第498話『並行世界の荒野を走る』
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次の行き先は水の国。そこにラピスさんとラズリさんという魔法マニアがいるらしい。俺を元の世界に帰してくれる魔法をかけてくれるかもしれないということで、アポなしで恐縮ではあるが会いに行くことになった。
なんと今回は、その旅に何故かルシウスがついてくることになった。ただ、一国の王という立場上、国外に出るだけでかなりの大事となってしまうので、弟のルキウスを身代わりに、自分は変装してこっそり国外に出るという作戦を立てた。まあ付き人には聞かれてしまったようだが。
ルシウスは構わず準備を始める。少し時間がかかるので、門の前で待ち合わせをすることになった。
ということで、俺達は門の前で待っているのだが。
今のところ騒ぎにはなっていないようだが、本当に来れるのだろうか?
実は話を聞いていた二人の付き人が、仕方なく王の国外無断外出に協力してくれるらしいが、それでも数百数千の騎士に万越えの国民の目をかいくぐるのは至難の技だ。一体どんな方法で国王を送り出すのか……。
『待たせたな』
アロハコーデの男が、サングラスを光らせてやってきた。南国の観光客のような格好をしたこいつはそう、ルシウスだ。
いや、付き人おおおおおおおおおおおおお!!!!!
『何でそんな格好してるんだ?』
『変装だ。俺が考えた』
真面目な表情で言い切った。てかお前が考えたのかよ。
『いや、よりによって何でアロハコーデなんだ?』
『アロハ? なんだそれは?』
アロハという単語をご存知ないらしい。
『お兄ちゃん、それ私達の世界には無い言葉よ。多分』
『あ、そうなのか』
会話についてこれない観光客は首を傾げる。
『え、でもじゃあ何でこんなコーデが存在するんだ?』
『よく分からないが、これは南国ハワフルランドで有名なコーデらしい。これで南国から来た観光客を装うことができるのだ』
できるのだ、じゃねえよルシウス国王。
『いやいや不自然じゃないか?』
さっきから通行人たちの視線がこちらに向いている。今のところルシウス国王だとバレてはいないようだが、このまま時間が経てば経つほど正体看破の危険性が高まる。
『ふむ…………たしかに』
少し考えた後、己の状況をようやく理解した。
ルシウスさぁ……お前こんな天然キャラだったの?
『は、早く乗って下さい!』
ク・ルーマの扉を開けて、すぐに乗るように促す魔王。
こうして俺達は、国王誘拐犯と見なされる前にロンドディウム王国をあとにした。
水の国に行くには、またしてもモンスターの出る荒野を抜けなくてはならない。ルシウスは表に出るわけにはいかないので、基本的には俺とゴールドちゃんが主にモンスターを対処する係を担った。
『まーちゃん、大丈夫か?』
魔王は青ざめた顔をしながら、ハンドルを握る手をブルブル震わせている。そのせいでク・ルーマの進路がまるで酔っ払いの足取りのようだ。
『事故っちゃダメだ、事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃダメだ事故っちゃ』
どうやら魔王は、一国の王という世界的な重要人物の命を預かっているという事実に震えが止まらないようで、某有名パイロットのセリフに似たような呪文を唱え続けている。まあ、気持ちは分かるが……なんか怖い。
『はっはっは、大丈夫だマーブル。たとえ事故っても俺は死なないし、どうにかできる』
ルシウスは笑いながら、魔王を安心させているようだが、残念ながら本人の耳には届いていない。
助手席にはゴールドちゃん、後ろの席は左から俺、ブロンズ様、シルバーちゃん、ルシウス。
ルシウスと隣にいるシルバーちゃんもかなり緊張気味だが、ルシウスはそんなシルバーちゃんを安心させようと、時々話しかけている。
その一方で、ブロンズ様は口角を上げながら、視線を俺の方ばかり向けている。どうせ俺の心を読んで、どうからかうか考えているんだろうな。
正解よ、と言わんばかりに、ウインクしながらニッコリと笑う。
くっ、可愛すぎる……!
――それから数十分が経過した。相変わらずまだ荒野の景色が延々と車窓に流れるが、
『この先に何かいるぞ』
真っ先に異変を感じたのはルシウス。彼はその旨をみんなに伝え、俺達は戦闘体勢に入る。
『もしかしてあの大きい奴か?』
進路上に立つ一人の大男。ク・ルーマが来ているのにも関わらず、道を譲る気はない。
『あの風貌……あいつは盗賊団の幹部だな』
『盗賊団だと?』
この世界線のクズキが幹部をやってたあの盗賊団か?
『ああ、あいつの名はガーシー・クラウン。我がロンドディウム王国でも、お尋ね者として有名だ。まさかこんなところにいるとはな』
確かに何でこんな人がいなさそうなところにいるんだ? ク・ルーマの進路を塞ぐように立っていたし、まるで俺達を待ち伏せしてるかのような行動だ。
『よし、アタシたちに任せろ。行くぞダストっち!』
『おう』
そう言って、俺とゴールドちゃんはク・ルーマから飛び出し、大男に攻撃をしかける。
それでも大男は微動だにしないどころか、防御すらせずにその場に立ち尽くしている。
妙だ。
何か嫌な予感がする。
俺は直感的に後ろを振り向いた。
すると、そこには剣を持った男とトンガリ帽子を被ったミニスカの女が俺とゴールドちゃんに不意打ちをしかけようとしていた。
『しまった……!』
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