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第541話『戦いの後』

お待たせしました。

第541話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 かくして、宇宙侵略者の総大将であるブリュンヒルデは、異世界の勇者ダストによって倒された。


 これにより、侵略者側は完全降伏を選択せざるを得なくなった。


 宇宙人の総勢約十万の内、約九万九千は死亡、残りの千の内、二百は自らの意思で自害。その他八百は降伏のち収監となった。


 精霊の戦士の総勢約六百の内、死者はなんとゼロ。ただし重傷者は五百九十と、ほとんどが死の淵に立たされている状態だ。


 軽症で済んだオベイロン、クラウディア等は遠くの地方の精霊を呼び、街の復興の力となった。


 そして、異世界の戦士ダスト、シャイ、橋本ルカ、ルカ・ヴァルキリーの四人、軽傷。


 ただ、その中でダストだけは、戦いが終わった直後、勇者ダストがダストと意識を入れ替える為に一旦は意識を失ったのだが、本体であるダストは何故か意識が浮上しなかった。


 そのまま倒れてしまったダストは、後から加勢にやってきたクラウディアによって介抱された。その後、なかなか目が覚めない俺を病室のベッドの上に運んでくれた。


 シャイは、クラウディアと出会う際、自分の身分を明かし、様々な者と交流し、ダストが帰るまではこの世界で過ごすこととなった。


 それから7日後。


 ようやく目が覚めたダスト。人格は本来の方に戻っている。


『一体何回目の知らない天井だろうか。いい加減この展開は飽きたっつってんだろうが』


 呆れたように彼は呟く。


 この病室に彼以外はいない。極めて静寂な場ではあるが、開いてる窓から人の声が聞こえる。それだけで孤独感は薄れていった。


『……俺、もしかしてめっちゃ寝てたのか?』


 彼の腹時計によると、もう7周も針を回したと言っている。つまり、感覚的には7日ほど眠っていた事になる。どれくらい正確なのかは定かではないが、それだけ眠っていたというのは事実だ。


『ノルン様からここに滞在するように言われた日数は3日。仮に7日経ったってことは……もう帰れるのか』


 《ただのダスト視点》


 この世界の居心地が悪かったわけじゃない。むしろ宇宙人の件を除けば、快適そのものだった。何なら暮らしてもいいくらいだ。


 でも、帰らなきゃ。自分の使命を全うせずに終わるわけにはいかない。


 それに、“ダストの記憶”の権化である勇者ダストは本体(おれ)に吸収されて消えてしまったからな。もう二度と出てくる事はないだろう。とは言ってたが、やろうと思えばできそうな気もする。機会があったらやってみよう。礼もろくに言えなかったし。


 俺自身も勇者ダストの活躍ぶりはこの頭にしっかり刻まれた。圧倒的な力で宇宙最強であるブリュンヒルデ・ワルキューレを倒した。


 要するに多少余力が残っていた上でフ◯ーザをやっつけたようなものだ。宇宙初となる快挙を成し遂げたのだ。


 しかし、俺はその力を完全に俺の物にはできない。たとえ俺自身だとしても、勇者ダストのようにいつでも力を引き出せなければ、あくまで借りているだけという状態でしかない。


 だが、勇者ダストが俺に吸収されたということは、今の俺はいつでも勇者ダストの力を使えるのでは……?


『いや、楽観視はよくない。やれることをやろう』


 ベッドから降りようとすると、ガラガラと扉が開いた。そこには――


『クラウディアさん!』


 彼女は目が覚めた俺を見て、少し驚いた後、笑顔で、


『目が覚めたんですね!』


『はい。ご心配をおかけしました』


『いえいえ、とんでもない。ダスト様は侵略者のボスを見事討伐して下さいました。王が不在の中、大変恐縮ですが、代わりに私がお礼申し上げます。この度は私の……私達の国を救って下さり、本当にありがとうございました』


 クラウディアさんは丁寧に頭を下げて、俺は心からの感謝を受け取った。


『頭を上げて下さい。俺一人じゃせいぜい中ボスを倒せた程度ですし……』


 ブリュンヒルデ・ワルキューレに勝ったのは勇者ダストだ。俺自身ではない。


『そうなのですか? 現場にいたシャイさんによると、ブリュンヒルデを倒したのは貴方だと伺っておりますが』


 シャイは、ここでクラウディアさんと面識したようだな。シャイの話も聞きたいが、それはあとにしよう。


『いやそれで合ってます……合ってはいるんですが……』


『?』


 首を傾げるクラウディアさん。彼女からすれば俺の言うことは、“俺は鬼を倒したけど、倒したとは言ってない”と口にしたようなものだ。俺の今の言葉はもはや矛盾でしかない。


『いえ、何でもないです。先ほどの言葉は撤回させて下さい』


 全部説明しても理解できないし、というか神様やノルン様とは無関係の人に話すわけにもいかない。何せ世界の根幹を突くような話だからな。


『は、はあ、よく分かりませんが、分かりました』


 俺の発言で混乱させてしまったようで申し訳ない。


 クラウディアさんは、何かを察するように表情と共に話題を変えた。


『それにしても、ダスト様がどのように戦うのか見てみたかったですね~。私が来た頃にはもう決着がついていたので、その時に私の力もお見せしたかったですが……』


 表情は明るいが、残念そうに話すクラウディアさん。


 彼女も戦闘員らしいが、重症者が圧倒的に多い中で彼女は軽症だった。相手側との戦力差が桁違いなのに、それで済んでいるという事実だけで、かなりの実力者であることが伺える。


 俺としても一度クラウディアさんの力を見てみたかったが、もう帰らなきゃだし、また今度の機会になるかな。


『また会いに行きますよ。その時に俺の力を見せますよ』


『そうですか! その時は是非お願い致します!』


 冷めきったはずの感情だったが、また彼女に会って、俺の力を見せたい。そう思ってしまった。


 やりたい事がまた増えた。それは少し面倒かもしれないけど、今後生きるための原動力でもある。こうした人との出会いが自分に力を与えてくれる。


 人生分からないものだな。


 波乱万丈すぎた俺の人生に、また花が咲いてしまったのだから。

第541話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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