第563話『カレン、放浪の旅⑧』
※すみません。前書き書くの忘れてました。
お待たせしました。
第563話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
ダイアナの攻撃により窓から落ちたカレンに、さらなる追撃が迫る。
小さな拳から炸裂するは、大地すら割る殺人兵器。
ここから反撃などもはや無意味。その拳に魔法など効きはしない。
――逃げるがいい愚かな傀儡よ。
――逃げるがいい愚かな弱者よ。
今のカレンは龍の大群に囲まれたただの虫だ。
少しでも彼女の拳に触れようものなら、塵芥となって世界を舞うことになるだろう。
『……!』
カレンは光魔法をダイアナの目に放った。
『……うっ!』
一瞬だけダイアナの視界を奪うと、その刹那の間にカレンは空中に影を呼び起こし、姿を消した。
ダイアナの視界が元に戻る頃、何処へと消えたカレンを追う為に辺りを見渡すが、姿が見えない。
『どこに行ったの……?』
まだ遠くに行ってないと踏んで、辺りを捜索するダイアナ。アンドリューとは違って気配を感じ取る能力はないので、カレンが近くに潜んでいても、永遠に気づくことはないだろう。
『クソ……ナカナカヤリヤガルナ、アノ女』
布綿を損傷したカレンは、二度と治らぬ傷を背負い、ダイアナの足元まで追いかける。
すると、そこには――
『ナッ……パ、パンツガ可愛イ……!?』
影からちょうどスカート中が見えてしまい、下着を目撃することとなったカレン。
『アンナニ凶暴ナノニ、イチゴ柄ノピンクパンツトハ……恐レイッタゾ……!』
カレンは、その後もダイアナの下着をその眼に映しながら跡を追う。
ダイアナは下着を覗かれている事も知らずに、鬼の形相でカレンを捜索する。
『ハァ……ハァ……モ、モシ、ルカチャンガ……アノパンツヲ履イテタラ……』
カレンはピンク色の妄想を膨らませながら、鼻息を荒くする。
なんてことをやっていると、臀部の代わりに鼠径部が目の前に映った。後ろも前も相変わらずイチゴが目立つその布に気を取られ、非常事態に陥っている事に気づかなかった。
『ウオオオオオオオオオオ!!!!!』
パンツに興奮して、つい影から姿を現すカレンを、ダイアナはガッツリと目撃していた。
『ア……』
『あなた何をやってるの?』
自分のパンツに劣情を抱くこの人形に何を思ったのかは定かではないが、潰すべき敵である事には変わりない。
『まあいいわ。ここで死になさい!!!』
ダイアナは足を天高く上げると、斧のように振り落とす。すると、足が地面にめり込み、軽い地割れを起こした。しかし、そこにカレンはいなかった。
カレンはダイアナの足が振り落とされる寸前、一瞬だけパンツを見たあと、すぐに影の中に戻り、無事に回避したのだった。
『手応えなしか、チッ』
また逃げられたとイラつくダイアナは再びカレンを捜索する。
『確かあのこ、下から現れたわよね……』
ダイアナは真下を見た。すると、影が不自然に動いていることが分かった。
『影が……動いてる……?』
影の中にある2つの眼。そこに映るはダイアナの可愛らしい下着だ。どうやら攻撃を避けた後も性懲りもなくダイアナのスカートの中を覗きにきたようだ。
『あなた……私のパンツ見すぎじゃない? まあいいけどね。あなたをここで殺すから』
ダイアナは今度は足ではなく、拳に力を入れて、地面に向かって力いっぱい振りかざした。
『フン!!!!!!!』
拳が地面にめり込むと、まるで痛くて涙を流しているような亀裂が2メートル近くまで広がった。その亀裂の中に影があった。
すると、影の中に攻撃が影響し、カレンは布綿に世界トップクラスのボクサーから殴られたようなダメージを負った。
『……』
布は破れ、綿は5割以上は飛び散った。
人間ならば臓器が壊れるレベルのダメージを受けたのだが、カレンは人形である為、痛みは感じない。布綿も満身創痍ではあるが、魂が滅びない限り、部位が残っている限り、動かすことができる。
『マダマダダ』
壊れかけの人形は影の中から光魔法で反撃する。
影の中から飛び出した光の球はダイアナに向かって突進するのだが、手刀で軽く振ることでそれは真っ二つになった。
さらなる反撃を繰り広げる前に、ダイアナが影の中に手を突っ込み、血だらけの人形を持ち上げた。
『ん、人形……? あなた幼女の姿をした妖怪じゃなくて人形だったのね』
『……』
カレンは答え合わせはせずに、ひび割れた眼で見つめる。
『不思議ね、まさか人形が動くなんて……個人的にはもっと話を聞きたいところだけど、ダメね』
ダイアナの目からハイライトが消えた。
――それは敵を滅ぼす者。
――それは残虐を極めた者。
『あなたは取り返しのつかない大罪を犯した。私の愛するアンドリューを傷つけたこと。しかもただ傷つけただけではなく、重傷を負わせたこと。たとえ子供だろうと人形だろうと容赦しないわ』
ダイアナは親の仇のように激しく睨みつけ、再び手刀を作り、首元に当てる。
――これは処刑の合図だ。間もなくカレンは四肢どころか原型すら残らない。最終的にゴミや埃と同化する存在となるだろう。
『……』
カレンは自らの死期を悟った。ここから反撃する術もなく、処刑を受け入れるだろう。
カレンは元々不安定な存在だ。ここで排除されることは世界にとってバグを修正する行為と同義だ。カレン自身もそう思っている。
それでも――まだ未練が2つ残っている。
1つ目はフランのケンの願いを叶えてやれなかったことだ。短い付き合いとはいえ、彼らとの絆は浅くない。もっと長い付き合いをすれば、かけがえのない仲間あるいは家族にもなれただろう。
2つ目は自分の主人であり、親友でもある橋本ルカの存在だ。
今は敬愛以上の感情を覚えてしまったカレン。その影響でもう一つの人格のカレンが出来てしまった。故に今は距離を置いている。
そこで、ここに来る前にフランとケンと話し合って出た作戦があった。
それは橋本ルカ本人と対面しなければ叶わない策だ。
『…………』
(ココマデカ。案外アッケナイモノダ)
カレンはフランのケンを頭に浮かべる。
(フラン……ケン……スマナイ。オ前達ノチカラニナレナカッタ……)
橋本ルカとルカ・ヴァルキリーを思い浮かべる。
(ルカちゃん……好き、好キだヨ……もウ会えナくテ残念だケド……ドウか健やかに生きてほしい)
『死ぬ準備はできたようね。安心して、お仲間のあの子達もあなたの跡を追わせてあげるわ!』
『フラン……ケン……逃ゲロ……!』
容赦のない手刀は一回振り上げてから勢いをつけて、カレンの首元に迫りくる。
『死ねええええええええええええ!!!!!』
(私ハ……無力ダ……)
そして、カレンは――
※すみません。後書き書くの忘れてました。
第563話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
次回も宜しくお願い致します。




