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第582話『十分な女よりも本命の女』

お待たせしました。

第582話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 《カレン視点》


 私の名前は橋本カレン。ルカちゃんと同じ苗字になりました。


 ということは……?


 そう、私橋本カレンはらこの度ルカちゃんと結婚しました事をご報告します♡


 ……なんてことはなく、ただのクラスメート兼家族だ。色々な理由でそれ以上の関係を進むことは叶わないだろう。ちくしょう。この世の何もかもが憎い。


 学園に通い始めてから、早くも一ヶ月が経過した。


 私はルカちゃんと同じクラス。毎日がハッピーだ!


 だが、もう一人のルカちゃんが別のクラスなのは残念だ。クソッ! なぜみんな同じクラスにしなかった! 両手に花をしたかったのによお! 片手に花じゃもう片方の手には何を持てばいいんだ!? 別の女の胸部でも触れとでもいうのか!?


 一応は同性とはいえ、セクハラなんてしたら、オーガスト・ディーンとパーシヴァルにお説教されそうだな。


 あいつらがちょっと本気を出せば私など簡単に取り押さえられるだろう。


 それに今後ルカちゃんから白い目で見られる可能性だってある。


 ルカちゃんから『最低……』なんて言われた日には、もう天に召されるしか選択肢がない。


 我が生涯に一片どころか億片の悔いあり。


 もはやデメリットしかない。ここは下手なことはやめておくべきだな。


 まあ、そもそもセクハラなんてせずとも、十分女と触れ合っている。それも現在進行系でな。


 クラスの女たちが嬉々として私の金髪をいじったり、手に触れたりと自らスキンシップを求めてくるのだ。


『カレンちゃん髪きれい〜』


『シャンプー何使ってるの〜?』


『カレンちゃんお肌きれいだね、お人形さんみたいで可愛い〜』


 そうだ、元お人形さんだぞ。


 素晴らしい。ここは天国か?


 麗しい女達が私を囲って愛でている。そんなものは犬や猫といったペットだけの特権だと思っていた。


 あ、でもこの世界線では犬や猫は存在してないのだったな。黄昏のケルベロス(あいつ)は家にいるけど。


 まあ、これだけチヤホヤされている私だが、一つ気がかりなことがある。


 私には大本命であるルカちゃんはそんな私に微笑むだけで、愛でてくれない。まるで社交辞令のようで寂しく思えてしまう。


 そのルカちゃんはほとんどオーガスト・ディーンの顔を見ている。というか見惚れている。完全に王子様を見るお姫様の顔をしている。そんな超乙女なルカちゃんも可愛いが、その顔を私の方へ向けて欲しかった。


 おのれ、オーガスト・ディーン……!。


 よくも私の大事なルカちゃんの心を奪ってくれたな……!


 キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!


 私は密かにオーガスト・ディーンへ怨念を送った。別に魔法でも精霊の力でもなく、ただの恨みだ。ダメージを与えるどころか気づかないだろう。


 つまり、何もできないということだ。


 無念……圧倒的無念……!


 いや、待てよ。もしオーガスト・ディーンに別の彼女がいたら、ルカちゃんもさすがに諦めるのでは?


 そう思い、私は授業後にオーガスト・ディーンに聞いてみた。


『いや、彼女なんていないが』


『そんなバカな……本当にいないのか……いや、いないんですか?』


『本当だよ、ていうか俺みたいな奴に彼女なんてできると思うか?』


 この会話はルカちゃんの耳に入っており、嬉しそうに分かりやすくガッツポーズをしている。可愛いけど、まずい。


『そ、そんなはずはないですわ! 先生くらいの年齢の男で彼女がいないなんてあり得ないですわ!』


 私が大声でそう言ったせいで、クラス内がザワザワしはじめた。


『どうしてそんなひどいこというの?』


 オーガスト・ディーン泣いた。それはもうガチの涙だった。


『えっと、ごめんなさい!』


 さすがに申し訳ないと思った私は頭を下げてオーガスト・ディーンに謝罪した。


 その光景を見たクラスメート達の反応は、


『先生、泣き虫ー』


『そんなことで泣くなー』


『早く結婚した方がいいんじゃないか』


 辛辣に野次を飛ばすクラスメートたち。


『うるさいぞお前達!』


 ちょっとマジギレしてきたオーガスト・ディーン。


『あー、嘘だよ冗談だよー。ごめんねー』


 迷子になって道が分からなくなった幼児のようにすすり泣く変な教師に、女子生徒たちが保護者のように慰めた。


『カレンちゃんも、あんまりそういうこと言っちゃダメだよ。人それぞれなんだから』


『うぅ、その通りですわ』


『それにしても大人の男なら全員彼女いると思ってるの?』


『じ、実はそうなんですよ! めっちゃ箱入り娘だったので常識を知らなかったのですわ〜』


 もちろん真っ赤な嘘だが、箱入り娘というのはある意味では間違ってない。私も最初はドール人形の商品として箱に入っていたのだからな。


『ふ、ふーん。そうなんだ』


 あまり納得が言ってなさそうな微妙な反応をする。きっと内心半信半疑なのだろうな。それ以上は何も言ってこなかった。


 うまく誤魔化した (?)直後の授業を終えた後、職員室に向かうオーガスト・ディーンを引き止め、会話を試みた、のだが――


『今は勘弁してよ。傷心中なんだよ』


 まだ涙を流していた。どうやら先程の私の言葉がよほど深く心をエグッたらしい。


『も、申し訳なかった……』


 いつもの口調で再び謝罪した。


 私の失言のせいで、オーガスト・ディーンはまともな会話ができない。


 そうなってしまえば、


 ①ルカちゃんが、泣いているオーガスト・ディーンに話しかける。

 ②慰める。

 ③慰めてくれるルカちゃんに惚れる。

 ④付き合う。

 ⑤デートする。

 ⑥人類繁栄の儀式、つまり【自己規制】をする。

 ⑦結婚する。

 ⑧【自己規制】をする。

 ⑨子供を産んで、末永く幸せに暮らしました。めでたしめでたし。


 ――――――――――True End――――――――――


 いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!


 ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛!゛


 なんとか……なんとかしなければ……!


 まずは泣いているオーガスト・ディーンを会話できる状態に戻さなければ……。


 でも、どうやって……?

第582話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

【自己規制】の部分に入る文字は、それぞれのご想像にお任せします。

次回も宜しくお願い致します。

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