第509話『VS盗賊団⑤』
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着地した先には、案の定、伏兵が魔法を大量にぶっ放しやがったが、防壁によって全てを防いだ。
それを見た伏兵部隊全員『は?』という顔をしていた。撃ち漏らすことはあっても、まさかのノーダメージで彼らの頭には立派なお花畑が咲きました。今回の奇襲作戦は自信があっただけに、よほどショックだったのでしょう。ごめんね。
そこからは反撃の時間だ。
まず特攻したのは脳筋のゴールドちゃん。全てを叩き潰すハンマーを振り回し、あっという間に伏兵部隊は壊滅した。みんな涙目だったな。ごめんね。
というか、この世界線のゴールドちゃん強くない? いや、元々強いのは分かってるけど、今目の前にいるゴールドちゃんは、なんか違う強さを持っている気がしてならない。
それに気になってたけど、光魔法も使ってた……まるでシャイのようにな。まあ、気にしても仕方ないが。――ん?
『もう終わりか? 奇襲にしてはなんかしょぼいな。まあ、ダストっちが防壁魔法? ってやつをかけてくれたおかげだが』
『そうだな。本来あれだけの魔法を撃ち込まれれば、俺達もただでは済まなかった。でも、確かに俺が見た限り奴ら一人一人の魔法の威力は低かったな』
ルシウスも何か思うところがあるのか、顎を触りながらそう分析した。
『単純に戦力がいないじゃないか?』
影が薄い魔王も会話に参加した。
確かに幹部はもう既に5人倒した。これ以上の戦力がいないと考えても辻褄が合うが、このままあっさり終わるとは思えない。
それは先ほど降下中に見た未来――
今回は一瞬だけな上に映像が不安定だったが、男幹部が連れてきたあの改造人間と同一の人形が謎の液体の中に入っていて、そいつらがこちらを睨みつけて――その中央にいた女が不敵な笑みで笑っていた。その女の名は――
『どうした? ダスト?』
ルシウスが俺の顔を覗いた。顔面が近い。まつ毛長っ。さすがルキウスの兄だな。男は好きじゃないけど顔がいい。俺が女だったら、きっとこのイケメンに惚れてたんだろうなぁ……。
『いや、その……な』
うーん、未来予知の内容を言うべきか。
今回の未来予知は不安定な映像。俺の中では史上初だが、“ダストの記憶”の中では何回かあった。そのケースがあった場合も的中率は100%だが、必ずしも近い未来とも限らない。まあもちろん数時間後という近い時間である可能性もあるが、数日や数ヶ月単位の未来だったこともあった。
つまり、今回の未来予知は時間不定の警告というわけだ。
『いや、実はな――』
俺は先ほど見た未来予知の内容を話した。
『なるほど、要するにさっきの改造人間の量産型が大量に俺達に押し寄せてくるってわけか』
『その女ってどんな人なの?』
急に存在感をアピールし始めた魔王はそう質問した。
『そいつはおそらくこの盗賊団のボスだ。それでいてマッドサイエンティストであり、人を人とも思わないイカれた女だ』
そして、俺はその女を知っている。
『なぜそこまで分かったんだ?』
『未来予知を見た時の感覚だが、なんとなくあの女には味方がいないような気がした。そして、最後の手段として予め用意していたあの改造人間を大量に放出したんじゃないかと』
実際には、改造人間の襲撃を受けた後、またしても俺以外のみんなが凄惨な姿になっていて、女は絶望した俺の顔を見て嗤っていた。それはワインを飲むように、娯楽を愉しむように、人の絶望を生きる糧にしているかのような様子だった。
あぁ、確かにあいつらしい。
『葬った……ということは、そうか全滅したのか』
『そうだ』
包み隠さずはっきりと返事をした。それはつまり、ルシウスや魔王という実力者がいても尚、覆らない戦力差があるということだ。
『分かった。ダスト、ありがとう』
ルシウスはそう言った後、一人で思考の奥深くへ潜ってしまった。
自分の実力不足を憂いているのか、他の作戦を考えているのか、それは本人のみぞ知る。
『ルシウス?』
『……』
返事がない。ただのしかばね……ではないが、相当考え込んでいるようだ。
『ルシウス様は負けず嫌いなんじゃ。でも、それでいて冷静な判断ができる御方じゃ。見守っていてほしい』
思い出したかのように老人語尾を使い始めた魔王は、優しい顔でルシウスの取説を口に出した。
少しの沈黙の後、ルシウスはこう言った。
『撤退しよう』
『え?』
『何で?』
まあ、理由は分かる。
『理由は簡単だ。戦力が足りない』
だろうな。未来予知のあの様子じゃあ、このまま突撃するのは危険すぎる。もちろんこの未来予知がすぐ先の事とは限らないが。
『戦力かぁ……じっれてえけど、仕方ねえか……!』
ゴールドちゃんは悔しそうにハンマー握る手に力を入れる。
ゴールドちゃんの性格なら、『いいから突入だ!』くらいは言いそうだったが、意外にも反論一つせず、なんとか聞き分けてくれた。いや、意外でもないか。だって今回は大事な妹を連れているわけだから、さすがのゴールドちゃんも慎重になっているんだろう。
しかし、このまま撤退するのももどかしい。どうにか戦力差が縮まる方法はないものか……。
すると、穴の上からゆっくりと誰かが降りてきた。
『何者だ!』
各々、武器を構えるが、俺だけは驚愕の表情を浮かべ、胸が熱くなった。
『君たちは……?』
『私達は皆さんの敵ではありません! 話はラピスさんとラズリさんに聞きました! 私達も手助けさせて頂きます!』
突如として現れたその二人組は――
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