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第575話『ストーカーダメゼッタイ』

お待たせしました。

第575話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 今日は何かが変だ。


 何が変だって?


 うちのクラスの生徒であるレインボー・ドッグことマーブルと前島志保がやたら俺を睨むように凝視してるのだ。防御力がさがった!


 俺なにかしたのかな。そう思ったが、あまりにも心当たりがない。ということは、こいつらが何か勘違いしてるか、誰かに吹き込まれたかのどちらかだ。


 前者にせよ後者にせよ、前島は成績は良いが、落ち着きがなく、変な流行に乗せられそうな危うさがあるし、マーブルは世間知らずな部分もある。


 どちらでもありえそうだ。警戒しておこう。


 その後、俺は不自然に二人に視線を送ることなく、いつも通り授業を進めた。


 授業が終わった後の休み時間、俺は次の授業の準備のため、退室した。さすがに職員室まで追ってこないだろうと踏んだが、二人は身を隠しながら俺を尾行してきた。まあ、さすがに職員室の中には入ってこなかったが。


 そして放課後になった。もうさすがに……と思っていたが、甘かった。やはり奴らは本気で俺を狙っているようだ。


 めんどくさいから放置しようと思ったが、さすがに帰る時まで尾行されているのは穏やかじゃない。特にマーブルに関しては、皇帝陛下という立場もある。というか、いつも帰りは運転手に迎えに来てもらうはずなのに、こうして普通の子供のように外に出歩いているのも大問題だ。


『はぁ、やれやれ……』


 しょうがないので、つけてきた二人と対話することにした。


 帰路の途中で踵を返し、電柱に隠れきれてない二人にこう言った。


『二人共、いつまでついてくるんだ?』


 すると、二人は隠れ続けることなく、電柱から姿を現した。


 前島志保は焦ったような顔をしているが、マーブルはまだ俺を睨みつけるように見ている。


『せ、せんせー! ち、違うんです。こ、これは偶然なんです!』


 前島志保は今更弁明しているが、動揺してるのがバレバレだ。


『誤魔化すな。いいか、これは完全にストーカー行為なんだぞ。いくら親しい関係でもどんな理由があってもやっちゃいけないことなんだ。分かるな?』


『……はい、すみませんでした』


 前島志保は素直に謝罪した。


『で、マーブルはどうなんだ?』


『……うむ、尾行したのは悪かった。だが、儂の話を聞いてほしいのじゃ、()()()()


 懐かしい話し方をするマーブルは、今俺をダスト君と呼んだ。この呼び方はこの時代のマーブルではなく、未来のマーブル……つまり魔王のものだ。


 なるほど、()()()()()ではそういう展開になるのか。


 ということは、俺と話をしたいんだな。でもそれを普通の人間である前島志保の前で話すわけにはいかないな。


 しかたがない。前島には部屋から退出してもらうとするか。それにはまず――


『おいおい、ダスト君って誰だよ。バカな事言ってないでもう帰りさない』


 帰宅命令を出すと、前島がおどおどした様子でこう言った。


『あ、えっとね……ダスト君っていうのはね、レインボー・ドッグちゃんがせんせーがダスト君って人に似てるって言うから、もしかしてせんせーがそうなんじゃないかって相談されたんだけど……せんせーはダスト君じゃないの?』


『違う。俺はオーガスト・ディーンだ。そんな()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 この発言に、マーブルがハッと顔を立てた。どうやら察してくれたようだ。


『うーん、後半何言ってるのかよく分かんなかったけど、分かりました。私達はもう帰ります。尾行なんてしてすみませんでした』


 前島は改めて頭を下げて謝罪した。


『マーブルは運転手がいるから迎えが来るまで、先生と一緒に目立たない所で待ってるか』


『そうだな。前島、そういうわけだから今日はここで。儂のせいで巻き込んでしまってすまなかったな』


『ううん、気にしないで。だって私達友達でしょ♪』


『ああ、儂らは友人だ』


 尊さを感じさせる二人のやり取りの後、前島はこの場をあとにした。


 これでやっとマーブルと二人きりになった。


 まずはマーブルを一般人の目につかない所に避難させたい。


『マーブル、うちに来てくれ。話がある』


『ああ』


 俺達は無言のまま、マーリンの家に到着した。


『おかえりなさいダスト様……そちらの方は?』


 玄関を開けると、掃除機を持ったあおいちゃんが待ち構えていた。どうやら家事の最中だったようだ。


『ああ、紹介しますよ。彼女は――』


 マーブルの自己紹介の最中だったのだが、


『あおいちゃん……?』


 マーブルはあおいちゃんの姿を見た瞬間、涙を流した。未来の魔王からすれば、あおいちゃんは家族同然の部下だ。ずっと離ればなれになっていた家族との再会に涙を流すことは不思議ではない。


『え、ええ、確かに私はあおいちゃんですが、どこかでお会いしましたか?』


 あおいちゃんはマーブルの姿を見てもいまいちピンと来ていないようだ。そういえばあおいちゃんにはこの時代の魔王のこと話してなかったな。


 かつての幼女マーブルと姿は似ているが、背格好や性格、仕草や立ち振舞い等が全く異なる。そうなれば別人と間違えるのも無理はない。


『マーブル、とにかく入ってくれ。あおいちゃんも話がある』


 俺は二人をリビングまで連れていき、会議の準備を整える。


『あの、ダスト様……?』


 知らない女の子と机を囲むという奇妙な状況についていけてないあおいちゃん。すぐにその疑問も解けるだろう。


『あおいちゃん。いいですか、落ち着いて聞いて下さい。この女の子はこの時代の魔王です』


『魔王……? え、ええ、ええ、え、ゑ、魔王様!?!?!!!?』


『しかも、今はどうやら未来の魔王の魂が入ってるようです』


『えええええええええええええええええええええええ!?!?!!!!?????!!???』


 驚愕に驚愕を重ねたあおいちゃんは、彼女史上最高のリアクションを披露したのであった。


『ちょ、ちょっと整理させて下さい……!』


 あおいちゃんはそう言って、片手で重い頭をおさえた。よほど情報が衝撃だったのだろう。


『…………………………もう大丈夫です』


 整理が終わったようなので、話を再会した。


『魔王よ、一つ聞かせてほしい。なぜ未来のアンタがこの時代のマーブルに乗り移ったんだ?』


『それは、あおいちゃんと同じ理由だよ』


 あおいちゃんがここに来たのは、未来で死亡して、マーリンによって過去に派遣されたからだ。つまり――


『やられたんだな。ゼウスに』


 魔王はバツが悪そうに頷いた。


『そうか……』


 魔王城にはアクタやルシウス含め、かなりの戦力が集結しているはずなのだが、それでも尚犠牲者が出ている。


 この調子だと、他のみんなもこの時代に来てしまうのも時間の問題だ。


 未来人の全員がここに来てしまった時、それは俺達の敗北を意味する。


 その前になんとしても力をつけて、未来に帰らなければ。

第575話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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