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第572話『魂の言葉』

お待たせしました。

第572話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 女神ノルンは霊魂室へ訪れた。


 カレンの魂を保管するためだ。


 それだけの作業の終えて、その場を去るつもりだったが、その前に女神ノルンはカレンに話しかけた。


『カレンさん、ちょっといいですか?』


 すると、(くち)がないはずの魂から声が聞こえた。


『何ダ』


 やや気怠そうな声で返事をした。


『そこから外の様子は見れましたよね? 暴走したあなたをあっさりと止めた瞬間を』


 うちの戦力はどうだとドヤ顔で語る女神ノルン。


 カレンはうざそうに女神ノルンを見るが、事実を語っているので、反論ができない。


『どうですか? またこの世に生を受ける気になりませんか?』


『デキナイ……』


『なぜですか? 問題だったあなたの器はもう消えましたし、もしまたバグが起きても今回のように我々で容易に対処できます。それなのにまだ不安なんですか? 一体何を心配してるんですか?』


 女神にすら分からないカレンの精神構造。


 カレンは何を思うのか、魂のままでは表情が分からない。


『……私ハ暴走シテ、カナリノチカラヲ得タニモ関ワラズ、アッサリト決着ガツイテシマッタ。確カニコレナラ私ガ今後暴走シタトシテモ杞憂ナノダロウ』


『ならどうして?』


『ナラバ尚更戦力ニハナラナイ。私程度ノ実力デ来タルベキ戦場ニ出タトシテモ、足ヲ引ッ張ルダケダ。ソノセイデルカチャンニ余計ナ負担ヲカケサセテシマウ可能性ガ高イ。ソレニ、ソモソモ人形トシテ動イテイルコト自体ガ間違ッテイル。私ガ生ヲ受ケタノハ、アクマデ、ルカチャンヲ逃ガスタメニ特別ニ魂ヲ入レテモラッタニ違イナイ。私ノ役目ハ終ワッタノダ!』


 それを聞いて、女神ノルンは負の感情に支配された。それは彼女が生を受けてから初めてのことだった。しかし、女神ノルンは知っている。それは()()()()であることを。


 内心かなり感情が昂っている女神ノルンだが、彼女は知っている。それを表に出したところで何も解決しないどころか後退の一歩を辿ってしまうと。


 だから、決して感情を表には出さずに――


『ガタガタうっせえんだよ!!!』


 決して感情を表には………………。


『役目が終わったなど、存在が間違ってるとか、んなもん知らねえよ!!! どんなに否定されても、てめえの生きる意味はてめえで見つけりゃいいんだよ!!!』


 気品ある清楚な女神ノルンは、ヤンキーのような口汚い口調に変貌するが、それどころではないカレンは特にツッコむことなく会話を続ける。


『ダガ、私ハ……』


『はぁ〜〜〜? まだ言うのか? このパンツ好きの変態がよぉ〜〜〜?』


『ナ、ナゼバレテ――』


『ったりめえだろ! 私を何だと思ってる? 女神ノルンだぞ! てめえが普段影からあらゆる女の子のスカートの中を覗いてることなんてお見通しなんだよ!!!』


『ナンダト……!? 見ツカラナイト思ッテタノニ……クソッ!!』


 もし今のカレンに身体があるなら、床に手と膝をつけて、敗北のポーズを取ったことだろう。


 調子に乗った女神ノルンは下品極まりない笑い声を披露する。


『ギャハハハ! この女神ノルンに分からねえことなんて……ことなんて……』


 ない、とは言い切れない女神ノルン。途端にテンションが大きく下がった。それは今自分が弱体化していることに関係している。


 彼女自身も気づいていた。日に日に落ちていく性能、劣化していく身体。肉体は人間そのものではあるが、若い容姿と関係なく、衰退が始まっている。


 黒幕を見つけたり、ゼウスをどうにかすること以外はほぼ何でもできるはずの女神ノルンに出来ない事が徐々に増えてきている。


 故にタイミングを逃せば、カレンの蘇生も叶わなくなる可能性だって低くはない。


 女神ノルンは常に焦燥感に追われている。自分の権限(ちから)が死んでいく前に一刻も早くやれることを全部やらなければならない。その一つがカレンの蘇生だ。


『……まあ、とにかくだ!』


 女神ノルンはカレンにビシッと指を指した。


『使命だとか生まれた意味だとか、んなつまんねえもん忘れて、欲望のままに生きりゃいいんだよ!!! せっかく生きてんだから、もっと楽しまねえと損だろうが!!! ただし犯罪はダメだけどな!!!』


 最後に大事な事を付け加えて、怒り狂った表情から、ゴールを決めた子供のような無邪気な笑顔を見せた。


『ノルン……』


 女神ノルンの言葉(ほんね)に心が大きく揺らぐカレン。


 使命が心から離れなかった。だが、それはあってないようなものだ。誰から言われたわけではなく、ただドール人形を器にしただけの魂が現世に現れ、助けたいと思った女の子を助けた。ただそれだけの話だ。


『ノルンノ言イ分ハ分カッタガ、人形ノママデ現界スルノハ、ヤハリ理ニ反スル。サッキモ話シタガ、戦力的ナ意味デモ、私ハイナイ方ガイイダロウ』


 どう心に訴えかけても、自分は邪魔でしかないと聞かないカレン。


 やはり人形であること、戦力外であることが彼女の大きな壁のようだ。


『問題はやはりそこか……よし、分かった。私がどうにかしてやる!』


『ドウニカッテドウスル気ダ?』


『こうするんだよ――』


 女神ノルンは残りの力を使い、カレンをこの世に現界させる事に成功した。


 カレン本人は戸惑っていたが、一応彼女の懸念していた所は解決している。


 そして翌日、カレンは生まれ変わった姿をルカ達の前で見せた。

第572話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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