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第566話『少女VS鬼嫁②』

お待たせしました。

第566話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 ルカは氷の精霊の力を使い、氷のビームをダイアナに向けて放った。


『氷魔法? 残念だったわね、それも対策済みよ!』


 ダイアナは炎魔法をを使い、身体に炎を纏わせた。これでダイアナと距離の近い氷は程なくして溶けるだろう。それがたとえどのような殺意を抱こうと。


 しかし、氷のビームは溶けることなく、炎の身体に張り付いた。


『なっ……!?』


 すると、張り付いたところから徐々に広がっていくように氷に侵食されていく。このままではダイアナはパンツ一丁のまま凍結し、氷越しにイチゴ柄のピンクパンツ一丁の美女が見れるヤバい観光スポットとして一躍有名になれるだろう。


『えっ……何で……?』


 ありえない事態に驚愕を覚えるダイアナ。


 本来であれば、どうあがいても氷魔法が炎魔法に勝ることはない。にも関わらずルカの放った氷のビームは炎ごと彼女を凍らせた。


『まずい!』


 彼女は張り付いた氷を溶かすために自身に炎魔法を発動する。


『溶けろおおおおおおおおおおお!!!!!!』


 叫び声に呼応するように盛り上がる炎。しかし、氷は一切の譲歩を許さず、炎を完全拒絶した。


『うそ……そんなことって……』


 氷が足元まで達した。ここまで凍れば移動自体ができない。次は首元だ。この時点で顔を別方向に向ける事ができなくなった。そして最後の砦である顔だ。ここも凍れば完全に銅像同然の状態になるだろう。


『くっ……何で……』


 氷が炎に勝る最大の謎が解けないまま、彼女は凍てつく氷によって完全に自由を奪われた。


『………………』


 最後に出した表情のまま、彼女は敗北した。


 ――もしダイアナが精霊の力を熟知していたなら。

 ――もしルカが魔法しか使えなかったのなら。


 ダイアナの勝利で終わっただろう。


 ダイアナは力で勝って技量に負けた。その結果が今の状況だ。


『ダイアナが……負けた……?』


 愛する妻が氷漬けにされているところを黙視していたアンドリュー。彼女の敗北など今まで想定していなかった故にこの結果には驚愕を覚えている。


 アンドリューは負傷した足を無理やり動かして、ダイアナの元へ向かおうとする。


『アンドリューさん! 俺達が手を貸しますから!』


 フランとケンはアンドリューを再び介抱する。ちなみに壊れた人形はフランが片手で担いでいる。


『おお、すまない……』


 アンドリューはフランとケンにサポートされながら、確実に一歩一歩進む。


 その様子をルカは何も口出しすることなく、見守っている。が、フランが近づくと、


『ねえ』


 フラン達はピタリと止まると、


『カレンちゃんをこっちに渡してくれない?』


『お前、確かカレンを助ける為に剣をぶん投げた奴だよな?』


『そうだよ』


『それなら信用できるな。ほらよ』


 フランは丁寧に人形を差し出した。


 もう動かない人形をルカは受け取った。


『ありがとう』


 その場で立ち止まったルカを置いて、フラン達は歩みを再開した。


『………………』



 ――少女は人形を見つめた。眼は常に開いているのに動かないそれは、まるで本来の人形に戻ってしまったような、夢の国の魔法が解けてしまったような――


『カレンちゃん……』


 宝石のような涙をポロポロと流すルカ。人形との思い出は誰よりも長く深い。


『…………………………』


 人形には死という概念はない。人形という器がある限り、たとえ四肢をもがれようと、首が飛ぼうとも魂だけは生き続けるだろう。


『…………………………』


 だが、逆に言えば、そこに魂がなければただの器でしかない。


 死なないはずの人形が返事をしない。その意味は――


『カレンちゃん……本当にこのままお別れしてもいいの?』


『…………………………』


『何とか言ってよ!!!』


『…………………………』


『カレンちゃん……!!!』


 溢れ出す涙が加速する。そして――


『うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!』


 人目も気にせず泣き叫ぶルカ。人形(しんゆう)のお別れを確信したからだ。


 ――辛い時一緒にいてくれた人形(かぞく)はどこにもいない。

 ――私を助けるために逃げ道を用意してくれた人形(きし)はどこにもいない。


 ルカは一人の人形(しんゆう)を失った。


『もっとカレンちゃんと話したいことがあったのに! 一緒に遊びたかったのに! 旅行だって行きたかったよ!!!』


『………………!』


(そうか、こいつは……ボスを失った時の俺なんだな)


 今のルカをかつての自分と重ね合わせたアンドリュー。彼女の悲しみ、苦しみは痛いほど理解できる。妻を氷漬けにした張本人ではあるが、情を湧かずにはいられなかった。


 ――それから10分後、彼女はようやく泣き止んだかと思えば、人形を連れたままどこかへ歩み出そうとした。そして、また涙を流した。


 ――雨がポツポツと降り出した。それは嘲笑うかのように彼女達の身体を冷やした。


 その様子を見ていたアンドリューは、彼女に声をかけようとしたが、その前に――


『ルカさん!!!』


 青い髪の美女がルカの名を呼んだ。この国では見慣れない顔だったため、アンドリューはその時点ですぐにルカの仲間だと察した。


 青い髪の美女はすぐに状況を把握し、ルカを抱きしめた後、傘の中に入れてどこかへ去っていった。

第566話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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