表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
578/725

第562話『カレン、放浪の旅⑦』

お待たせしました。

第562話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2024/07/29誤植があったので修正しました。

 アンドリューの部屋に一人の女性が現れた。黄金の川のような金髪のロング、貴族が着用するような赤いドレス。ここだけ見れば、さぞかし気品ある女性のように思うだろう。しかし、彼女の目は怒り狂った猛獣の如く、狂っていた。


『アンドリュー?』


 この世の全てを憎むような黒い眼差し。


 地獄から流れ出たような血の色の液体。


 殺意に満ちた握りこぶし。


 そして、身体全体を掴まれるような強い殺気。


 今、外に出ているケンは攻撃する手を止めてしまった。


『アンドリューを傷つけたのは貴方?』


 そう質問されると、冷や汗が止まらないケンは尻もちをつき、影の中に逃げようとした。


 一方で影の中にも殺気が届いており、カレンとバトルジャンキーのフランでさえ、軽く硬直していた。


 故に反応が遅れてしまった。


『ア、ア……! ケン、早ク戻――』


 カレンがそう口を開く頃には、ケンは既に首根っこを掴まれており、逃げられない状態だ。ケンの命は果物をもぎ取るが如く容易いだろう。


『マズイ! コウナッタラ私ガ出ル! フランハココニイロ!』


『お、おい、今何が――』


 カレンは、フランの疑問を聞かずに飛び出してしまった。


 そして影から一つの人形が現れた。それは手の先に光の球を浮かせており、赤いドレスの女に向かってビームのように解き放った。


 見事命中、ダイアナは回避が遅れてそのまま軽く吹っ飛んでいった。


『今ノ内ニ撤退スルゾ!』


 カレンはケンを影の中に入れようとするが、その前に一つの拳がカレンの目前まで迫っていた。


『――』


 ――反応する間すらなかった。ふっ飛ばされたはずのダイアナはすぐに立て直し、攻撃を行った。


 そして、それはカレンの顔部分をめり込ませ、その勢いのままふっ飛ばし、窓ガラスを貫通した後、そのまま下に落ちていく。そして、赤いドレスの女はそれを追う為に割れた窓ガラスから飛び降りた。


『カレンさん!!!』


 それと同時に影が消え、中にいたフランが現れた。


『お、おい何がどうなって……?』


 状況を把握できないフランへの説明義務を放棄したケンは、フランの手を握り、その場から走ってカレンの元へ向かうつもりだ、


『カレンさんを助けるぞ!』


 しかし、二人を傷だらけのアンドリューが止めた。


『待て』


『あなたに構ってる場合じゃない!』


『おいおい、俺は構ってちゃんじゃねえよ。いやそうじゃなくてだな、お前らじゃダイアナを止められねえよ』


『ダイアナって誰だ?』


『おそらくカレンさんをふっ飛ばした赤いドレスの女性だ』


『ええーーーーー!? カレンぶっ飛ばされたのかーーーーー!?』


 ようやく状況を理解したフラン。


『ダイアナは俺の嫁なんだ。そんで俺よりも強えぞ』


『……!』


 彼らの背中を戦慄感が駆け抜けた。


 カレンがいなければアンドリューにすら勝てない二人がカレンを助けに行くなど、もはや自殺行為に等しい。


『まあ待て、ああ見えてダイアナは人殺しを好まねえ。だからさっきの……お嬢ちゃん? は死なねえから安心しろ』


『本当か?』


『ああ、本当だ』


『あと、あいつ人間じゃなくて人形だけど大丈夫か?』


『ああ、大丈――ん、待て人形? 人形っつったか?』


 人間ではなく、まさかの人形というワードに驚愕するアンドリュー。


『ああ、カレンは人形だ。訳合って動ける人形になったみたいだが』


『そんなことあるのか? とても信じられねえ……けど、お前たちが嘘をついているようにも見えねえな……特にそこのちっこいガキは嘘つけなさそうだしな』


 “ちっこい”というワードにフランは再び憤怒の嵐を巻き起こした。


『誰がちっこいだ! この野郎!』


 フランは炎に拳を纏わせた。このまま本気で殴りそうな雰囲気だが、アンドリューは軽く困惑するだけで回避する動作がなかった。


『ああ、悪かったよ。とりあえずその拳を引っ込めてくれないか?』


『……』


 しかし、引っ込める気がなく、炎は美しく熱きオレンジを揺らしている。


『おいおい、まだ怒ってんのか? 見て通り俺はもう動けねえんだ。お前らに足を攻撃されたからな』


 根に持っているような嫌味を口にした。


『……』


『いいのか? 抵抗できない相手をひたすら攻撃するなんて。ちょっと卑劣すぎると思わないか?』


 今度はフランの良心に訴えかけた。


『……確かに。じゃあやめる』


 説得されたフランは拳から炎を引っ込めた。


 息をついて安堵したアンドリューは話を続けた。


『で、話は戻るんだが、あのカレンとかいう人形、何者なんだ?』


『敵であるあなたに話す理由はありません』


 ケンはカレンの情報を守るために、口を固く閉ざした。


『まあ、そうか。でも多分だけどよ、あの人形、この世のモンではないだろ?』


 図星を突かれるケン。首を横に振ることもできず、アンドリューの鋭い眼差しの前に何も反論できなかった。


『お前の反応……やっぱりそうだよな。お前らの姿が消えたりしてたのもあの人形の仕業なんだろ?』


 またしても手口がバレてしまった。下手に嘘をつこうとしても、勘のいいアンドリューの前ではもはや無意味だろう。


『安心しろ、別に他の奴に言ったりしねえよ。俺はただお前たちの話を聞きたいだけだ』


『俺たちの話だと?』


『ああ』


 するとケンは、


『話したら、カレンさんを助けてくれるんですか?』


『内容次第だ』


『確実じゃないけど、でも今俺たちにできることは――』


 何かを決心したケンは、


『分かりました。話しましょう、俺たちの話を』


『ケン、いいのか?』


『いい。今はカレンさんを助ける事が第一優先だ』


『まあ、そうだな。分かった。ケン、全部話してしまえ』


『何で全部俺に委ねるんだよ、フランも話してくれ』


 ケンは呆れながらツッコミ役に勤しんだ。


『面白いなお前たち』


 アンドリューは少しだけ笑った。


『それほどでも〜』


 何故か照れるフラン。


『これっぽっちも褒めてないぞ』


 ケンは深呼吸をしてから、改めて表情を変えた。


『それじゃあ話しますよ。俺たちの事。まずは――』



第562話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ