第530話『今更だけど宇宙空間移動できるってすごくね?』
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グランドベース号の船員はほぼ全滅した。というよりさせてやった。ざまあみろ。
俺達は操縦席に移動し、そこで残ってる宇宙人を脅して、急いで精霊の星に向かわせた。
その頃には既に沢山の軍勢が精霊の星に降り立とうとしている。
『急げ!』
『は、はぃぃ!!!』
すっかり怯えてしまった宇宙人パイロットは俺の指示通りに艦を急がせた。
すると、
『こちら、ブラックベース号。グランドベース号応答せよ』
他の艦からの無線が飛んできた。こういうのよくアニメで見てたな……。
もちろん、こちらの状況はあちらには知らせない。
俺は宇宙人パイロットに分かってるなと鋭い視線を送る。
宇宙人パイロットは怯え、指示した通りに虚偽の情報を送らせた。
『こちらグランドベース号。状況は問題なし。繰り返す、状況は問題なし。どうぞ』
『こちらブラックベース号。状況は把握した』
『……ん?』
無線は切れた。
こういうあまり知識がないから分からないけど、別艦との無線のやり取りってこんな感じだっけ?
まあ、他の宇宙人の戦艦のルールなんて分からないし、考えすぎか……?
『お前、まさかだとは思うけど、こっそり救援してないだろうな?』
俺は刃物を宇宙人パイロットに向ける。
『ひ、ひぃぃぃ!!! ち、違いますよ!!!』
『本当か?』
俺は確かめる為、真意魔法を使った。
結果は黒。つまり、嘘をついている。
『この野郎!』
『ひ、ひぃぃ!』
俺は本気で突き刺すつもりで刃物を振りかざしたが、動揺したせいか、狙いを外してしまった。
もう一度刃物を向けようとしたが、今は脱出が優先だ。俺は刃物を懐にしまった。
『くそっ! ハメられた!』
『どういうことだ?』
『どうやら、さっきの無線のやり取りに救援の隠しメッセージがあったらしい!』
『なんだと!?』
『どれが隠しメッセージかは分からないがな』
シャイはギャグのようにずっこけた。
『分からないのかい!』
『ああ、だがこいつが嘘をついてるのは分かっている』
『……うむ、そうか。ならば急いでここから離れた方が良さそうだな』
『ああ』
本当は魔力をあまり使いたくないから、このまま精霊の星に向かいたかったが、やむを得ない。
俺とシャイは、急いで支度をしてから、窓を破り、宇宙空間へ飛び出した。
それからグランドベース号に救援の為か、2艦ほど集まっていたが、そこに俺達は既にいないから無意味だ。
だが、逆に俺達に襲いかかる戦艦もいる。俺達を標的に捉えるとすぐにミサイルとビームが一斉に放射された。
『おいおい、それは人間じゃなくて同じロボット同士でやり合うもんだろうがよ!!!』
俺は、ミサイルとビームがこちらに被弾する前に防壁魔法を展開し、こちらも反撃として光魔法を放ち、戦艦を墜落させた。
『よし、この調子でどんどん落としていくぞ!』
『貴様の光魔法、凄まじい威力だな……』
シャイは驚愕の表情を浮かべた。というか、ちょっと引いてるっぽい。
『おいおい引かないでくれよ。自分でも想定外の威力で困惑してるんだよ』
『ほう、つまり思ったよりも強くなりすぎたということか?』
シャイは比較的都合のよい方に解釈してくれた。
『まあな』
“ダストの記憶”がほぼ全解放したからな。それに伴って、魔法の威力も上がるようになっている。
まあ、ダークの話を聞いた後だと、だから何だって話だけどな。
『む、新たな戦艦が近づいきたぞ!』
精霊の星の上でたむろっていた10の戦艦の内、5艦がこちらに向かってきている。砲口は完全に俺達を捉えている。当たり前だが、敵意マシマシだ。
『今にも撃ってきそうだな』
一斉にエネルギーを溜め始めた。このままだと俺達に向けて一斉砲撃してくる。
『これはマズイわね……』
唐突に口調を変えるシャイ。突然知らん奴が現れたのかと思ったわ。
『なあ、シャイ』
『なに?』
『何でこんな中途半端なタイミングで口調が変わってるんだ?』
以前、ノルン様主催の大会で彼女と出くわした時、何で口調が変わってるか聞いたことがある。その時の回答が“気合いを入れるため”だった。しかし、先ほどの宇宙人と戦った時は口調が変わらず、何故か今になって変えてきた。
もしや本当は気合いを入れるためではなく、別に理由があるのでは?
『それ今言わないとダメ!?』
確かに今は攻撃されてる最中だ。話してる場合じゃないことは分かってる。それでも気になってしまったのでついそう質問をしてしまった。
『別にそういうわけじゃないが』
『あなたねえ! ……やっぱりあなた変よ』
『そうか?』
『ええ、今のあなた空気が読めてないというか、何か緊張感がなさ過ぎるのよ。以前はそんな感じには見えなかったのに、何があったの?』
言われてみれば、確かにそうだ。以前の俺ならケールさんの指摘以降、常に心に油断大敵を掲げて戦ってきた。
決してケールさんの言う事を無視したいわけじゃない。だが、今はどうしてもそう思えなくなった。というかわざわざ思う必要がない。
はぁ……やっぱ知らない方がいい真実もあるんだな。そのせいで俺の中の緊張感はいかなる場面だろうと全然湧き上がってこない。
『……そうだな。確かに俺は集中力を欠いていた』
『強くなりすぎたから、慢心してるってこと?』
確かにそれもある。星の数ほど襲ってくるミサイルだろうと、星一つ壊せるほどのビームが来ようと、全部魔法でどうにでもなる。
いくつもの艦隊に囲まれた、たかだか二人の人間。一見絶望的に見えるが、今の俺なら全く話が違う。
今俺が考えているのは、どうやってこのピンチを乗り切れるかではなく、如何にすれば効率的に全艦隊を沈められるかだ。
しかも、それが最善で出来たとしても――
『それだけだったらどんなに良いことか……』
『?』
『いや、いい。すまない戦闘に集中する』
シャイには、いや他のみんなにはとても聞かせられない。というか理解ができないし、一回受け入れたとしても信じたくないだろう。
『そう、分かった。あなたを信じるわ』
『ごめんな』
『そこはありがとうと言ってほしいわね』
『ありがとう』
互いに頷き合い、それぞれ戦闘態勢に入り直す。
シャイは大会で見せたあの天使の姿に変身し、天秤から光の波状攻撃を展開した。
俺は防壁を張りつつ、最も攻撃速度が高い光魔法で戦艦を次々と撃ち落とした。
――だが、既に5艦は精霊の星に降りてしまった。
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