表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
566/725

第551話『女神が見たもの②』

お待たせしました。

第551話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 平和な日、平和だった日、


 ある国があらゆる国に対して、宣戦布告を行った。


 今まで認知もされない誰も知らない国。彗星の如く突然現れた小さな国。


 たった一つの国が多国に喧嘩を売るという前代未聞の事態。


 これを聞いた国民の誰もが危機感を覚えるどころか、『どこかのバカが何かいってらーwww』と笑い飛ばした。


 それもそうだ。たった一つの小さな国とそれ以外の国とでは戦力の差は圧倒的すぎた。幼稚な夢物語にも程がある。誰もまともに相手なんてするわけがない。


 そう思い、人類は日常を続けようとした。


 しかし、上空に放り込まれた大量の奇妙な弾が現れると、急激に落下し、それは都市全体を滅ぼした。


 ――それは災害(ほのお)だった。


 ――それは暗黒(やみ)だった。


 ――それは魔法(あめ)だった。


 あるはずのない魔法を彼らは駆使し、ほとんどの軍隊は滅びた。たった一つの国の小規模な軍隊の前では、屈強で優秀な兵士たちが成すすべなく、火に焚べられる薪となったのだ。


 国を守護する者がいなくなれば当然守ることなど不可能だ。故にほとんどの国は侵攻され、国としての機能は全て失った。


 戦争のせの字のなく誰もが食っていけるような平和で温い世界は一瞬にして地獄に変えられた。


 これまでの文明は燃え、もはや会社の運営どころではない。せっかく進めていた異世界ゲーム化プロジェクトも灰と化した。


 しかし、世紀末世界になってから数カ月後、元社員は思いついた。人類を救うために異世界ゲーム化プロジェクトを利用できないかと考えたのだ。


 異世界ゲーム化プロジェクトは元々、異世界へ実際に身体ごと飛ばして、そこでゲームとして冒険できるというもの。


 ログアウトさえせずに人類にそのゲームを永遠に続けさせる事で、実質的な異世界転移が可能となる。


 ただし懸念点があった。それは異世界へ行くための装置がまだ試作段階であるため、異世界に飛びした者にどれだけの影響を及ぼすか不明であることだ。


 もしかすると記憶を失う、なんてことがあるかもしれない。


 それでもこの世界に居続ければ、弱者は問答無用でいずれ奪われて殺されるだけなのも事実だ。


 それならば、多少安全性が無くとも異世界に移住した方がはるかにマシだ。


 それを弾圧された民全てに伝わり、奪えない者達は即座に移住の準備を進め、次々と異世界へ飛んでいったのであった。


 案の定、異世界移住した者の9割は記憶を失った。逆に1割の者は悲惨な過去(きおく)を保持したまま、特別な力を持つ者として今後を生きることとなった。


 ――もっとも、これは表面上の話だ。


 記憶を失うのは確かだが、厳密に言えば、記憶を失う者を()()()()()()()()()()


 その権限を持っているのは、そのゲームを作った社員達だけだ。


 本来ならば全員記憶を保持した状態を選ぶべきだが、それを幸せとは呼ばない者もいる。


 世紀末世界での惨状。家族を守る為にやむを得ず、人の食糧を奪い、殺害した者も多かったからだ。せっかく移住しても今後その罪を背負いながら暮らすと、その罪を思い出して自決する者も少なくはないだろう。


 殺人の罪が消えることはないが、状況が状況であった。仕方がなかった。正義は人のためではなく、自分のためにあるものだ。


 彼らに忘却を与えるのか。それを警察でも裁判官でも王家の一族でもない、ただゲームを作っているだけの一般人に正しい判決などできようか。


 ――(ふかのう)だ。


 彼らは自分達の判断で、彼らの中から(きおく)を消した。これで彼らは罪を思い出すことなく、善良な異世界人として生きていくことになるだろう。


 これで良かったのか。その答えを永遠に得る機会もないまま、作業は終了した。


 こうして全員分の手続きが完了した。


 あとは記憶消去を求めなかった者たちだけだ。


 その中に一部やむを得ず人を殺してしまった者もいるが、罪の意識を消してはならないと記憶消去を拒否した。あとは世界の惨状を忘れてはいけないと頭に刻む者もいた。歴史を繰り返さないために。


 それを称賛というわけではないが、記憶を持つ者のみ特別に力を強めに設定した。残りの人類を導くためにはどんな脅威も退けられる強さが必要だからだ。


 こうして彼らは、人類を守るための使命を背負い、再び国を発展させていくのであった。めでたしめでたし――(いいえ)、まだこれで終わりではなかった。


 ある一人の男が反旗を翻した。その男はゲーム会社の社員であった。普段から大人しく、特定の人物としか馴れ合わないような男だった。故に他の社員との関わりなど皆無に等しいはずだった。


 しかし、彼はゲームの全ての権限を奪い、ほとんどの社員を殺害し、仲が深い社員のみを残し、共に世界を支配した。


 そんな彼にはそうするだけの動機があった。一度だけ制作したゲームシナリオを提出した事があったが、努力虚しく却下されてしまった。


 それが、それだけが彼を殺人鬼に押し上げた原因だ。もちろんここまでする気はなかっただろう。その機会が訪れたか、そうではないかの話でしかない。


 そして、今も未来も彼は暗躍し、世界を動かし、滅ぼし、()()()()()()()


 破滅の願望機。この世界を破壊できるリセットボタンのようなものだ。それがあれば彼の願望をより強固のものにできる。故に彼はそれを探していたが、一人の社員があの男に渡る前に破滅の願望機をバラバラに砕き、何も知らぬ者達に託した。


 それにより破滅の願望機が形を揃えることはなく、彼の願望は遠のいた。だが、それでも彼の願望を実現させる事は不可能ではなかった。ただ膨大な時間と魔力が必要で、大きく遠回りをすることになっただけで。


 だが、それでも彼の歩みを遅延させることができればと、彼はその事実をその社員は私に伝え、あとを託された。


『あの男の好きにはさせるな』


 と。



 ――――――――――


 《現在》


『――で、今に至るわけですわ』


 誰に言うわけでもなく、ただ私は一人呟いた。


 あれからどれだけの時が流れただろうか。人が増え、国は発展し、魔法の技術も上がっているが、“あの人”は未だに見つからない。権限をフル行使しているにも関わらず、まるで架空の存在になっているかのように透明だ。


 ただこの世界のどこかで生きているのは確かだ。もし、彼がいなくなれば、彼が持っていた権限は私に行くように設定されているからだ。


 別に彼を殺したいわけではない。ただこの世界を正しく管理するために彼の権限を奪わなければならないからだ。


『うまく行かないものですね……』


 泣き言など言っているひまなどない。こうしている間にもゼウスは世界の破滅への一歩また一歩と進めているのだから。


 でも、本当に世界を救うには、その為には――

第551話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次は改稿優先しようと思うので、投稿が遅くなります(場合によっては早いかもしれない)。

すみませんが、宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ