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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
5.5章〜未来への架け橋〜
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EPISODE3『精霊と妖精㉑』

遅れてすみません。

お待たせしました。

執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 ――世界の時は止まっている。


 今を生きる人々も、焼き尽くす炎も、交わし合う剣も、猛る戦士達も、最強種のドラゴンですら、時の力の前には人形同然だ。


 全てが銅像のように固まっている中、水の中で包まれている彼だけは数百年もの間、別の次元に飛ばされていた。


 そして、今彼が目覚める時――時計の針は役目を思い出したかのように動き出した。すると突然、全ての生命が何事もなく稼働する。


 まさかこの1秒の間にオベイロンだけが約250年も神の試練を受けていたとは誰も思うわけがない。


 水の中に閉じ込められていたオベイロンは、目を覚まし、時が止まる前は出れなかったはずの水の中をあっさり脱出した。


 ドラゴンは予定通り、オベイロンに炎のブレスを喰らわせるつもりだ。大きな口を開けて、喉から高熱エネルギーを放出する。


『水の精霊よ――我に無限の力を与えたまえ』


 オベイロンの前に水のシールドを張った。


『まだまだ行くぞ』


 水のシールドの前に十枚ほど同じシールドを張った。


 先頭のシールドにブレスが辿り着いた。炎の先端から徐々に消火されていくが、ブレスの強すぎる威力が相性が悪いはずの水を浄化した。


 次に二枚目に到達した。これも同じく浄化されてしまったが、ブレスの勢いは少し落ちている。


 三枚目、同様。

 四枚目、同様。

 五枚目、同様。ただしブレスの威力は半分以下に落ちた。見て明らかに細くなっているのが分かる。


 六枚目、破壊するのに時間を要した。

 七枚目、破壊ならず。ブレスは既に風前の灯火だった。


 一回のブレスで破壊できたシールドは六枚。オベイロンは残りのシールドは取っておいたまま、ドラゴンの元まで超スピードで羽を動かす。


 オベイロンは速度を上げるために、羽に風の精霊の力を二重にかけていた。少し羽への負担は重いが、そのおかげで敵に反応されずに目の前まで来ることができた。


『遅い』


 ドラゴンも驚愕しているのか、咄嗟に反応できず、迫る刃を受け入れざるえなかった。


 とはいえ、簡単に剣が刺さってしまうほど柔くはない。前は鱗のない傷跡の部分に最終奥義をブチ込んだから貫けたのであって、今回は健在で非常に硬質な鱗に勝負を挑んでいる。


 案の定、刃はなかなか鱗にめり込まず、防戦一方を維持している。


 自身の防御力に安堵したドラゴンは、そのままの状態でブレスを放つ準備をした。さっきは十枚の水のシールドによって防がれたが、今はあと三枚しかない上に至近距離での攻撃だ。ただでは済まないだろう。


『またブレスを吐くつもりか?』


 オベイロンは特に慌てた様子もなく、光る喉笛を眺めている。


 ドラゴンは不審に思った。攻撃されると分かっていてなぜ何もしないのかと。そもそも、このオベイロンは本当にオベイロンなのか。先程とはまるで別人のように見える。今まで本気を出していなかっただけなのか、二重人格なのか。


 ドラゴンの考察は止まらない。彼女はますますオベイロンにより強い興味を抱いた。目もハートである。


(というか本当にいいの!? ブレス吐いちゃうよ!?)


 口の中からでも強いエネルギーが放出されようとしているのが分かる。


 しかしオベイロンはまだ動かない。ただ冷徹な目にドラゴンを映している。


 ドラゴンは困惑すると共に、推しに冷たい目で見られているという事実に興奮している。


(きゃーーーーーー!!!!! 推しに見られてるーーーーー!!!!! もっと私を見てーーーーーーーー!!!!!!! 何なら罵ってーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!)


 ブレスを吐く準備途中なのにも関わらず、すっかり推し活をしているドラゴン。名はシグルド・リーファ。ただのオタク気質な女の子である。


 そんな彼女の思考など知る由もなく、オベイロンはようやく剣を振り上げる。


(え、今更剣をどうするの? あぁでもそんなオベイロン様もカッコいい……その姿をこの目に焼きつけ――)


 ――刹那、ドラゴンは“何か”に沢山の箇所を斬られた。


(え――――――なんで――――――)


 ドラゴンは何も分からないまま意識を失い、重力に従って落ちていく。


『……なるほど、これが光の力を重ね掛けしたものか』


 光の精霊の力は、光魔法と同じ光そのものを利用して攻撃をするのが(セオリー)ではあるが、自分自身にかけると速度が速くなるという特性も持っている。


 オベイロンの場合は、それを何十回も重複した為、誰の目にも止まらない速さで動くことができ、剣を抜いた時点で、ドラゴンへの攻撃は済んでいたのだ。


『うっ…………』


 力の重ね掛けは強力な力を得るが、身体への負担も大きい。


『使うタイミングを考えないとな……』


 オベイロンは落ちていくドラゴンを見つめる。このまま下の森の中へ突入することだろう。


『これで終わりか、誇り高き龍よ』


 決して届かぬ声を風に乗せて発するオベイロン。彼の表情は冷徹で、どこか退屈そうだ。


 彼は時間をかけて強くなりすぎた。本来なら敗北していたであろうドラゴンとの戦いが、今は信じられないくらいあっさり終わった。


 ドラゴンは意識を失ったまま、森に多大な迷惑をかける形で地に落ちた。倒れた木々を布団代わりにするように眠っている。そして、それから起き上がる気配はない。しばらくこのまま推しとの夢を満喫することだろう。


 ――オベイロンの勝利で幕を閉じた。


 あとは――

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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