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第574話『未来からのメッセージ①』

大変長らくお待たせしました。

第574話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 《未来の魔王視点》


 私マーブルは正義教団という組織に嫌気が差し、魔王を襲名した。


 勇者とは何か。正義だ。


 勇者は誰だ。正義だ。


 この時代には勇者と呼ばれる者は数えるほどしかいない。いや、それどころか都市伝説だ。


 ほぼいないと言ってもいいだろう。


 ならば、正義は誰だ。


 正義の立場は今何処にある。


 そう、正義教団だ。


 警察組織もあるにはあるが、あくまで力のない一般人や熟練度の低い冒険者や盗賊を取り締まる程の力しかない。


 それ以上の力を制御するには、正義教団の力が必要だ。


 だから正義教団が勇者のような扱いを受けているところもある。


 しかし、それは大きな過ちだ。


 正義教団は強いだけで、その力を傍若無人に振るうだけのクズの集まりでしかない。


 欲望を満たすためなら、殺人でも何でもする異常集団。それを許されるのは正義教団だからだ。


 彼らのやる事は全てが正義。たとえ罪のない人の命が失われようと、子供の将来を絶とうと。


 ルシウス・ペンドラゴンは壊れてしまった。本来彼は善人だったが、旧ロンドディウム王国のほとんどの国民が死したことで、彼は変わってしまった。そこにアテナが介入した。アテナは傷心中のルシウスを愛することで、自分に依存させ、洗脳し、彼女が派遣したクズが正式に正義教団に加わり、ルシウスの国を自分の物とした。


 こうして、旧ロンドディウム王国は見る影もなく、正義教団というイカれた組織へと変貌を遂げた。正義を掲げた殺人集団に――


 ()()()()()()()()()()



 ――――――――――


 《現在》


『皇帝陛下、おはようございます。朝ですよ』


『んん……あ、あぁ、おはよう鴨志田』


 遠い夢から覚めた私は、夢の内容をぼんやりと頭に浮かべつつ、朝の準備を進めた。


 料理長の山本が準備してくれた食事を行った後は学園へ向かうために、運転手の杉田の車に搭乗する。


 あれだけ新鮮だった窓の外の景色は、今ではテレビのCMのように流している。


『今日は曇りか』


 白い布団をかけるように青空を覆い隠す曇の集団。青空が見えないとどうも心がスッキリしないのは何故だろう?


 雨が降りそうだからか。


 雨は我々人類にとって必要なはずなのに、悲しみの象徴のように思えてしまうのは何故だ。


 空が悲しんでいるように見えるからか。


 それとも――


 ()()()()()()()()()()()()()()()


 ――ん?


 私は何を言っている?


 ダストさんとは誰だ?


 これは誰の記憶だ?


 ()()……?


『………………』


 よく分からんが、今朝見た夢が思ったより頭に根付いているようだ。


 やれやれ、私としたことが……。


 今の私は子供のように学ぶ者でありながら皇帝陛下でもあるのだぞ。国民の手本となるように振る舞わなければならないのに、この体たらく……。


 やはり、私は変わってしまった。


 学校に通ってから、新鮮な体験ばかりで浮かれているのかもしれない。今は飽き気味だが。


 改めて皇帝陛下としての意識を再浮上させる必要があるな。


『……皇帝陛下、学園に着きましたよ』


 杉田が目的地の到着を報せてくれた。校門の前には既に生徒達が次々と学園内に入っていくところだ。


 私は杉田にお礼を言ってから車から降りて、流れ行く生徒の集団の一部となった。


『相変わらずすごい風貌の学校だな……』


 闇の雰囲気漂う城のような風貌。夜になれば余計にその妖しさが増すことだろう。


 これではまるで魔王城のようだ。周辺にコウモリがバサバサと飛ぶイメージが容易に展開できてしまう。


『魔王城……そういえば今朝私は夢の中で魔王になっていたな……』


 ありえない話だが私が魔王になったら、こういう城を建てることになるのだろうか。


 そんな妄想をしていると、突然やってきた強風が私のスカートを翻した。


『なっ……!』


 少し焦りはしたが、下着が顕になるほどではなかったので、ひとまず安堵した。


 転校してから早数ヶ月は経過したが、スカートというものはどうも慣れない。太腿から下着にかけて自然の風に晒されて、落ち着かない。


 風に押し上げられようものなら、下着が公衆の面前で大公開することになる。さすがの私も恥じらいを覚えるというものだ。


 何でも世の中にはそんな乙女のスカートの中を見ようとする不埒者がいるらしいではないか。もしそんな奴がいるなら、見つけ次第、私の魔法をお見舞いしてやろう。


 そんなことを思いながら、校舎の中に足を踏み入れた。靴をしまって上履きを取り出すという行為も飽きてきた。その最中にクラスメートの前島志保と会って軽い雑談をした。


 彼女はとても可愛らしい女子生徒だ。周りの男の視線が彼女に集中する。


 やはり、可愛いな前島。お前の隣に立てて私は誇らしいぞ。


『ねえ、にっちゃん』


『にっちゃん?』


『うん、にっちゃん。あ、さっちゃんの方がいい?』


『1足してどうする?』


『じゃあ……マイナスいっちゃん?』


『引きすぎだ、もっと足せ』


『じゃあ那由多』


『足しすぎだ、もっと減らせ。というかもうあだ名でも何でもないぞ』


『えぇ……スリーサウザンドちゃんわがままだなぁ……』


『わがままという問題じゃないだろ……というかスリーサウザンドって何だ』


『英語で三千って意味だよ〜』


『それは分かっとるわ! 何で急に英語になったのかって言っているんだ』


『スリーサウザンドちゃんがツッコんでくれるのが面白いだけだよ〜』


ギャグセンスは二の次らしい。


『面白いで人のあだ名を決めるんじゃない』


『えぇ……いいじゃん〜。面白さは世界を救うんだよ!』


『お前は何を言ってるんだ?』


『日本語だよ〜』


『言語の種類を聞いてるんじゃない! その言葉の意味を聞いているんだ!』


『面白さというのは興味をそそられて心が引かれ――』


『もういいわ』


 そんなわけで漫才タイムが終了した――と思いきや。


『えー、じゃあせめてあだ名だけでも決めさせてよー』


『もう散々あだ名決めまくっただろうが……まあいいや。どうせ駄々こねそうだし……早く決めてくれ』


 そういうところも、前島の可愛いところだがな。


『あ、数字じゃなくて、普通のにしてくれよ』


『分かった! じゃあ、()()()()()はどう?』


 まーちゃん?


 まーちゃん?


 それを聞いた瞬間、私は何かに引っ張られるように意識が飛ばされた。



 《???》


 ――儂を呼ぶ声が聞こえる。


 家族のように大切にしてきた娘達が儂を呼んでいる。


 でも、守れなかった。


 儂は正義教団に負けてしまった。だからみんな……連れ去られて……。


 儂一人ではルシウスには勝てなかった。


 総力を合わせても、結局ルシウスを討てなかった。


 というか、それどころではなくなった。


 ゼウスが……魔王城に攻めてきた。


 儂はゼウスに負けた。


 誰か、助けて。


 じゃないと、みんなが死んじゃう。


 世界が滅んじゃう。


 だから助けてよ、そこにいるんでしょ?


 ダストくん!



 ――――――――――


 《現在》


 一瞬だけ意識が飛んだが、その後は特に何事もなかったかのように歩みを進めている。


 ()をマーブルと呼んだ前島志保は、何食わぬ顔で会話を続けている。


 なぜマーブルと呼んだか聞いてみたが、特に理由もなく、なんとなく思いついたから口出してみたそうだ。


 まったく……驚かせやがって……。


『なあ、前島よ』


『なに?』


『ダストという男を知っているか?』

第574話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

すみません。疲労が強くてあまり執筆が進んでませんでした。改稿もしたかったのですが、ちょっと進捗が悪くて、かなり参ってます。

投稿も更新も少し時間がかかってしまうかもしれませんが、お待ち頂けますと幸いです。

次回も宜しくお願い致します。

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