第507話『VS盗賊団③』
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幹部らしき男のはた迷惑な自爆によって、ビルは地下を除いて全壊。その周りの建物も半壊している。
かなり大惨事な光景だが、俺達以外に人がいなかったのは幸いだった。
『まさか自爆するとはな……』
爆発する直前、俺は全員が爆炎に飲み込まれる未来を見た。俺だけは何とか無事だったが、俺以外の全員は――目も当てられないほどの惨事だった。ここは別の世界線とはいえ、そんな結末を受け入れられるほど、俺は強くない。
でも俺が未来を見たおかげで、全員爆発に巻き込まれずに済んだ。
『ダスト君が言ってくれなきゃ、今頃儂たちは……』
バッドエンドを想像した魔王は、顔色を悪くして身体を震え上がらせた。さすがの魔王やルシウスでもまともに爆炎が触れればただでは済まないだろう。いくら強くても元が人間であることには変わりないのだから。
『ああ、助かったよダスト』
『ナイスだ、ダストっち!』
『ダストさん、ありがとうございます』
『お兄ちゃん大好き♡』
各々から感謝の言葉が送られた。ブロンズ様に関しては、ただの愛だが、可愛い。うん、本当に可愛いなぁ。でも――
『お兄ちゃん……』
悲しそうな顔で俺を見るブロンズ様。そっか、俺の心読んだのか。俺も苦しいけど、しょうがない。本当に仕方のないことなんだ。
『ところで、これどうする?』
ほぼ更地となったビルに指を指すルシウス。エレベーターも壊れてしまったため、地下へ行く手段が無くなってしまった。
『エレベーターが壊れちゃったからなぁ……階段とかないのか?』
ゴールドちゃんはそう言って、階段を探しに再び敷地内に入った。
『無さそうだな』
ルシウス達も隅々まで探してはみたが、成果は得られず。
『じゃあこれで床ぶち抜くか?』
ゴールドちゃんはハンマーを振りかざした。
『やめろ、それは悪手だ――とは言い切れないか?』
ルシウスは真面目にゴールドちゃんの案を検討し始めた。
『ルシウス様!?』
『他に手段がないなら、いっそもう床をぶち抜くしか……』
『危ないですよ!? 色々と!』
床をぶち抜くといったら、大きな音が響くのは必然。居場所を知らせる音を常に起こしながら地下を掘り進むのは、あまりにもリスクが高い。
あるいは、修復魔法でエレベーターを修理したいところだが、修復魔法は術者が修理する物の構造をある程度理解していないと発動できないシステムだ。お客様の中でエレベーターに詳しい方はいらっしゃいますか!? と言って、該当者が居たとしても、術者本人が詳しくなければ意味がないし、今すぐエレベーターの構造をすぐに覚えられるほど、俺の頭は万能じゃない。
となると、やはり床をぶち抜くしかないのだが……そうだ、いいこと考えた。
『みんな、俺にいい案がある』
『うん、それで行きましょ』
心を読んだブロンズ様が一足先に承諾してくれた。
『早い早い。みんなの意見も聞かないと』
『そうね、みんな聞いて』
ブロンズ様が代わりに俺の案を説明してくれた。
『なるほど、そんな結界があったのか』
『ああ、あらゆる音を遮断する結界なら、床をぶち抜こうが、某ガキ大将がリサイタルを開催したとしても全員耳に入って来なくなる』
『某ガキ大将……?』
『他に意見はないか?』
『特にないが、結界はどれくらい維持できる?』
『ぶっ通しでも一ヶ月はいける』
『一ヶ月……!? すごいな。それなら十分すぎるくらいだ』
ルシウスはちょっと引いている。やっぱ今の俺の魔力量って異常なんだな。
そもそも遮断したい時って、床をぶち抜く時くらいだもんな。あとはそのまま降りるだけだし。
『他に懸念はあるか?』
『はい』
魔王が手を上げた。
『はい、魔王くん』
『魔王くん???』
『あっ、すまない、教師だった頃の癖で、つい……』
だった頃って、まるでもう辞めたみたいな言い方だな。俺としたことが、言葉のチョイスをミスってしまった。
『ま、まあいいよ。で、儂の懸念だけど、床をぶち抜くのはいいけど、降りた先で待ち伏せされる可能性はないか?』
『待ち伏せ? アタシらがエレベーターの床をぶち抜いて来るなんて、あっちは分かんなくないか?』
ここでルシウスがこう解説する。
『いや、推測はできる。さっきの爆発音で上で何が起きたかある程度予想できるし、当然エレベーターの状態も確認するだろう。現状、一階から地下に来られる手段はエレベーターの下の空洞からしか行けない。それを向こうが分かっているなら、待ち伏せされている可能性は十分にあり得る。いや、むしろそうしない手はない』
『うん? どういうこと???』
頭が回らないゴールドちゃんは代わりに目を回して混乱した。
『つまり、入口が一つしかなくて、そこに敵が来ると分かってるなら、当然待ち伏せはするでしょって話よ』
ブロンズ様が分かりやすく説明してくれた。
『な、なるほど……つまり、アタシたちは待ち伏せされてんだな』
完全に理解できたかは怪しいが、まあいいだろう。
『その待ち伏せはどう対処する?』
『俺が常に防壁魔法を張ろう。それなら急な攻撃にも対応できる』
本来ならば、防壁魔法は地面が安定していないと、機能しずらいが、防壁を球状にすれば、どの方向から攻撃されても防ぐことができる。これは最近解放した“ダストの記憶”から取得した戦術だ。解放してくれたラピスとラズリに感謝だな。おかげで、作戦がスムーズに進む。
『それなら、大丈夫そうだな。よし、作戦実行だ!』
ルシウスが指揮を取り、俺達は地下へ潜入する為の準備を進めるのであった。
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