第505話『VS盗賊団①』
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“盗賊団を殲滅せよ”
依頼人ラピスとラズリから新たなミッションが追加された。
ルシウスは何故そんな依頼をしてきたのか、理由を訊いた。すると、ラピスはこう答えた。
“邪魔だから”
ただそれだけだった。盗賊はいるという事実だけで人々を脅かす存在だ。誰もがラピスと同じように思うだろう。しかし、俺は彼女たちの本意を知っている。本人たちが話してくれたからな。
ラピスとラズリは未来から来た。もっと厳密に言うなら、タイムリープだ。
どうやら、ここで盗賊団を放置した場合、戦場で再会するはずだったラピスとラズリが盗賊団のボスと幹部によって殺されるという未来が待っている。
決戦の場には一人でも欠けてはならない。もしそうなれば我々はゼウスに勝てなくなるからだ。
だからそうならないように、ここで盗賊団を殲滅する必要があるということだ。
しかし、ラピスとラズリは誰よりも魔法を多く使えるはずだから、戦闘能力はそれなりに高いはずだが、その二人が倒されるなんて、その盗賊団のボスと幹部はよほど強いんだな。
一方で、同じ盗賊団の幹部であるエリザベート、オルガー、イバラキの3人は、俺達にまるで歯が立たなかった。クズキも村正さんが来なくても、俺とブロンズ様だけで十分勝てただろう。
どうやら盗賊団の幹部はただの役職で、実力そのものにはバラつきがあるようだな。
しかし、こちらにもルシウスと魔王という超激強戦力がいる。もはや過剰戦力になるかもしれないほどだ。このパーティに勝てるとしたら、それこそゼウスくらいだろう。
それで依頼を受けた俺達は、盗賊団のアジトを探しに行ったのだが、なかなか見つからなかった。まあそりゃそうだ。国から追われている立場なのだから、簡単に見つかるような所にアジトを置くはずがない。
だが、集めた数々の情報源とロンドディウム王国の機密情報源を照らし合わせていくうちに、盗賊団のアジトを特定することができた。どうやら、ここからそれなりに距離がある廃墟となった国にあるビルにアジトがあるらしい。
――すぐに俺達は再びク・ルーマでそこに向かったのだが、
『誰もいねえな』
廃墟の国だから当たり前だが、人の気配が全くない。だが、他の建物のほとんどは半壊していたり、原型がなかったりと、もはや残骸の塊でしかないのに、このビルだけは何故か原型を保っている。
『でも、このビルだけなんかキレイじゃない? 他の建物はほとんど壊れてるのに』
そう指摘したのはブロンズ様だ。さすが、この世界線でも視野が広くて頭の回転が早い。
『ブロンズの言う通りだ。どうやらここで間違いなさそうだ』
『でも、人の気配なさすぎねえか?』
確かに人の気配はない。でも人がいるのは確かだ。
『儂が思うに、結界でもかかってるんじゃないかな』
『結界か。それを使えるとなると、当然アジトに入らせてくれるわけもないな』
――さあ、どうしようか。と全員が思い悩んでいたその時、怪しい男二人組がビルの中から出てくるところを目撃した。
『あ』
怪しい二人組はやましい事があるのか、ダラダラと汗を流し、笑顔でその場から立ち去ろうとする。
『待て』
ルシウスの一声で、二人組は驚きながら一瞬止まったが、すぐにビルの中へ駆け込んだ。
『逃がすな!』
鬼の形相で追いかけるゴールドちゃん。ルシウスや魔王も後に続く。
『俺達も行こう』
『そうね』
『う、うん』
残されたブロンズ様とシルバーちゃんと俺もビルの中に足を踏み入れた。
やけに綺麗なエントランスルームを抜けると、先行したゴールドちゃん達が先程の二人組を囲むように追い込んでいた。構図が不良三人組に絡まれた一般生徒二人組。
『オラァ! 吐けやゴラァ!』
ゴールドちゃんがハンマーを床にガンガン叩きつけて、二人を脅している。うるせえ。
『ゴールド。連中に気づかれるから静かにしてくれ』
『そうか、すまねえ』
ゴールドちゃんは手を止めた。代わりにルシウスが尋問をする。
『さて、お前達。改めて聞くが、何故こんなところにいるんだ?』
『お、俺達がどこにいようと勝手だろ!』
そう言うと、ゴールドちゃんは脅すようにハンマーを振りかざす。
『ひ、ひいいいいいいいいいい!!!』
よほどハンマーが怖いのか、化物に遭遇したような顔をしている。
『わ、分かった! 話す、話すから殺さないでくれ〜〜〜〜〜!!!』
そりゃハンマーで叩かれたら痛いじゃ済まないけど、いくら何でも怯えすぎでは? 俺が来る直前にゴールドちゃんは一体何をしたんだろうか?
『こ、ここは我々盗賊団のアジトだ!』
『やはりそうか。だが人の気配が無いのは何故だ?』
『そ、それは人避けの結界を張ってあるからだ!』
ここまでは予測通りだ。まあ、ほとんど分かっていた事だが。
『なるほど。ではアジトの行き方を教えてもらおうか』
『そこのエレベーターで3階と5階と6階と8階と9階を素早く2回ずつ押せば、地下に行くようになってんだ!』
エレベーターのボタン……地下……どこかで聞いたワードだな。
『ほう、秘密のフロアってわけか。よし』
『じゃ、じゃあ俺達はこれで』
二人は解放されたと思い、今度こそその場を立ち去ろうとしたが、幹部3人を封じ込めた“ポケット収監所”を取り出し、二人組を吸収した。叫び声さえ聞くことなく。
『お前達は犯罪者だ。逃がすわけがないだろう』
ルシウスはそう言って、“ポケット収監所”を懐に入れた。
『じゃあ、行くか』
ルシウスはエレベーターのボタンを押して、鉄の箱の到着を待った。
確かに聞こえる起動音。徐々に近づいてくる。
その時、俺は良くない未来を見た。
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