第519話『対盗賊団のその後』
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■■■との決着が着いたところで、幻覚状態に陥っている仲間達を正気に戻した。状況を説明すると、ルシウスは『あっさり幻覚魔法にかかってしまった自分が許せない』と、悔恨の表情を浮かべた。
他のメンバーも同じような表情をしていたが、シルバーちゃんは涙を流していた。『結局ブロンズちゃんを守れなかった』と。そんな彼女にブロンズちゃんは寄り添っていたけれど、立ち直るにはまだまだ時間がかかりそうだ。
それから少し時間を要して、ロンドディウム王国の騎士団と警察組織がぞろぞろとやってきて、盗賊団のボス及び組員を全て捕らえた。
■■■は逮捕された後も、憂いをおびた表情を変えることはなかった。愛しの“あの人”がいない世界は彼女にとって、さぞかしつまらないのだろう。大好物の絶望顔を見せても尚、満たされないのだから、心の穴はよほど大きいのだろう。
だが、同情してはいけない。あの女はそれ以上の事を多くの人に強いてきた。ならば情け容赦はいらない。とことん苦しい罰を受けさせるまでだ。ルシウスや警察組織もそのつもりだろう。
そのルシウスは、盗賊団を排除したという大きな功績を収めたとはいえ、王国を抜け出した事で仕事を後回しにしたツケもあり、早急に王の務めに戻らなくてはいけなくなった。もっとルシウスと話したかったけど、そんな暇も無さそうだ。
『じゃあなお前達、元気でな』
そう言い残し、大慌てで王国のク・ルーマに乗ろうとしたら足元を引っ掛けてしまい、盛大に転倒してしまう。
『ルシウス様!?』
騎士が二人がかりで王を介抱しようとするが、ルシウスは笑いながら自力で起き上がった。
『ははは、盛大に転けてしまったwww』
『もう……ご自身の立場もあるんですから、もっと気を付けて下さい』
『すまないすまないw』
ルシウスはク・ルーマの扉に手を付けると、
『ダスト、ルカ、カヴァ』
違う世界線組の3人を呼ぶ。
『いつでも遊びに来いよ。今度は手厚く歓迎してやるからな!』
『ああ!』
ルシウスはグッと指を上に立て、ク・ルーマに乗って行ってしまった。
遊びに、か……行けたらいいな。
『……ん?』
ルシウスが転けた所に何か落ちていた。
『これって――』
手のひらに収めようとしたその刹那、強い突風が吹き荒れた。
『うおっ!?』
あまりにも強い力で俺は押し出され、尻もちをついてしまった。
『きゃっ!』
スカート組(俺と魔王以外全員)は下着が顕にならないように必死にスカートを押えたが、半数以上は抵抗虚しく下着が見える状態となってしまった。
『きゃああっ!!!』
『お兄ちゃんはこっち向かないで!』
男は見るなと言うが、突風が身体の自由を奪っているせいで正直それどころではない。尻もちをついた状態でさらに後転しそうだ……。
それから少しすると、突風はピタリと止んだ。正確に言うと、快速電車が通過するように視界の果てへ消え去った。
『治まったか……』
『強い風だったね……』
『まさかお兄ちゃん、私のパンツを見たいが為に風魔法を使ったんじゃないでしょうね……?』
ブロンズ様は怒っているわけでもなく、ニヤニヤと笑いながらそう言った。
『そんなわけないでしょ……』
全く……いつまでパンツネタを擦り続けるつもりだ。いい加減俺が美少女のパンツ好きの変態じゃないってことを覚えていてほしいんだが……。
言うまでもなくさっきの風は俺の仕業じゃないし、あの突風自体に魔力を感じなかった。つまり、ただの風でしかないのだ。
『というか、ブロンズちゃんなら俺の心を読めるから尋問するまでもないでしょ』
『ふふふ』
ニコニコと笑うブロンズ様。可愛いけど……可愛いけど……。
全員、乱れに乱れた格好になったが、すぐに立て直し、突風が来る前の状態に戻した。
さっき落ちてた物も、さっきの突風でどこかに行ってしまったかな。見渡してもそれらしい物は見当たらなかった。
『まあいいか。みんな行こう』
『ラピスさんとラズリさんのところ?』
『うん、俺達を元の世界に戻してくれる約束だから。いつまでもこの身体を借り続けるわけにはいかないからね』
元々この身体は、この世界線の俺のものだ。同一人物とはいえ、違う世界線の俺のものではない。
『あれ? じゃあルカちゃんとカヴァちゃんはどうやって来たの?』
この世界線にルカちゃんとカヴァちゃんがいれば俺と同じように憑依すればいいが、そうじゃないなら、どうやって?
『えっとね、私達の場合は憑依じゃなくて、そのまま飛ばされたんだ。ラピスさんが言ってた』
なるほど、普通に転移されたってわけか。
『そっか。じゃあもしかしたら俺達は帰り方がバラバラになるかもね』
専門家じゃないから分からないけど、転移方法が異なるなら、帰還準備もタイミングもズレる可能性は大いにあるだろう。
『ええー! ディーンさんと一緒に帰れないの!?』
ルカちゃんは涙目で不満を述べた。
『あくまで可能性の話ね』
『そっか……一緒に帰れるといいね……』
『そうだね』
この時、この会話の外にいるブロンズ様は悲しそうな顔をしていた。なぜそんな顔をするのだろうか。分からない……というのは嘘だな。本当は分かっている。
心が読める君なら分かるよね?
俺は、俺達は帰らないといけないんだ。
ごめんだけど、この世界線の俺と仲良くしてくれ。
ブロンズ様の表情は未だ曇ったままだが、しぶしぶ頷いてはくれた。本人も分かってはいるんだろうが、どうしても寂しいという気持ちが溢れているんだろう。
でも、俺達は行かなければならない。己の快楽を叶える為に、決着を着ける為に。
『行こうか』
俺達はラピスとラズリのいる水の国の研究所へ向かった。
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