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第573話『めっっっっっちゃ不穏だけど、一旦は日常が戻ったってことでいいんだよな?』

お待たせしました。

第573話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 今日は学園長(マーリン)から転校生が来ると連絡が入った。どうやら今回も可愛らしい女の子のようだ。


 当然転入先はうちのクラスだ。何かと訳ありの生徒はうちに押し付けられる傾向がある。ふざけんな。


 それにしても、うちのクラス転校生多くない?


 あんまり新キャラばかり追加しても、読者が混乱するだけだと思うんだけどな……俺も正直新キャラ多すぎて全然整理できねえ。


 おっと、メタ思考はやめて、転校生の対応に集中しよう。


 学園長室でマーリンと一緒に待っているらしいからな。


『さて、今回は一体どんな美少女なのかな』


 俺は期待しつつ、そんなことを呟いた後、学園長室の扉を開いた。


 まず目に留まったのは、ソファに座っている金髪ハーフアップの美少女だ。お嬢様のような雰囲気が凄まじい。どうやらこの娘が転校生のようだ。


 その娘は俺を見ると、ムスッとした顔で思いもしないような事を口にした。


『やっと来たか、オーガスト・ディーン』


 まるでかつての知り合いのように接する彼女だが、俺はこの娘を知らない……はずだが、()()()()()()()、どこかで見たことあるような気もする。


『えっと……? 俺、どこかで君と会ったかな?』


『慧眼魔法とやらで私を見てみろ。それで答えが出る』


 ちょっと待て、こいつは今、慧眼魔法と口にしたのか? この世界の人間は基本的に6属性の魔法しか知らないはずなのに、なぜ未来の魔法である慧眼魔法を知っている?


『慧眼魔法を知っているの?』


『それはそうだ。よくお前が使ってたからな』


『よく使ってたって、えぇ……何で知ってるの? 本当に何者なんだ君は……』


 そう言いつつ、俺は瞳に慧眼魔法を宿した。


 すると、驚くべきことにこの娘には魔力と()()の力が流れていた。ということは、ルカちゃんやオベイロンと同じく精霊界の者か!


 精霊界出身なのも驚いたが、もっと重大な事実がたる。それは()()()()()()()()()()()()()()()()


 そして、最近どこぞの誰かさんがバグで暴走して、人形(からだ)を無くして魂だけになったとあおいちゃんから聞いた。


 ここまで言えば、もうこの娘だ誰だか見当がつく。


『そっか分かったよ。()()()()()()、君なんだな?』


『そうだ、ようやく気づいたか』


『気づくかぁ! ただのドール人形から人間になるなんて誰が予想できるんだ――いや、できる奴いるわ。おそらくあの性悪女神……あっ、やっべっ!』


 俺は上司の悪口を口にしてしまったので、頭を守るように身構えた。


 おそらく数秒後にタライか何か落ちてくるのだろうと思ったが、何も落ちてこなかった。


『あれ?』


 いつもならば、今頃俺は何かしらの罰を受けてダメージを受けてるはずだ。


『何も……ない……?』


 女神ノルンとあろうものが、俺の声が聞こえなかったのか? 自画自賛しまくってる自分を貶める奴を容赦しないあの女神ノルンが?


『…………』


 何やらマーリンが神妙な顔つきになっている。何か知ってそうではあるが……。


『ダスト君、彼女のことは今は聞かないであげて』


 まるで俺の心を読んだのかのように、マーリンは先回りして釘を刺した。


『ああ、分かったよ』


 気になるけど、そういうことなら俺もこれ以上は追究しない。


『話を戻そうか』


 マーリンはコホンと咳払いを入れた。


『もう聞いてるとは思うけど、カレンちゃんは“橋本カレン”として、ダスト君のクラスに在籍することになった。よろしくね』


『よろしくな……いや、オーガスト・ディーン先生、宜しくお願いします』


 カレンは口調を改めて、丁寧に自己紹介をした。その上、手まで差し出して握手を求めている。


 ルカちゃんのことしか考えてないやべぇ奴だったのに、ちゃんと敬語を使うなんて……成長したな……!


 俺は感動で涙が出そうになったが、気合と根性で何とか抑えた。


『ああ、よろしくな!』


 俺は喜んで手を差し出し、握手に応じた。


 俺はカレンちゃんとは分かり合えないと思っていたのに、まさかこんな日が来ようとは……と感動していたところだが――


『ん?』


 カレンちゃんの握った手がやけに力強い。明らかに握手する為に必要な力を超えている。


 違和感を持ちつつ、カレンちゃんの顔を見てみると、親の仇のように激しく睨まれている。


 どうやら、彼女の中で俺はまだ許されざる者のようだ。やれやれ。


『あの、何でそんなに強い力で握るのかな? 悪いけど、俺にそういう趣味はないよ?』


『貴様の性癖など知るか!!!』


 カレンは本性を表し、以前の口調で話し始めた。


『ハーハッハ! 残念だったな! オーガスト・ディーン! 今までは私が影から出てこれないのをいいことに、ルカちゃん達のパンチラや時々見える谷間に発情の目を向けていたんだろうが、今日からは私の目が! お前を監視している! つまり、ルカちゃん達のパンツを見ていいのは私だけだ!!!』


 などと容疑者は供述しており、学園では引き続き調査を続けていきます。


『はぁ……とりあえず手を離してくれない?』


 そう言うと、カレンは満足したのか、あっさりと手を離してくれた。


『ま、まあ仲良くしてね』


 マーリンは苦笑いでそうお願いした。無理だよ、この性根から変態の美少女と仲良くなんてどうしようもないよ。


 きっとクラスメートも大変だろうな。ルカちゃんにしか興味がなかったら、それが態度に表れるだろうし……。


 しかし、それは杞憂であった。


 転校生“橋本カレン”を紹介したあと、すぐにクラスメート全員と打ち解け、大人気の女の子となったのだった。


 安心したような嫉妬したような複雑な感情が混ざり合った。


 ちなみにルカちゃんは、

 カレンちゃんのまさかの人間化(美少女化)+想定外すぎる自分のクラスへの編入=かつてないほどの驚愕。


 まるで魂が抜けたように呆然としていたのだった。その間にカレンちゃんにいやらしい目で見られているとも知らずに。


 俺は呆れるようにため息をついて、銅像のように動かなくなったルカちゃんからカレンちゃんを引き離した。このままだとスカートもめくってしまう勢いだからな。担任としてはさすがに止めなければならない。


 副担任のパーシヴァルにもカレンちゃんの性癖を共有して、今後は二人体制で変態(カレン)に目を光らせることとなった。


 ――まあ、何はともあれ。


 形は少し変わったが、みんなの日常が戻ってきたんだな。うん、本当に良かった。このままみんな笑顔でいることが何よりの快楽だ。


 ――だが、平和な日常はそう長くは続かない。破滅の時間(とき)は確実に近づいているのだから。

第573話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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