表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
610/724

『零』

お待たせしました。

『零』の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※文字数多めです。

 ――裁定の時。


 ――創生の時。


 ――破壊の時。


 ――転生の時。


 ――始動の時。



 最高神ゼウス。


 炎神プロメテウス。


 進撃。


 ――天界より神々が降り立った。



 ――――――――――



 日常。


 本日も人は学び、働く時間が来た。


 それに憂鬱を感じる者もいるだろう。あるいは嬉々として通学路通勤路に渡る者もいるだろう。


 今日もいつも通りの日常が始まる。


 誰もがその当たり前だった日常を抱きしめながら、今日を過ごすのだろう。


 しかし、それらは全て今日をもって灰燼に帰すことになる。




 ――それは一瞬だった。


 ゼウスが天に向けて腕を上げると、絡み合うように複数の雷が巨大な槍のように振り下ろされた。


 そして、凄まじい速さでこの世の人類及び文明は崩壊した。誰一人として滅亡のめの字すら浮かばない内に、何もかもが無になった。ただ一つの島を除いて――


 この星の大陸はほぼ消えた。あとは(あお)が残るのみ。


 生き残った島の名前はヴァルハラ。存在を隠匿されている島であり、この世界の権限を持つ女神ノルンの住処である。


 滅亡の対象にならなかったのは、女神ノルンは予めヴァルハラに防護プログラムをかけていたからだ。それは(ゼウス)に対する反逆行為であり、世界の創生を拒絶するものである。


 ゼウスは当然これからヴァルハラを破壊するつもりだ。でなければ世界の創生は叶わないからだ。


 ――反逆者ノルンを滅ぼし、ヴァルハラを破壊せよ。



 ――――――――――


 《女神ノルン視点》


 ついにこの時が来たか。


 ゼウスの手によってヴァルハラ以外の国は滅びた。あとは残った私を始末しに来るだろう。


 それを防ぐ手はない。今の私達の戦力ではゼウスとプロメテウスには勝てない。このヴァルハラが落とされるのも時間の問題だろう。


 予定通りだ。


 こちらがすべきことはもう済んでいる。


 ゼウスが来る直前に、ヒルドさんやヘラクレスさん達を含めたヴァルハラの従業員は全て意識をシャットアウトさせてから魂を抜き、霊魂室の全ての魂と共に未来の然るべき所へ送った。これでゼウスに消されることも好き勝手に()()されることもないだろう。


 ファースト・ドライヴさんとセカンド・ドライヴさんには、私の権限(ちから)を一部引き継がせた。その後はその状態のまま指定した未来へ送った。


 特別な力を持った六人の少女達には、正式に女神としての役割を与えた。計画を伝えたので、あとは彼女たちに託し、未来へ送った。


 ルカさんとルカ・ヴァルキリーさんとウンディーネさんは精霊界に避難させた。オベイロンさんには全てを話してあるので、あとは手配通りに動いてくれることだろう。


 カレンさんは以前会ったフランさんとケンさんが放っておけないと飛び出してしまった。その後は行方不明のままヴァルハラに帰ってこなかった。おそらくゼウスの雷に飲まれてしまったのだろう。


 他の一般人の皆さんは残念ながら全員天に召された。その中にはムカつく奴もいたが、協力者もいた。助けられなくて非常に心苦しい。せめてもの抵抗として、その協力者に保護をかけた。特に白鳥黄金(こがね)さんには一万年後のダストさんをこの時代に送る役割がある。彼女だけは記憶を保持してもらわないと計画が破綻する。


 だけど……全員救いたかった。みんながゼウスの雷に飲まれることなく、いつもの日常を過ごして欲しかった。自分が弱っていたとはいえ、己の無力さを恨んだ。


 だが、落ち込んでいる暇はない。


 計画に移らなければ……。


 あとこの世に残っているのは、私とパーシヴァルさんとあおいさんとバレスさん、そしてダストさんのみだ。


 この四人を未来へ送る。これが女神ノルンとしての最後の仕事だ。


『――説明は以上です。皆さん、未来へ帰る準備はよろしいですか?』


 全員うんと頷いてくれた。まあ、ここまできて反対する理由などないだろう。ゼウスはもうすぐそこまで来ているのだから。


『カレンちゃんのことは残念だが、それでも俺達は前に進まなければならない』


 カレンさんを悼みたい気持ちはあるが、時間がない。ダストさんの言うように前に進むしかないのだ。


『それでは皆さん、こちらへ』


 私は、この時代の者を未来へ送る禁断のシステムを発動した。


 光のオーラが溢れ出る地面。水のように地面から溢れ出たようにも、光の色を模した炎のようにも見える。


『これは魂を送るのとはわけが違います。その肉体(レベル)を引き継いだまま未来へ行く。本来ならあってはならない改造(チート)です。故にかなり複雑な構造となっております。なので一気に複数人を送ることはできません』


『要するに一人ずつしか行けないってことか。誰から行く――って聞く時間ももったいないだろうから、俺が勝手に決める』


 その結果、パーシヴァルさん、あおいさん、バレスさん、そしてダストさんの順で光色の炎に飛び込むことになった。ちなみにこの順番にした理由は特になく、適当に決めたそうだ。最後(じぶん)以外は――


『えっと、ここに乗ればいいのか?』


 トップバッターのパーシヴァルさんは躊躇いつつ、光色の炎に指を指した。


『大丈夫ですよ。これは本当の炎ではありません。ただの魔法陣のようなものです。安心して飛び込んで下さい』


『そ、そうか……』


 ノルン様が言うなら……と、パーシヴァルさんは覚悟を決めて、その炎に飛び込んだ。


 ――刹那、光色の炎は踏み込んだ者を包み込み、パーシヴァルさんは何処へと消えてしまった。が、ただ行方不明になったわけではなく、指定した時代へ飛ばされただけだ。この後あおいさんとバレスさんもそれぞれの場所へ旅立っていく。


『ノルン様も私達の後を追うんですよね?』


 あおいさん達にはそのように話してある。


『ええ、必ず向かいます。なので安心して下さい』


『まだ具合も良くないんですから、ご無理をなさらないで下さいね』


 あおいさんは、こんな時でも私を気遣ってくれる。どんな強敵が現れても立ち向かえる勇気がある人だ。ただ逃げ惑う者とは心構えが違う。


『お気遣いありがとうございます。あおいさんもどうかご無事で』


『はいノルン様。ダスト様もあちらでお会いしましょう』


 青い髪の戦士はそう言い残して、この時代から旅立った。


 次はバレスさんだ。肝が座ってるのか、あまり表情が変わらない。


 ただ光の炎よりも、私の方を見つめている。何か言いたいことがあるのだろうか。


『……』


『あの、バレスさん? どうかされましたか?』


『……私のクローンのこと』


 バレス弐号機の事だ。ダストさんを暗殺しようとしたが失敗し、ヒルドさんに連れ去られた組織の女の子。だけど、つい最近までは料理人として働いていた。そして私のファンでもある。


 そんな彼女だが、未来へ魂を送る直前までは変わらず私のファンでいてくれた。そんな彼女の魂を抜くのは非常に胸が締め付けられるような思いだった。


『面倒を見てくれてありがとうございます』


 まるで妹の世話に感謝している姉ような振る舞いだ。クローンだが実質妹と言っても過言ではないのかもしれない。


『いえ、私は何もやってませんよ』


『それでも、彼女を罰さずにここに置いてくれたことはノルン様が許して下さったからこそ。ならばノルン様に感謝を述べてもおかしくはないのです』


『そうですか。それなら素直に感謝を受け取ります』


『はい、ありがとうございました』


 最後に笑顔を見せてくれたバレスさんは、光色の炎にさらわれてしまった。


 あとは――


『ダストさん。貴方が最後です』


『ノルン様』


『何でしょうか?』


 すると、彼は突然血相を変えた。


『――これで本当に全員助かるんですか!?』


 ――彼は全てを知ってしまった。だからこそ最後に溜め込んだ不安を爆発させたのだろう。


 みんなを不安にさせないように冷静なフリをして堪えていた。


 本当はここで慰めてやりたいが、そんな時間はない。


『……はい。少なくともゼウスとプロメテウスを一時的に停止させる事はできるでしょう』


 彼ら次第では停止どころか破壊すらあり得る。一万年後に集結する力にはそれだけの可能性がある。


 だが、そこに辿り着くには【■■■■■】を見つける必要があるが。


『準備が整いました、さあこちらへ』


『あ、ああ』


 光色が再び燃え上がる。これが()()()()()だろう。


『その光の中に入れば、あなたの望みは叶います』


 この言葉は単なるポジティブメッセージではない。れっきとした予言だ。ハッピーエンドへ導く準備は完了している。当然だ。


『――ダストさん、あとは頼みました。どうか世界を……あの娘達を救ってあげて下さい』


 貴方の快楽(ねがい)を叶えるのです。


『はい、絶対救ってみせます』


 不安を爆発させてすっかり吹っ切れたダストさんは、光のオーラに足を踏み入れ、この時代から去っていった。


 残されたのは神を除いて私だけ。


『皆さん、行ってしまわれましたね……』


 孤独。


 ただのAIであるはずの私が、独りぼっちという事実に耐えきれず、涙を流した。


 その間に、ヴァルハラの城の八割は破壊され、城の中にいた私の姿が外からも分かるようになっていた。


 外からゼウスとプロメテウスが、反逆者である私を捉えた。


 間もなく、私は殺される。


 涙が床に受け止められる前に、私は存在を消されるだろう。


 さよなら、ヴァルハラ。


 皆さんと過ごした日々、最高に楽しかったですわ。


『……あれ?』


 ――それから一万年後、歴史上最大の大混戦が始まる。

『零』を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

さて、この長かった章はここで終了です。

次は……最終章(予定)です。

(予定)となっているのは、最終回の後に少しだけ続きを書くかもしれないという意思表示です。最大で最強の敵が最終章で出てくるのは変わりません。

あと、皆さんに謝らなければならないことがあります。それは、前章の最後の後書きで『伏線を全て回収します』と言ったと思うんですが、回収しきれませんでした。書いてる途中で追加で書きたいものがどんどん増えてしまって、予定が狂ってしまいました。本当にすみませんでした。

初めての長編小説とはいえ、計画性がなさすぎる自分は本当にダメですね。

最終章はそのようなことがないように致します。

改めて、本当に申し訳ございませんでした。


次回の投稿なのですが、最終章設計のため、どうしても時間がかかると思われます。どれくらいかかるかは分かりませんが、ずっと放置はしません。改稿等しつつ、なるべく早くお届けできるようにしたいと思ってます。

さて、長くなってしまいましたが、ここまで読んで下さった皆様、

本当にありがとうございました。


次回も宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ