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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
5.5章〜未来への架け橋〜
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EPISODE2『かつて騎士だった旅人②』

お待たせしました。

執筆が完了しました。

前回もそうでしたが話というより日記みたいな感じになります。

宜しくお願い致します。


 ――車が空を飛んでいる。


 転生したばかりの私が初めて眼に映した光景だ。


 この世界は前回の世界と違って、人間が上位の存在であり、獣人は物語の中でしか存在しない。魔法や神・精霊も完全に幻想(ファンタジー)でしかないのだ。


 この時私は母親に抱かれている赤ん坊だった。高層ビルの中で優雅に窓の外の光景をテレビを視聴するように見つめている。


 当然のようにあちこちで車が宙でカーブを決めている。空中でレースでもやっているのだろうか。斬新すぎる光景に思わず目を見開いた。


 まるで夢を見ているようだが、こんなものはまだ序の口だ。


 車以外に焦点を当てると、曲がりくねった透明の筒のようなものが都市中に張り巡らされている。その中に電車のようなものが走っている。要するに空飛ぶ電車だ。


 飲食店やコンビニの店員は存在せず、全て機械が業務を担っている。支払いも金銭でなく、キャッシュレスだ。まあ、それに関しては前世と前前世にも導入されていたが。



 見たところ、これらは魔法ではなく科学と呼ばれる技術の発達によるものだ。


 ――近未来。まさにそう呼ぶにはふさわしい時代。誰もが想像した未来の光景。


 今の私には言語を発する力はない。故に私を抱いている婦人に、この世界の常識を聞くことなど不可能。それどころか空腹であることすら伝えられない。早く腹を満たしたいのに、『あぁ……』か『ばぶー』くらいしか発声できない。


 こういう時はどうしたらいいのか?


 このままでは、餓死して二度目の転生をすることになってしまう。


 色々と考えている内に目頭が熱くなってきた。もう泣きたい……お腹が辛くて泣いてしまいたい……。


 そして、私は堪らず号泣してしまった。すると母親は『お〜よしよし』と優しく私の身体を揺らした。それも気持ちいいが、違うそうじゃない。


 私は涙を引っ込めずに、声を上げ続けた。


『もしかして、お腹空いたのかしら?』


 ようやく察してくれたようだ。母親は食事の準備をし、ミルク瓶を差し出した。


 美味しそう……。


 まさかミルク瓶を見て、心の底からしゃぶりたいと思うなんて……記憶こそ前世と前前世のを受け継いでいるが、身体と本能は赤ん坊に戻ってしまったようだ。


 大好きな焼肉を食べ尽くすようにミルクを飲み干した。


 あれ、眠くなってきた。


 まぶたを閉じる直前、母親のにこやかな顔を見たような気がする。


 前世から以前の私には母親はいなかった。いわゆる孤児というやつだ。代わりに私を育てて下さったのはダーク様だった。私を便利な道具にするための教育ではあり、とてもこの母親とは似ても似つかない人ではあったが、それでも母の代わりに育ててくれた事には変わりない。


 でも、私もこういう暖かい愛を受けたなら、全く違う人生を歩んでいたのだろうか。


 いや、でも――ダストさん達に会えなかったかも。


 運命って不思議だ。どの結末に繋がっているのか見当もつかないのだから。


 このままきっと平和に過ごすんだろうな。


 あとで知ったことだが、この世界は前回の世界と比べるとかなり平和な方だ。もちろん人間の住む世界だ。国同士の戦争は勃発するし、犯罪だって、なかなか絶えない。


 だが、この国は比較的争いとは縁遠い場所にあるらしい。


 そして、これからもそれは変わらず、私は普通に学校に通って、普通に友達作って、普通に勉強して、普通に、普通普通普通――。


 ――気づいたら、もう老衰して、暖かな家族に見守られ、次の転生先に身を移した。



 今度はさっきの世界とは全く逆だ。


 とある村に生まれた私は、次の両親のくたびれた顔を見る。顔色が悪く、痩せ細っていることから、ろくに栄養が摂れていないのだろう。そんな中で赤ん坊を産んでしまったから、本来は祝福されるはずが、素直に喜べないといったところだろうか。にも関わらず私を産んだのは性の過ちかもしれない。


 家の内装――いや、これは布か?


 ただテントのようにボロボロの布を張っているだけだ。これでは強風が来たらあっという間に飛ばされてしまうだろう。さらに床が若干濡れている。天井もよく見ると、小さな穴がいくつか空いていた。おそらく昨日か一昨日に雨でも降ったのだろう。その穴から雨粒が侵入したのだろう。


 外を見ると、うちと同じようにテントがいくつか張ってある。一つだけ少しだけ豪華で大きいテントがあるが、どうやら村長の家らしい。


 村の周りは、木々に囲まれており、塀のようなものが張り巡らせている。部分的に傷があるが、獣にでも襲われたのだろうか。


 それ以外は何もない。


 ろくに文明は発達しておらず、私が少し魔法で攻撃すれば、この村は滅びるだろう。絶対にやらないけど。


 両親は申し訳無さそうに私を見る。ろくに食料が与えられない環境だからか。それでも優先的に私に回してはくれるが、十分な量じゃない。将来、成長期にかなりの影響を及ぼすだろう。


 やれやれ、仕方ないな。何とかするか。


 ただ、今の私ではろくに力を振るえない。少しでも成長して力をつけてから本格的に動くとしよう。その頃には言語を発せるようにもなるだろう。


 まずはこの深刻な食料不足から何とかしよう。幸いにも私の経験値(きおく)は、今回も完全に引き継がれている。


 魔法が使えるなら、どうにでもなる。

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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