第548話『無表情系美少女が誕生した理由』
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《ヒルドの回想》
むかしむかし、あるところにそれはそれは可愛すぎる一人の美少女がいました。誰もが彼女を愛し、恐れられる程の美貌と強さを兼ね備え、最強の称号を我が物にしていました。
ドヤ顔で日々を過ごしていたある日、一人の少女にこう言われました。
『ふとんがふっとんだ!』
衝撃でした。ふとんがふっとぶ事態なんてそうそうないのに、それをあえて言葉にする。それだけでその言葉の破壊力は増し、人々の笑いのツボを突いてきたのでした――と思っているのは彼女だけだろう。
『あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは――』
突然のウルトラおもしろギャグで豪快に笑いすぎて顎が外れ、表情筋にも痛みが走りました。
『痛い』
美少女は痛すぎて涙を流しました。
こんな痛い思いはもうしたくない。そう思った彼女はある決意をしました。
『もう笑わない』
よく考えたら、ふとんがふっとんだってすごくしょうもないし、実際そんな事が起きたら羽毛が飛び散って掃除が大変だし、一体何が面白いのか自分でもよく分からなくなってきました。
『むかつく』
ギャグを披露した少女に対してではなく、こんな底辺レベルのギャグで大笑いしてしまった自分に憤りを覚えたのです。
そして同時に涙を流しました。自分のふがいなさに呆れて涙を放出したのです。そして、その涙が口の中に入ると、
『涙まっず!?』
あまりの不味さに舌に不快感が広がり、悶絶しました。彼女にとって涙の味はドリンクバー全種類混ぜたゲテモノジュースレベルという相当不味い部類に入るようです。
美少女は、すぐにティッシュで涙を拭いました。
『くそまずい。もう嫌だ』
もう泣かない。何があっても泣いてやるものかと決意しました。玉ねぎを切る時など例外はあるかもしれないが。
『表情筋痛い』
もう怒らない。何があっても怒ってやるものかと決意しました。この話を聞いて尚寒いギャグで笑わせようとする愚か者が現れた時などの例外はあるかもしれないが。
『もう感情出すのやめる』
こうして美少女はクール系美少女に進化したのでした!
以上。
《そして現在》
みんなでカフェでゆったり過ごしながら、そんな昔話(若干、誇張表現あり)に花を咲かせたのだった。
しかし、それを聞いていたのはみんなではなく、ウンディーネ、ヘラクレス、ルカ・ヴァルキリーのみだ。
人数が多い為、二つのテーブルに別れている。もう一つのテーブルには、ダスト、橋本ルカ、パーシヴァル、バレスの4人が囲んでいる。
『――というわけなんだ〜』
『うん、なんというか……大変だったね……』
話を聞いていたウンディーネは、リアクションがうまく引き出せず、無難な感想に落ち着いた。
『本当に大変だったよ〜。それ以降も色んな人が私の事情も知らずにギャグ披露する時があるから、笑いを堪えるのが大変だったよ……悪気はないから責められないし、厄介だよ〜』
『ヒルドにそんな過去があったとはな……思ってたのとはだいぶ違ったが……』
『そういうヘラクレス君は何か語りたい過去とかある?』
『俺か? 俺はこれといって特に語ることはないかな』
『え〜何かあるでしょ〜』
『うーん強いていうなら、俺の親父がめちゃくちゃ強かったけど、俺が物心つく前からいなくなったことくらいか?』
『めっちゃ気になる話じゃん〜!』
『いやでもこれ以上話せることはないぞ。マジで親父の事は知らないからな。というかヒルドにはこの話したことあるから覚えてるだろ』
『そうだっけ〜?』
『おいおい……』
『追々話してくれるってこと〜?』
『そのおいおいじゃねえ。呆れてる方のおいおいだよ!』
『じゃあ、好きな食べ物は?』
『いきなり何の話だ!?』
『最近、私のスカートの中を見ようとしている人が増えたんだよね〜』
『分からん分からん! 話の脈絡がおかしい!』
ヒルドとヘラクレスのコントが始まると、空気が読めないウンディーネが割り込んだ。
『私よくヒルドちゃんのパンツ覗いてるよ〜』
『その話を広げるな! それで犯人お前かよ!』
『今日も白だったよね?』
『男がいる中で言うな!』
『今日は水色だよ〜』
『答え合わせはいいんだよ!!!』
『あ』
ヒルドはつい滑らせた口を両手で覆った。
『全く……もっと気をつけろよ』
『ごめんごめん、今日は白だったよ〜。ほら』
机の下でこっそりウンディーネだけに見えるように角度を調整しながら、スカートをめくって答え合わせをした。
『見せるな!!!!!!』
『え〜だって白だったんだもん〜』
『だもんじゃねえ! 何で男の俺の前で下着の色の話すんだよ!』
『う〜ん、ヘラクレス君なら変なことしないし大丈夫かなって』
『いやいやいや、俺だって男だぞ……』
『変態のダスト君とは違って、ヘラクレス君は女性の扱いは弁えてるし、何より鉄の心を持ってるし、信じてるよ私は』
変態のダスト君の部分が隣のテーブルの本人の耳に入ったのか『変態とは何だ』とツッコんでいたが、気にせず話を進めた。
『そ、そうか……信頼してくれるのは素直に嬉しい。でもあんまりそういう話はするなよ。俺だって男だし、意識するからよ』
『そ、そっか……そうだよね……ごめんね』
『わ、分かればいい!』
『今度から無言でパンツを見せるからね。あとでヘラクレス君のパンツも見せて』
『なんでそうなる!?』
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