第517話『VS盗賊団⑩』
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『あなたは、お姉ちゃん……なの?』
あまりにも、絵に書いたような綺麗な姿。実の姉だろうと、思わず懐疑的になってしまうのも無理はないだろう。
『ああ、アタシだ』
冷静な態度で自分は自分と言い切るが、普段の声のトーンやテンションを比較すると、まるで別人である。
『え……でも』
『シルバー姉、彼女は確かにゴールド姉よ。心を読んだから確かよ』
ブロンズは心を読む魔法で彼女がゴールド本人であることを確認した。
『でも、もう一人いるんじゃないかしら?』
ゴールドの心ともう一人分の心があると、推理するブロンズ。
『……』
否定もせず黙するゴールド。心が読める相手がいる以上、隠す意味もなく、わざわざ返事をするまでもない。
『……何者なの?』
『……アタシにも分からねえ。でも、悪い奴じゃねえのは確かだ』
ゴールドの口から、もう一人の存在を語る。
『……そうね。確かにそう』
もう一人の心を読んだブロンズは、これ以上何も追求しなかった。
『今は目の前の事に集中しよう。ブロンズは引き続き術者の捜索、シルバーはブロンズを守れ』
『で、でも……さっき私……守りきれなかった……』
シルバーは自分の力だけでは、あの改造人間一人すら撃退できないと嘆いている。故に自分一人がボディーガードを受け持つことなど不可能だと言う。
『その時はアタシがカバーするし、それに見ろ、今ブロンズに傷がついてるか?』
『それは……!』
ブロンズの柔肌には異色なるものは存在しない。戦場にいるとは思えないほど健康な肌色だ。完璧に守られている証拠だ。
『だろ? 自信を持て、お前は強い』
ゴールドはいつもの優しい表情で、シルバーの肩に手を置いた。
『お姉ちゃん……ありがとう。私頑張る!』
『おう、頼んだぞ』
ゴールドは笑顔でそう言って、いつの間にかこちらの不意をつく改造人間を一撃で倒し、踵を返しての、そのまま改造人間の群れに突っ込んだ。
『ブロンズちゃん、行こう』
『うん!』
シルバーとブロンズは、お姉ちゃんに言われた通り、ボスの捜索を再開したのであった。
一方でルカは、
『風の精霊よ、その力を以て私に風の力を与えたまえ』
剣に風を纏い、周囲を薙ぎ払うルカ。改造人間は成す術なく、風に翻弄され、最終的に残骸となる。
ルカ・ヴァルキリーは、
『氷の精霊よ、その力を以て私を氷の騎士へと変貌させたまえ』
呪文の通り、全身に氷の衣を纏わせる。それとプラスして氷の羽が4本生える。まるで氷の精霊のような幻想的な姿になる。
改造人間の魔の手がルカ・ヴァルキリーを襲うも、あっという間に周囲の脅威は氷の銅像と化した。
『ルカとカヴァ……やるな』
ルシウスは感心したように、彼女達に視線を配る。もちろん自分も戦闘中である事を忘れてはいない。
とはいえ、まだまだ改造人間の数は多い。正確な数は分からないが、このフロアの6割ほど足場が埋め尽くされている。
『多すぎるだろ! 最初来た時はこんなにいなかったはずだろうが!』
愚痴をこぼしながら、ハンマーを振り回すゴールド。
『ああ、少し妙だな』
ルシウスも同様の疑問を持っている。
最初、改造人間はそれぞれ筒状のガラスケース一つにつき一人しか入っていなかった。しかし、今はそのガラスケースの数を超えた数の改造人間が蔓延っている。明らかに何者かが輸入してきたと考えるのが自然だろう。
『誰かが改造人間を増やしてるということですか』
魔王も会話に参戦した。
『そういうことになるな』
『でも、心なしか後から来た奴の方が弱くなってる気がしますね』
『確かに、量産型だからどうしてもクオリティは落ちるからか』
『とはいえ、この数は……』
いくら量産型程度の強さといえど、数で物を言う戦場もある。ほぼ無限に増え続けるリソースを絶たなければ勝利は遠のくだろう。
『その改造人間の出所を探せば、敵が増えないってことだろう?』
ゴールドもハンマーを振り回しながら、会話に参加した。
『確かにそうだが……一体どこから……? ん?』
ルシウスは改造人間を倒しながら、改造人間の出現した位置に目を細める。
『なんだ、あれは?』
奥に黒くて大きな影が張り付いていた。パッと見て、ただの影のように見えるが、よく見るとその影が法則に基づいて、ゆらゆらと揺れている。
そこから、改造人間が次々と出現している。まるで異空間から来たように。
『なるほど、あれは闇魔法か』
闇魔法は闇という物質を使って、様々な細工を施すことができる。今回のように影となって改造人間を出すことも、逆に人を引きずり込むことも。
『相手は闇魔法の使い手か。厄介じゃのう……』
『やっと、その姿らしい言葉遣いを使ったなマーブル』
爺さんらしい口調だが、その中身はただの長生きのロリバb――
『そんなこと言ってる場合ですか!』
戦闘中にも関わらず呑気に雑談をするルシウスに魔王は呆れながらツッコミを入れる。
『いや、マーブルはどっちの姿が戦いやすいんだと思ってな』
『え? まあ別にどちらでもって感じですね。所詮変わってるのは姿だけなんで』
『姿だけ……まさか――』
ここでルシウスはある事に気づいた。しかし、そこに気づいた頃にはもう遅い。なぜなら彼らは既に――
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