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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
5.5章〜未来への架け橋〜
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EPISODE1『セカンド・ドライヴの災難④』

お待たせしました。

執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 ――刹那、世界の全てが白く塗り替わった。


 人の往来も街々の綺羅びやかな風景もスイッチを切り替えるように何もかもが消えてなくなった。


『な、なんだ……?』


 突然の出来事に動揺を隠せない。これは夢か幻か。


『これはシュミレーションだ』


 俺の心を読んだかのように、司令官口調のアメリアは答えた。


『シュミレーションだと?』


『先ほどまで我々が居た世界は、私が創り出した偽物の世界だ』


『偽物の世界……』


『お前の立ち振る舞い、見させてもらったぞ。さすが人類最強のセカンド・ドライヴ。驚異の身体能力はもちろん、判断力も優れている。私の意味深な態度を察して、()()()()()()()()()()()? そうだ。あの時の私は、やむを得ない事情で強盗の仲間になった()()()()()だったんだ』


 アメリアは素直に俺の評価を下しつつ、強盗としてのアメリアの設定を解説してくれた。


 彼女の言う通り、俺は逃げなかったアメリアの心理が気になり、あえて罠にハマった。その正体がまさかこんな司令官のような女だとは思わなかったが。


 やはりアメリアの口調が変わっている事に違和感を覚えてしまうが、今はこの奇怪な状況の方にフォーカスを当てている。


『お前がこの世界を創ったのか?』


『そうとも言えるし、そうとも言えない』


『うむ、複雑な事情があるようだな』


 先ほどの世界を閉じたのはアメリアで間違いないだろう。だが、あの世界を創ったのは別にいるようだ。


『なぜ俺をこの世界に? いや、俺がこの世界に紛れ込んだだけか?』


『後者は誤りだ。女神ノルンがお前を私の元に送り込んだのだ』


『ノルンがお前の元にだと? お前は何者なんだ?』


『私の名はアメリア――ではなく村正。世界を渡り歩く者だ』


 村正を名乗った瞬間、マジックのように彼女の容姿や衣服が変わった。


 背中を覆うほどに長く逞しい黒髪。目つきは鷹のように鋭い。服装は何故か“ひらめ”と書かれたTシャツとジーパンという限りなく部屋着に近い格好をしている。先ほどの都会の最先端で生きているような水着美女(アメリア)とは百八十度印象が異なる。


 そんな俺に“してやったぞ”と言わんばかりに、口角を上げているが、そんなことよりも世界を渡り歩くという文言の方が気になって仕方がない。


『世界を渡り歩く……?』


 言葉の意味を理解できない。旅人ということか?


『まああまり深く考える必要はない。そこはあまり重要ではないからだ』


 村正が手を伸ばすと、それに反応するようにホワイトボードが現れる。いつの間にか村正の手にあるマーカーペンのキャップを開けると、長方形の白い板に筆を立てた。


『簡単にまとめるとこうだ』


 村正が口で解説してくれた事のまとめを全て書き出した。


 ①私の本名は村正。

 ②この世界はシミュレーションの世界。

 ③村正(わたし)には、このシミュレーションの世界を設定できる権限を持っている。

 ④セカンド・ドライヴは女神ノルンによって、村正(わたし)の元に送られた。


 上記に付け加える形で、村正はさらにペンを進めた。


 ⑤セカンド・ドライヴを村正の元に送った理由は、力を付けてもらう他に常識を身に付けるため。


『ちょっと待て、常識を身に付けるとはどういうことだ?』


『実は女神ノルンがな――』


 村正の話によると、ある日女神ノルンから、()()()()()に滞在していた村正へあるメッセージが届いた。それは俺を村正に預けるという内容だった。


 次にその理由について書かれていた。


『セカンド・ドライヴさんは確かに強いし、クールだし、イケメンですが、常識が無さすぎます。以前もお茶会に誘おうとしましたが、「効率が悪い」と言われて断られてしまいました。何言ってんだこいつと思ったところで、彼はさらに言い加えました。「それよりノルン。やたらお茶会の回数が多くないか? あんまり飲むと太るぞ」と言われてしまいました。その後私は激怒した。「女神は太るという概念はないんですぅー! カロリーなんてただの概念でしかないんですぅー!」そう反論しましたが、セカンド・ドライヴさんが「妙だな。いくら食べても太らないのなら、なぜそうやって取り乱しているんだ?」そう切り返した。図星でした。女神でも人間に受肉している状態ではあるので普通に体重も増減します。私は何も反論できず、セカンド・ドライヴさんは「そういうことだ。もっと自分の身体に気をつけることだな」そう言って去ってしまった。マジで腹立つ。上から正論ぶつけるだけぶつけて乙女の心を傷つけた。許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐――』


 以下、赤文字で殺殺殺殺殺――と最後まで綴っていたようだ。


 俺は呆れてため息をついた。常識がないのはどっちだと。むしろノルンの方こそ常識力を身に付けた方がいいのでは?


『村正よ』


『何だ?』


『そのメッセージが送られてきた時どう思った?』


『子供かって思ったな』


 ハハッと笑って答えた。


『だが、お前が乙女に対してデリカシーが無いのもまた事実だ』


『そうなのか』


 正直自覚はない。俺は今も生前(むかし)も全く女性との関わりがあまり無かったから、本当に分からない。


 村正は同情するように俺の肩にポンと乗せてこう言った。


『諦めて講習を受けろ』


『いや、だが効率が――』


『これはノルンからの追加メッセージだが、「はい、効率が悪い効率が悪い。言うと思ってましたー! んなもん知るかバーカ! いいから常識身に付けろってんだこの効率厨がバーカバーカアホアホアホー!」とのことだ』


『……』


 品がないとはこの事だな。村正の言う通り子供の相手をしているみたいだ。そんな性格だからダストにも陰口叩かれるんだぞ。まあダストの性格にも大きな問題はあるが。


『もちろん修行もする。決して無駄な時間は過ごさせない』


『既にこのやり取り自体が無駄な気がするが』


『必要経費だと思え』


『……』


 もうここに送られてしまっては俺が常識力の講習を受けるしかない、ここで反対して村正と対立する方が却って効率悪いということか。


『やれやれ、仕方あるまい』


 ノルンには言いたい事が山ほどあるが、これも未来を救うためだ。


『その講習、甘んじて受けよう』


『その意気だ』


 こうして俺は修行しつつ、シミュレーションを用いた常識力講習とやらを受けた。それも数百年かけて。


 そして来たるべく時、俺は村正と共にようやく本物の世界へと足を踏み入れる。


 そこでアリスと出会い、スパイとして神の居城(ヴァルハラ)に滞在し、フレンドリーな性格に矯正された俺が、村正やラピスとラズリと共にギルドを作ったのはまた別の話だ。


 ――最終決戦。俺は今、魔王城でゼウスとプロメテウスと対峙している。

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

EPISODE2は誰の話になるのやら……。

ちなみに新章の構成はまだできておりません。どうかその時までお待ち頂けると幸いでございます。


次回も宜しくお願い致します。

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