第511話『再会とちょっとした修羅場』
お待たせしました。
第511話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※2024/02/28 矛盾があったので、文章を追加しました。
『ルカちゃん!? 何でここに!?』
ルカヴァちゃんも一緒だ。二人も俺と同じようにこの世界線に飛ばされてしまったのか。
ルカちゃんは感極まって涙目になり、俺に抱きついた。すると、隣りにいるブロンズ様から少しだけ殺意を感じた。
『ディーンさん、久しぶりーーー!!!』
久しぶり? 確かに俺からしたら時の停止時間も含めて3年は経っているが、そちらからしたら、まだ2日程度しか経っていないはずだ。ちょっと旅行行った程度の時間なのに、よほど俺に会いたかったのだろうか
『あのねあのね、ラピスさんとラズリさんから色々聞いたの! ディーンさんも時を止めてもらって修行してたんだよね! 村正さんの言う“決戦の地”ってなんだと思う!? この世界線だと車がク・ルーマになってて変だよね! あと、地方によっては料理の名前も変な感じらしいね! カレーがカレシダイスキなんておかしいね! あとねあとね――』
話したい事を怒涛の勢いで喋り続ける。会話がドッジボールになっているので、こちらから回答する間もなく質問を発射し続ける。そんなルカちゃんの目は純粋で綺麗で、まるで幼子だ。かわいい。
そこでブロンズ様がルカちゃんに、
『ねえ、あなた?』
『それでねそれでね――』
俺と話すことに夢中で聞く耳を持たないルカちゃん。それも相まって、ブロンズ様の怒りゲージはどんどん上がっていく。
『私の話を聞きなさいよ!!!』
ルカちゃんの肩を掴みながら、怒号を放つブロンズ様。しかし、ルカちゃんの方が圧倒的に力が強いため、全然振り向かせられられず、弾き飛ばされてしまった。
『大丈夫か、ブロンズ』
ゴールドちゃんに介抱されるブロンズ様。
『ええ……大丈夫よ……』
激しく尖った視線を俺に送ってきた。ルカちゃんに弾き飛ばされた事よりも、他の女にくっついている俺が気に食わないらしい。怖い。
当のルカちゃんはその事に全く気づかず、マシンガントークを続けていく。
『ちょ、ルカちゃん、一旦落ち着いて』
しかし、ルカちゃんはやはり聞く耳を持たない。マジで他の音が入ってこないんだな。
やべぇ、どうしよう。
というか、ここ敵陣なのにどいつもこいつも緊張感無さすぎじゃないですかーーーーー!?
『そうね、本当に緊張感無くて、たるみ過ぎだと思うわ』
俺の心を読んだブロンズ様が憎悪を込めた声でそう言った。怖い。
ブロンズ様は胸を押し付けるように俺の腕を組んだ。それもルカちゃんの視界に入るように。
すると、ルカちゃんは会話を止めて、ブロンズ様の方に視線をフォーカスした。
『お兄ちゃんは私のだから』
私のものに手を出すなと強く言い放つブロンズ様。その時の横顔がとってもイケメンだった。
『あれ、あなた……』
ルカちゃんはブロンズ様の顔をまじまじと見る。
『な、なによ?』
『もしかして、銅ちゃん?』
ルカちゃんは、ブロンズ様を銅ではないかと言う。確かにブロンズ様と白鳥銅は瓜二つだ。異なる点があるとすれば性格と生まれた時代くらいだ。
『はぁ? あかねって誰よ? 私な名前はブロンズよ――ってああ、そういうことね。残念だけど、私はその白鳥銅っていう超絶美少女本人ではないわ。すごく似てるようだけど』
ブロンズ様はルカちゃんの心を読んで、先回りの解説をしてくれた。
『え、そうなの?』
『ええ、そうよ。ちなみに後ろにいるのは、黄金ちゃんと銀河ちゃんじゃなくて、ゴールド姉とシルバー姉よ』
ゴールドちゃんは呑気な顔で、
『よお、よろしくな』
シルバーちゃんは少し緊張気味に、
『よ、よろしくお願いします』
二人の自己紹介が勝手に終わったところで、魔王とルシウスも軽く自己紹介をする。
ルカちゃんは驚いた顔で、
『え、え、何で私の考えてることが分かったの?』
口に出してないはずの言葉を何故か相手が喋っていたので、不思議に思うのは無理はないだろう。
『私、心を読む魔法が使えるから』
『えーーー!!! すごいーーー!!!』
ルカちゃんは目をキラキラと輝かせる。それを鬱陶しいと言いたげな顔をするブロンズ様。
『あ、でも、私のディーンさんへの気持ちは……その……言わないでほしいかな……』
頬を染めながら、両ひとさし指をツンツンとするルカちゃん。とっても可愛らしい仕草からキュンキュンしてしまったが、一体何を考えているのか、俺は知る由もない。
『分かってるわ。乙女の秘密を暴露するほど私は鬼畜じゃないわ』
髪の先を上にあげながらそう言った。
『うん、ありがとね』
『ふん』
しかし、どこか不満そうなブロンズ様であった。
ルカちゃんは改めて自己紹介を行った。
『初めまして! 私はルカです! ディーンさ……えっと、ダスト? さんと同じくこの世界線にやってきました! 隣のこの娘も同じです!』
ルカヴァちゃんにバトンタッチをする。
『は、はい。私はルカ・ヴァルキリーと言います……。隣のルカちゃんと同じ名前なので、クラスメートからは“カヴァ”ちゃんって呼ばれてます』
え、そうだったの? 別のクラスとはいえ全然知らなかったな。マーリン家ではそこそこ学校の話はするけど、何て呼ばれているかなんて聞いたことがなかった。
俺は心の中では“ルカヴァちゃん”と呼んでいるが、カヴァちゃんの方が親しみやすい感じがあるな。
『へぇ、お兄ちゃんはカヴァちゃんの事、そう呼んでたんだ?』
そんなどうでもいいこと声に出すな。
『お兄ちゃんって、ネーミングセンスがないのね』
さっきの当てつけかクスクスと微笑みながら俺を罵倒するブロンズ様。
ネーミングセンスについては聞かないでくれ。
次に、二人はこれまでの経緯を余すこと無く話してくれた。
どうやら、ルカちゃん達も俺と同じように訳も分からず、この世界線にやってきたようだ。
一体誰が、何のためにやったかは不明のままだ。
『事情は分かった。ダストの反応を見るに君たちは俺達の味方と考えていいんだな?』
『はい』
『分かった。今後とも宜しく頼む』
ルキウスは微笑みながら、ルカちゃんとルカヴァちゃんと握手した。この行為は仲間として迎えた証ととっていいだろう。
ルカちゃんとカヴァちゃんが仲間に加わった。
第511話を見て下さり、ありがとうございます。
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