第558話『カレン、放浪の旅④』
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まずは一階の部屋から調べた。しかし、どの部屋にも金庫らしきものはなかった。かかった時間は一本の映画が観れるほど。
『一階にはないかー!』
『仕方ナイ。次ハ二階ニ行クゾ』
階段を上り、次のフロアに足を踏み入れた。
ここにも人は沢山いる。誰も彼も死線をくぐり抜けたような雰囲気を醸し出している。いかに厳しい環境であるかが読み取れる。
彼らも魔法を使う。生活に必要な時から戦闘用まで様々だ。カレンの仲間ほどではないが、それなりに戦闘能力は高いだろう。
カレンは引き続き、人の目に留まらぬ早さで影を動かしながら、ドアの隙間に入り、金庫を探し続ける。
『マズハコノ部屋ダ』
扉をすり抜けると、そこにはムチや蝋燭やあと何かヤバそうな道具が色々置いてあった。
『何だ、この部屋?』
『武器庫かと思ったけど違うっぽいかな。どちらかと言うと物置きみたい』
まだ純粋な二人はそう反応するが、色々な知識を詰め込んだカレンは無言で部屋を去った。
『おい、何で戻るんだよ?』
『ココハ絶対違ウ。次ニ行コウ』
『え、でもまだ調べて――』
『イ、イイカラ行クゾ!』
カレンの勢いに押し切られ、二人は疑問符を頭に浮かべつつも黙ってついていくことにした。
『次ハココダ』
扉をすり抜けると、そこには知らない美女の写真が部屋中に貼られているというおぞましい光景があった。
カレンはまたしても扉の向こうに逃げた。
『おいおい何でまた戻るんだよ?』
『……』
純粋なケンもさすがに理解したようで、かなりドン引きしていた。しかし、フランは、
『ていうか、何であんなに写真ばっかり貼ってんだ? よほど倒したい相手だってことか?』
『いやフラン……あれは多分……うん……関わっちゃダメなやつだ』
『そうなのか? 強い奴なら俺も戦いたいんだが』
拳を突き出してアピールするフラン。
『そういう話じゃないんだ。とにかく関わるな分かったな?』
『お、おう……よく分かんねえけど、分かったよ』
『よし、次行きましょうカレンさん』
『アア、ソウダナ……』
さらに別の部屋の扉をすり抜けると、
歳の差がありそうな男女が赤らめながら肌と肌を――
『一番見テハイケナイ部屋ダッタ!』
すぐさま部屋を去った。
『おい、またかよ……一体何があったんだよ……』
純粋な二人はさっきの部屋の光景をあまりよく見ていなかったようだ。
『オ前タチニハマダ早イ』
『え、どういうことだ?』
『大人ニナッテカラ分カル』
『お、おう。よく分かんねえけど、やっぱよく分かんねえな……』
『トリアエズココハ関係ナイ。次ニ行クゾ』
その後も二階フロアの他の部屋を片っ端から覗いてみたが、頭ピンクに染まったようなヤバい部屋ばかりだった。
一瞬見て去ったパターンばかりなので、全て見終わるのに一階ほど時間は要さなかった。
『色欲ニ溺レタ愚カナ人間共メ……!』
なかなか金庫が見つからないのもあり、カレンは静かに激怒した。
フランとケンの二人は後ろで首を傾げている。
(アイツラ全員オーガスト・ディーンミタイナ変態バカリナノカ? モシルカチャンニ会オウモノナラ、全員ガルカチャンヲ巡ッテ争イ、殺シ合ウダロウナ。ソシテ残ッタ一人ガルカチャンヲオ持チ帰リヲシテ――)
カレンはこの後、とても口にできないような踏み込んだ内容を想像する。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』
カレンは突然発狂した。
『うおっ!? びっくりした!?』
お化け屋敷で驚かされたようなリアクションを取るフラン。背景が真っ黒な故にますます恐怖が増している。
『カレンさん、どうかされました!?』
『ハァハァ……イヤ……ハァハァ……ナンデモナイ……ホホヲアカラメタルカチャン……カわイいね』
『いや、絶対何かあったでしょう!!』
『ナ、何モ考エテナイゾ! エきサいとスルルカチャんノコトなンテ考エテナいんダカラな!』
『本当に何言ってるんですか!? 何か変ですよ!?』
それからカレンはしばらく発狂していたが、時間が経つにつれて、段々と冷静さを取り戻すのだった。
『スマナイ、取リ乱シテシマッタ……』
『落ち着いたなら何よりです。それより次に行きましょうか』
『アア、ソウダナ……次ハ三階カ』
既に心身共に疲労に支配されるカレンだが、気合と根性で階段を上った。
『モウ二度ト二階ニハ行キタクナイ。クタバレコノバカアホドジマヌケカスゴミフロア。色欲ニ潰サレテ消エロゴミ野郎』
『めっちゃ喋るし、口悪いじゃん。どんだけキレてるんだよ』
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