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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
5.5章〜未来への架け橋〜
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EPISODE3『精霊と妖精⑯』

お待たせしました。

執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 ルカ・ヴァルキリーは努力家だ。パーシヴァルから教わった剣術や精霊術、さらに精霊界にない魔法すらマスターしている。


 橋本ルカは多才だ。聖剣に選ばれ、身体能力も高い。ダストよりもはるかに戦闘の素質がある。


 二人は元々同じ人物でありながら、その才能は異なる。それは道を別れたからか、敬愛する人物の違いか、あるいは――



 《戦場の森》


 同じ姿をした少女達は、互いにはない多種多様な戦闘スタイルをそれぞれ披露する。


 視界を通り過ぎる木々に遮られながら、森の中を駆け回る。その度に緑を踏む音が次々と響き渡る。


 木々を抜けると、妖精軍のアジトが隠されてる川に出た。ゴミ一つない綺麗な川だ。戦場であるにも関わらず、自然の美しさを表している。だが、それが壊されるのも時間の問題だ。


 ――刹那、ルカ・ヴァルキリーは光魔法で作った光の弾を投擲した。


 それを橋本ルカはあっさりと斬り伏せた――が、その隙にルカ・ヴァルキリーは光の弾そのものに変身し、橋本ルカの眼前まで近づくとすぐに元の姿に解除し、両肩を押さえつける。


 マウントポジションを取ったルカ・ヴァルキリーは、武器ではなく平手打ちをしようと素手を振り上げた。


 ビンタでも攻撃は攻撃だ。


 橋本ルカは、


『水の精霊よ、私に力を貸したまえ!』


 手のひらをルカ・ヴァルキリーにではなく、地面に噴射し、ルカ・ヴァルキリーごと空へ打ち上げる。


 橋本ルカはすぐにその場をジャンプして離れ、打ち上げて一瞬形となった水柱に風の精霊の力を使って固定すると、水流の竜巻ができあがった。


 一瞬にして川の流れが壊れ始め、水流の竜巻の思うがままに翻弄されていく。


 そして、それは川の水を吸い付くし、やがて巨大なアクアトルネードが暴れ回る。


 水流の竜巻が鋭利な水滴をまき散らす。そのせいで、周りの木々が次々と倒れていく。


 少し離れた上空で戦っているであろうオベイロンとドラゴンも、森の惨状に気づいたが、すぐに目の前の戦闘に集中した。あちらもあちらで熾烈な戦いが繰り広げている。


 ルカ・ヴァルキリーは水流の竜巻の中に閉じ込められるも、冷静な判断で剣に光魔法を塗り込み、斬撃範囲を広げた上で、水流の竜巻を縦に真っ二つに斬った。すると、水流は川があった窪み部分に綺麗に倒れ、雨のような水飛沫を上げた後、川は再び流れ始めた。


 その後、空中のルカ・ヴァルキリーは下降しながらすぐに橋本ルカを視界内に捉えると、光の弾に変身し、標的の元へ向かう。


 橋本ルカは真正面から光の弾に向かって跳躍し、聖剣を振りかざす。


 ルカ・ヴァルキリーは自らの身体を強く発光させ、橋本ルカの視力を一時的に奪った。


『うっ! 目が……!』


 その隙に一瞬だけ人間の身体に戻り、剣の柄で橋本ルカの鳩尾にめり込ませた。


『いだぁいっ!!』


 かなりの力を注いだので、勢いよく川まで下降した。その際にまたしても水飛沫が盛大に上がった。


『はぁ……はぁ……やったかな?』


 あ、この台詞フラグってやつだっけ? そう思っていると、案の定、橋本ルカは川から顔を出し、光の弾であるルカ・ヴァルキリーを見上げた。


『……』


 橋本ルカはルカ・ヴァルキリーにそう賛辞を送った。だが肝心の本人は聞こえていないが。


『……もう一人の私(わたし)……大会の時よりも相当強くなってるね……』


 橋本ルカの言う通り、ルカ・ヴァルキリーは女神ノルン主催の大会の時とは比べ物にならない程に成長している。無論、橋本ルカも日々成長しているが、成長率はルカ・ヴァルキリーの方が上だ。


 ルカ・ヴァルキリーは魔力消費を抑えるため、一旦光の弾状態を解除した。


 地上に降りるかと思いきや、風の精霊の力で空中に留まった。このまま下降すると隙ができると思ったからだろう。実際に橋本ルカはルカ・ヴァルキリーが降りてくる瞬間を狙って、斬撃を放とうとしていた。


 斬撃自体は空中の彼女に届くかもしれないが、距離があるため、回避または防御されやすい。それを分かっていてわざわざ力を使い、隙を与えるようなマネはしない。


(参ったな、思ってたより隙がない……)


『ちょっとヤバいかも……』


 だが、まだ闘志は尽きない。これら彼女にとって絶対に負けられない戦いだ。それは目的の為なのもあるが、何より自分自身に勝ちたいというプライドがあるからだ。


『でも、まだまだこれからだよ!』


 橋本ルカは再び跳躍し、相棒のように大切にしていた聖剣を槍のように投擲した。


『氷の精霊よ、私に力を貸したまえ!』


 すると、氷で作った壁を用意し、盾のようにルカ・ヴァルキリーの前に置く。


 しかし、氷の壁はあっさりと貫かれ、盾としての役割を全うできなかった。


『マズイ!』


 ルカ・ヴァルキリーは咄嗟にかわし、致命傷は避けたが、わずかに外側の太ももをかすり、スカートが少し破けて、その部分から生傷と肌が見えてしまっている。


『くっ……!』


 致命傷じゃなくとも痛いものは痛い。意識すればするほど痛みはより強くなっていく。そして自信も失っていく。だが、この程度で終われない。たとえこの後、衣服が完全に破壊され、裸体を晒すことになろうと、傷が何十倍に増えようとも、橋本ルカを止めなければならない。


 橋本ルカの投げた聖剣は、まるで意思を持つように自ら鞘の中へ収まった。


『負けられない! これならどうだ!』


 ルカ・ヴァルキリーは反撃する為、雷魔法で広範囲にダメージを与えられるように雷の網を作り、橋本ルカに向けて解き放つ。


『これは結構痛いよ!』


 しかし、橋本ルカはそれをあっさりと斬り伏せ、刹那すら痺れることなく、ルカ・ヴァルキリーの元へ辿り着いた。


『――っ!』


 ――避けられない。


 橋本ルカはルカ・ヴァルキリーを力いっぱい抱きつき、そのまま下降先の川の中へ勢いよくダイブする。


 すると、またしても水飛沫が上がり、収まってからしばらく経った後も二人が上がってくることはなかった。

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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