第524話『こんな美人メイドがいるなんて羨ましい!』
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――それは22時間前のこと。
この国の王であるオベイロンは、執務室にて、仕事に追われていた。
何事も真面目に取り組む彼ではあるが、解放されたいと思うことも珍しくはない。だが、そんな弱音は放出されることなく彼の心の中に留まっている。
全ては国民の為、平和を維持する為にやれることは早いうちからやっておく。それがオベイロンだ。
そんな日常を過ごしていたある日、1本の通信が入った。それはこの世界ではない別の世界線、ダストやルカがいる世界からやってきた。
送り主の名はノルン。その世界の女神だ。どうやら1つ頼み事があるらしく、オベイロンに相談してきたようだ。
その依頼の内容が、“3日ほどそっちで、ダスト、橋本ルカ、ルカ・ヴァルキリーを預かってほしい”という。
その理由を聞くと、ゼウスが現界してるからと言われた。どうやらゼウスは現在その世界の万物全てをスキャンしているようで、そこにダスト、橋本ルカ、ルカ・ヴァルキリーがいると都合が悪いようだ。
そちらの世界には大変な迷惑をかけた側なのもあるが、オベイロンにとって、その程度の依頼ならば特に断る理由はない。3日どころか月、年単位だって預かれるだけの経済的余裕がある。
快く依頼を承ったところで、彼の執務室に突然の来客が現れた。彼の立場上、事前にアポを取らないと面会できない。にも関わらず、いきなり対面してきたばかりか、誰の許可もなく、よりにもよって王の執務室に不法侵入するという不敬。本来ならば拘束して、追い返すのが普通の対応であるが、そうも言っていられない状況だ。なぜなら――
『眠ってるのか……?』
3人揃って意識を失ったまま、床の上で無造作に転がっている。
『どうやら、思ったよりも深刻な状況らしいな……』
その後、オベイロンはメイドのクラウディアに事情を説明し、共に3人をそれぞれの寝室まで運んだ。
あとは各々目が覚めたら、事情を説明するだけ。
ダストにはクラウディア。橋本ルカとルカ・ヴァルキリーには、他に1人ずつのメイドがつくことに。
それから5時間ほど経つと、橋本ルカが意識を取り戻し、それに連鎖するように1分後にルカ・ヴァルキリーも目を覚ました。
もう1人のメイドに説明されると、2人は不安な顔をしていた。無理もない。2人にとってこの世界は苦しみしかなかった。両親に虐げられるだけの日々。意思を持つ人形によって、他の世界線に逃げてきて、自分を大切にしてくれる人達に出会ったものの、トラウマは簡単には消えやしないだろう。
なので、2人はこのオベイロンの家の中で過ごすこととなった。幸い設備は色々あるので、退屈はしないだろう。
それから17時間後――
『で、俺が目覚めたってわけ』
どこぞの赤ん坊と同じような表情・構図で彼は言った。
『はい、そうですが、なんですかそのポーズ?』
『イヤナンデモナイワスレテホシイデス』
ダストは恥ずかしそうに姿勢を戻した。
『しょ、承知致しました』
クラウディアは戸惑いつつ、ダストの精一杯の一発ネタを水に流した。
『それにしても……ゼウスが……やはりそうか……』
ダストは何か思うところがあるのか、会話中にも関わらず1人の世界に入ってしまった。
『あの、ダスト様?』
『は、はい』
『大丈夫ですか?』
『あ、はい大丈夫です。ちょっと考え込んでただけです』
『あ〜これだけの情報量ですからね、考えちゃいますよね』
客人に同調するように会話するクラウディア。美人に同調してもらうだけでも快感が生まれるものだが、今のダストに関してはそうではなかった。
彼は“とある重大な情報”を知っている。それを知る上では、彼女の言葉は社交辞令どころではなく、空虚そのものと捉えてしまっている。故に彼から生まれるのは快楽ではなく、虚無感である。
(やはり、虚しい……)
しかし、彼はその感情を表には出さなかった。彼女にはそのような意図はないこと、そもそも彼女が悪いわけではないこと。故に彼はこの感情を自分の心に押し留めておくのだった。
『うん、よく分かりました。あの、少し外に出てもいいですか?』
『散歩ですね! はい、もちろん大丈夫ですが、ルカさん達には会わなくていいのですか?』
『もちろん会いに行きます。でも今すぐじゃなくていい』
『そうですか。分かりました。ではダスト様の外出の準備をしましょうか♪』
ダストは外出を許可されたので、遠慮なく外の空気を吸いに行くことに。
ただし、クラウディアが側付きとなるようだが。
『あぁ、オベイロンからの指示ですか?』
察しの良い彼はそう推理してみせた。
『お察しの通りです!』
何がそんなに嬉しいのか、歓喜の表情を出している。
どうやら、オベイロンの客人になると、もれなくボディーガードが付いてくるようだ。今のダストくらいの強さなら正直いなくてもいいくらいだが、彼の下心がそう思わせない。
(なんかデートみたいだな……)
違う世界線の彼女に申し訳ないと思いつつも、2人だけの時間を楽しむことにしたダストであった。
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