第545話『希望の6人』
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第545話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
ベッドの中には例のごとくヒルドさんが潜り込んでいた。美女が同じベッドにいるという最高のシチュエーションなのに、飽きてきた自分がいる。もうデジャヴってレベルじゃねえぞ!
で、やっぱりさっき話してた話の内容が途中から思い出せない。確か最後にノルン様の秘密の話をしていたような気がするが、全く記憶が浮かび上がってこない。
どうやら、この話を聞くことがループをしてしまう原因らしい。まあループといっても時計の針はちゃんと進んでるがな。現に今はそろそろフクロウも鳴き始める時間になっちまってるし。
全く……一体何の話をしてたのか知らんけど、早く話を進めてほしいものだ。
『ダスト君、ごめんね〜。私がノルン様のパ……変な話しちゃったから〜』
ヒルドさんは、さすがに申し訳ないと思ったのか、わざわざ硬い床の上で正座をしてから丁寧に謝罪した。無表情ながらビー玉のような涙をポロポロと落としている。
『いや、そんなに丁寧に謝られても……俺はそれほどの事をされたんですか?』
『うん……そうだね……あはは……』
万年無表情のヒルドさんが、涙を引っ込めて、珍しく汗をかいている。大抵の事はあまり驚かない彼女が引くほどなのだから、よほどの事が……思い出さないでおこう。
『そ、それより話の続きをしていいかな〜?』
これ以上の深堀りをしてほしくないのか、話題を切り替えた。
『は、はい』
俺はヒルドさんからの真面目な話に耳を傾けた。
『まずは何でダスト君とルカちゃん達を別の世界線に送ったかっていう話をするね』
『ああ、その話なら精霊界で聞きました。ゼウスが現界してきたらしいですね』
ヒルドさんはコクンと頷いた。
『そう、ゼウスはここに来てからこの世の人類全てをスキャンしたの。スキャンされるとその人間の戦闘能力を全て把握されるの』
つまり、戦術や切り札はもちろん、今後行うであろう作戦のパターンすら筒抜けってことか。そうなると、当たり前のように対策されながら戦うしかなくなるってことか。もはや負け確同然の無理ゲーじゃねえか。
『なるほど、だから俺とルカちゃんとカヴァちゃんを別の世界線に送ったと。でも3人だけで良かったんですか? 戦力把握されちゃうならもっと多くの戦力を別世界に送るべきだったのでは?』
『えっとね、まず別の世界に送られたのは3人の他にファースト・ドライヴと師匠の2人も別世界に行ってたんだよ〜。ダスト君とは違う世界線だけどね』
あの2人もゼウスのスキャンとやらを逃れてたのか。
『合計5人が別世界に行ってたってことか』
『そうそう5人……いや正確にはカレンちゃんも実はルカちゃんの影に隠れてたから6人かな〜』
『カレンちゃんもいたの!?』
全然気づかなかった……まあ影に隠れられたら分かるわけがないか。
『うん、いたよ〜。ルカちゃんも宇宙人? との戦闘でカレンちゃんの補助があって助けられたって話してたよ〜』
俺がブリュンヒルデと戦っていた時かな。確かルカちゃんとカヴァちゃんも他の宇宙人と戦ってたらしいから、その時か。
『でね〜、もっと多くの戦力を送るべきかって質問の答えはね〜、ゼウスがノルン様の未来予測を通り抜けて、急に現れたからだよ。それで全員を別の世界に送る余裕がなくて、優先順位が高い人から別世界へ送ったんだ〜』
それでとっさに選ばれたのが、ルカちゃん、カヴァちゃん、カレンちゃん、ファースト・ドライヴ、セカンド・ドライヴ、そして俺の6人。
『でも、何でこの6人なんですか? 何か意図があるんですか?』
そう質問するが、1つだけ共通点がある事に気づいている。それは――
『全員、異世界から来た6人だからかな。ゼウスにとって異世界人はイレギュラー。この世の概念だけでは理解できないものがあるの。それがゼウス打倒の鍵になる』
『だから俺たちが今スキャンされるとまずいってことですね』
『うん、でもダスト君やルカちゃん達だけは、スキャンを免れたのは幸いだったよ〜』
『でも逆にはヒルドさんは……』
『そうだね……私はもうゼウスに勝てない。元々勝ち目があるなんて思ってないけど、これで完全に勝機は失ったってことかな〜』
ゼウスに知られる事で全てを把握される。こちらの戦力の7割は、最終決戦に立てない。
現状スキャンされてないルカちゃん、カヴァちゃん、カレンちゃん、ファースト・ドライヴ、セカンド・ドライヴ、そして俺が残された希望ってことだ。
『でも、スキャンされたからって何もできないわけじゃない。ゼウスの軍隊を退けるくらいはできる』
『え、でもスキャンされたら意味がないんじゃ……?』
『スキャンはあくまでゼウスの能力。他の神や軍隊には共有できない』
『つまり、スキャンされてもゼウス以外となら戦えるってことですか?』
『そうだよ〜』
そうか。それならまだ戦力の7割が無効化されてわけじゃないのか。スキャンされてもゼウス以外と戦えば関係ない。
『じゃあまだそんなに悲観する必要はない……か』
『うん、まだまだこれからだよ! それにゼウスだけじゃない。プロメテウスやウラノスといった非常に強い神もいる。私も負けないように強くなる。だからダスト君も……頑張ろうね』
『はい!』
“ダストの記憶”がほとんど解放したとはいえ、まだまだ不完全だ。俺が完全に全ての魔法を使いこなすまでは修行を続けるつもりだ。
あの真相を知った時、俺は虚無に陥った。だが今は違う。もちろんまだ気持ちが切り替わったわけじゃないが、今やるべきことだけははっきりしている。
それは――
“あいつ”に会うことだ。
第545話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
皆様にお知らせです。
以前から言っていたように、話のキリが良くなってきたので、次回から更新頻度を落として、改稿作業や設定資料を書いていきたいと思います。
とはいえ、なるべく早い更新をしていきたいと思います。次回からはそれぞれの日常編を考えております。
何卒宜しくお願い致します。




