EPISODE3『精霊と妖精⑤』
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さすがに王国の幹部全員を連れて行くわけにはいかないので、少人数に絞って改めて選抜し直した。
捜索隊は以下のメンバーだ。
オベイロン、クラウディア、ルカ・ヴァルキリー、ウンディーネ、リックス、バルカン、アレーシアの七名だ。いずれも歴戦の実力者である。
前列に案内役のウンディーネ、その後ろにオベイロンとルカ・ヴァルキリー。残りの四人は後衛についている。
――馴染みのない者がいるので紹介しよう。
まず、リックスは巨漢の男で斧を使用する。発達した筋肉がまるで鎧のように覆い、戦士の証である傷跡が、彼の武勇伝を物語っている。容姿は物恐ろしい顔つきな上、ゴツい身体つきなのもあり、人から結構怖がられている。本人はそれを気にしているようで、愛する国民が怯えないように日々笑顔の練習をしているが、余計に悪人面になってしまうことが最近の悩みの種らしい。
次にバルカンは細身の男で精霊の力を使って援護する後衛タイプの戦士だ。美形であるため、女性からのアプローチが絶えない。彼自身も自分の優れた容姿を自覚しており、アイドルのように国民を惑わすような一面もある。ここまで聞くとチャラい男のようにも思えるが、仕事熱心で国を守るためなら命すら捧げても構わないと思うほどに愛国心が強い。
最後にアレーシアは魅惑のボディを持つ美女で素早い動きで二本の短剣を使って翻弄するアサシンタイプの女戦士だ。彼女も自身の抜群のプロポーションと愛らしいルックスを自覚しており、老若男女問わず惑わすアイドルとして国民の人気を得ている。承認欲求が高いらしい。
彼らは既にダストや橋本ルカとも交流があり、それぞれの事情も把握している。
『早くルカちゃんを助けないとね。このままじゃダスト君に顔向けできないわ』
拐われたルカを思いつつ、己のプライドに問うアレーシア。
『そうだね。僕もルカちゃんが心配だよ。可愛いからね』
バルカンは額に手をつけて、カッコつけたポーズをしつつ、拐われたルカを案じている。
『うむ、戦闘能力が高いとはいえ、まだ年端のいかぬ娘だ。とても平常を保ってなどいられないだろうな。早く助けて美味しいシチューをご馳走したい』
冷静に分析し、優しさを見せるリックス。
『クラウディアちゃんは大丈夫ー?』
『何がですか?』
『だって、さっきみんなしてクラウディアちゃんの事疑っちゃったし……ごめんね?』
『あの状況じゃしょうがないですよ。私も逆の立場なら疑念を向けたかもしれませんし』
ターゲットがたまたま自分だっただけだと、クラウディアは口にした。
『でもクラウディアちゃん優しいから、仲間を疑ったりしないと思うなー』
『アレーシアさん……そんなことないですよ。私だって人並みに疑心暗鬼になったりします』
『たとえば?』
『バルカンさんが突然女性が苦手になったって言ったら絶対信じられる自信がありません』
誰よりも女慣れしてるバルカンが絶対に言わないこと第一位に輝くセリフだ。
『それは確かに信じられないね』
極端な例えに納得するアレーシア。実際女嫌いになったと宣言するバルカンを見て、百人中百人が偽物だと疑うだろう。
『僕が女性嫌いに? ありえないね。僕は全ての女性が好きだ。愛してる』
話を聞いていたバルカンはハッキリと否定し、問題発言をする。
『刺されるよ?』
浮気男の末路を知るアレーシアが脅しのような警告をした。
『みんな僕を愛してるのに刺してくるわけないじゃないか。愛する者は愛する者を守るのさ☆』
バルカンは好かれてる自分が危害を加えられるなどあるわけないと、笑い飛ばした。
『ダスト君が言ってたでしょう! 複数の女と交際するのは死亡フラグだって。実際刺された人見たことあるって言ってたよ!』
尚、ダストが見たという刺された人とは、彼が見たアニメの中の話である。
『そんなはずないじゃないか。確かに最近、色んな女の子から殺気を感じるし、この前会ったミホちゃんも何故か怖い顔して刃物を持ち歩いてたけど、刺されなかったよ? あ、でもその日背中にちょっと切り傷あったね。あれ何だったんだろう?』
刺されてんじゃねえか!!!
誰もが心の中でそうツッコんだ。
――そんなこんなで雑談を続けていると、目的の場所へ辿り着いた。
ここは街外れの森の中にある長い川。周りが緑で埋め尽くされていながら、青い川が堂々と遮っている。
『多分ここらへんに――』
ウンディーネが川を覗いたその刹那、鏡写しに映るはずの自分の顔が全く別の顔に変化した。これは魔法でも精霊の力でもなく、ただ誰かがこちらを覗いているということだ。
――つまり敵襲だ。
『みんな離れて!』
すると、川の水が柱のように縦に伸び、その中から人が飛び出し、ウンディーネの前に着地する。
『よお、ウンディーネ。久しぶりだな』
白髪のポニーテール、褐色の肌、鍛え抜かれた肉体美。上半身のみビキニ姿で、豊満な二つの山から深い谷間が強調されている。
どこかパーシヴァルやフレイと似た雰囲気を感じる。
『あなたは……露出魔!』
『ちげえよ! オレは露出魔じゃねえよ!』
と言いつつ、上半身をさらけ出している。ビキニを着ているとはいえ、彼女の尊厳を守るものはただそれのみ。もし何らかの事故でビキニの紐が切れようものなら、お嫁にいけないような事態になってしまう。
『相変わらずやらしい格好! ホント変わらないわね! サラマンダー!』
ウンディーネは褐色の彼女の名前を呼んだ。どうやら知り合いらしい。
『てめえこそ、相変わらずバカそうな顔してんな』
あと別にやらしくねえよ、普通だろ……と照れながら小さな声で口ずさんだ。
『バカって何よ! 失礼ね!』
『失礼も何もバカはバカだよ、バーカ!』
サラマンダーは幼稚な罵倒を繰り出し、彼女の低い精神年齢をさらけ出した。
『もう、貴女せっかく可愛いのに……可愛くないんだから……』
『オレに可愛さなんていらねえ! オレにあるのは燃えたぎる闘志と! 敵を喰らう殺意だ!!!』
ますますフレイを彷彿とさせるような言動で、サラマンダーは今にもウンディーネに飛びかかってくる勢いだ。
だがウンディーネの後ろには協力な味方が6名いる。全員が実力者であるため、サラマンダー1人では分が悪い。
しかし、燃え盛る彼女の前では、そんなものは関係ない。一度燃え上がった闘志は何があっても消えることはないのだから。
『ガルルルルルルルルルルル!!!』
猛獣のように唸り声をあげるサラマンダーは、拳を振りかざし、ウンディーネに突撃する。
『ウンディーネさん!』
『ウンディーネ様!』
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