちゃん達は洗脳を受けてるわ』


『洗脳って、確かモーガンの得意技でしたか』


『うん、心苦しいけど、大人しく眠ってもらいましょう!』


『そう、ですね』


 苦しい顔で武器を取るオベイロン。


『全く、あなたたちは世話が焼けますね!』


 洗脳された三人に怒りを覚えながら剣を抜くクラウディア。


 こうして、三人と三人は激突した。

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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