第591話Cパート『一家団らんってレベルじゃねえぞ!』
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『いいから早く寝ろ!!!』
俺は光の速度でバレスとマーリンをそれぞれの自室に寝かせた。双方やはり下着が散らかっていたが、こいつらの場合は恥じらいが薄いのでそのままにした。もう知らん。
さて、残りの酔っ払いは抱き合ってるあおいちゃんとパーシヴァルだ。
何とは言わないが、百合の花が咲き乱れている。具体的にはあおいちゃんの手がパーシヴァルの――
おっと、いけない。これ以上はいけない。
目の前でそんなものを見せられては、そっちの扉を開きそうだ。今ここに未成年組がいなくて良かった。さすがに教育に悪いからな。
え、俺は未成年じゃないのかって? 残念だったな! 俺は317歳だ! だから何とはいわないけど、禁断のコーナーに堂々と入り放題だぜ!!!!!!!
『いや、そろそろ318歳か?』
そうか、何だかんだあれから1年経ってるのか。あまりにも濃い思い出が多すぎて、あまり早いとは感じなかったが、なんだか感慨深いものがあるな。
『本当に色々あったなぁ……』
このまま思い出にふけるのも悪くはないが、その前にあおいちゃんとパーシヴァルをベッドの上まで運ぶか。何かやべえこと言ってるように聞こえるが、そういう意味じゃない。断じて違う。
『はぁ……』
まずは絡み合う二人を解く必要がある。具体的にはとても口に出せないが、パーシヴァルの肌からあおいちゃんの手を離す必要がある。
『心臓に悪いって……』
何がとは言わないが、パーシヴァルのアレを守ることができた。何がとは言わないが。
二人同時に抱えるのは難しいので、まずは今俺が触れてるあおいちゃんを背中に乗せて部屋に連れて行くことにした。
『胸が当たってる……』
柔らかいものが俺の背中に吸い込まれていくように押し付けられている。変な気分になりそう。
たとえ、こんな姉狂いの変態ネガティブガールでも美少女という称号がついている時点で最高の幸運と言っていいだろう。そんな彼女を背負えるなんて世間の男たちが知れば、嫉妬の嵐が巻き起こること間違いなし。めんどくせえ。気持ちはわかるけど。
『さて、と』
あおいちゃんの部屋に着いて、俺は彼女を寝かせた後、案の定散らかった下着を見つめていた。本来は見ないようにするが、あおいちゃんだしいいか。というわけで下着の色や柄の種類を確認していた。その中にかつて赤髪ちゃんが着用していた下着とほぼ同じような色と柄の下着を見つけた。この変態が。そんなに大好きなお姉ちゃんとお揃いになりたいのか。いいぞもっとやれ。
『……んん……お姉様……なんでお姉様と呼んじゃダメなの………?』
一瞬あおいちゃんの声がしたので、起きてしまったかと思いきや、寝言を発しているだけだった。一体何の夢を見ているんだ?
続けて寝言を口にした。
『……え、赤髪ちゃんって呼ばれたいから? でも私はお姉様って呼びたいですよ……』
どうやら夢の中で赤髪ちゃんと会話しているらしい。現実ではないとはいえ、妹に赤髪ちゃんと呼ばれたい姉ってどうなの?
『……じゃあせめてお客様の前だけならいいですか……?』
落とし所を提案するあおいちゃん。さすがに大好きなお姉様であっても、訳の分からない提案に困惑しているようだ。あおいちゃんの方がまともに見える。
『……分かりました。じゃあその見返りとしてお姉様の下着を見せて下さいね……』
前言撤回。お前も負けず劣らずのやべえ奴だよ。
『……ありがとうございます! え? 前金ならぬ前パンツですか? 下さるんですか! いいんですか! ありがとうございます!』
交渉成立どころかそれ以上のご褒美を与えやがった。前パンツって何やねん。
でも、さすが赤髪ちゃん、妹に一歩も引かない変態ぶりだ。
『……では、匂いを嗅いでも……?』
止まんねえなこいつ。
『……え、それはさすがに恥ずかしい?』
へぇ、さすがの赤髪ちゃんもそこは恥ずかしがるんだ。意外。
『……分かりました。触るか観賞するだけにしますね……』
そう言いながら、指を触手のようにくねくねと動かしながら擦りまくってる。夢の中で赤髪ちゃんの下着を触りまくってんだろうな。
その時、俺はある最低な事を閃いた。
『せや、試してみよう』
俺は落ちていた下着を拾って、あおいちゃん本人に持たせた。すると、その下着は夢の動作に合わせるように弄ばれ、しわくちゃになっていく。
『マジでやりやがった……!』
しょうもねえいたずらは成功した。これは面白いな。ブロンズ様のいたずら好きが少しは理解できそうだ。
『おっと、パーシヴァルを放っておきすぎた』
いたずら心が目覚めたところで、俺は本来の任務を思い出し、リビングに戻った。
『あれ? いない』
さっきまでパーシヴァルが寝ていたはずだったが、そこには誰もいない。
『どこ行ったんだ?』
まさかこんな真夜中に外に出たわけでもないだろう。そう思っていたら、ベランダに人影が見えた。誰かが月を見上げているようだ。
『パーシヴァル、そこにいたのか』
俺はベランダに入り、パーシヴァルに声をかけた。
『おお、主人か。みんな部屋に連れて行ったんだな』
『ああ、あとはパーシヴァルだけだが、酔いは覚めたみたいだな』
まだ頬が赤くなっているが、会話をしている限りは理性は残っているようだ。
『そうだな。なんかあおいの奴にこことかこことか触られてさ、妙にむずむずするんだよな……』
パーシヴァルはそのむずむずする箇所を躊躇いなく見せてきた。本来人に見せるべきものではない部分を突然見せられた俺の方こそ理性が吹き飛びそうだったが、今日だけでピンク色のイベントが多かったからか、なんとか耐えられた。
『あんまそういう所見せるな。特に異性には』
『ああ、すまない……』
パーシヴァルは思い直したようで、魅惑的な服装を正した。
『まったく……』
俺は少しだけ笑った。
『お、主人笑った』
『え?』
確かに笑ったけど、それがどうかしたのだろうか。
『いやー主人が笑ってるところ見るの初めてかもな』
『えぇ、嘘だ。俺は笑う時は笑ってるはずだぞ』
『そうだけどそうじゃなくてだな、主人は笑ってるけどそれは笑ってなくて、つまり笑ってないってことだ』
小◯構文かな?
『何言ってんのかさっぱりだぞ。やっぱ酔ってんじゃねえのか?』
『違う酔ってない! 話を聞いてくれ!』
『おお、悪い悪い。じゃあ続きを話してくれ』
パーシヴァルは咳払いをしてから会話を続けた。
『つまりだな、今まで主人は笑っているようで全然笑ってなかった気がしたんだ。でもさっきのは心から笑ってた。私にはそう見えたんだ』
『そうか……』
まあ、正直思うところはある。これまでの冒険は殺されたり殺されたり殺されたりして、あまりにも過酷だった。
――そして、近々またそれはやってくる。破滅の未来を変える選択肢はない。この世界は一度滅びて、また蘇る。もう決定事項なんだ。
だから、この時間を過ごせるのもあと僅か。
もう既に準備は済んだ。
あとは、戻るだけだ。
あの時代に――
『なあ、パーシヴァル』
『どうした?』
『もし明日世界が滅ぶとしたら、どうする?』
『うーん、そうだなぁ……何だかんだ何もしないんじゃねえかな』
『何で?』
『やっぱいつも通りの日常が一番だからだ』
いつも通り、か。
『毎日飯食って、先生やって、帰って飯食ったり、あと戦ったり、露出したり』
『おい後半』
でも、まあそうだよな。たまには特別な事もあるかもしれないけど、この平和な日常を過ごすことが何よりの快楽なのかもな。
『じゃあその日常を取り戻す為に神を殺さなくてはならなくなったらどうする?』
――刹那、どこからか突風が吹いた。まるで禁断の域に足を踏み込んだような、世界の逆鱗に触れてしまったような。
『そうだな、その時は――』
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